Windows 7の登場で空気が変わった10月のアキバ5分で分かった気になる、10月のアキバ事情(2/2 ページ)

» 2009年11月06日 11時30分 公開
[古田雄介,ITmedia]
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もう1つの深夜販売――PT2を求めて600人超が夜のアキバに集合

アースソフト「PT2」

 Windows 7より一足早く、10月2日0時に三月兎2号店がチューナーカード「PT2」の深夜販売を行った。PT2は最大4チャンネルの同時録画が可能なデジタル3波チューナーで、接続はPCI。前モデル「PT1」よりも3000円程度安く、同店では1万6800円の予価をつけていた。なお、B-CASカードスロットは付属しないが、別途環境を整えるとコピー回数などの制約を受けずに録画できるといったウワサがある。

 アキバでは9月ごろからPT2の登場がささやかれており、9月に行われたP55マザーとCore i5/i7の深夜販売時にPT2の販売予約券を目玉の1つとするショップが現れるなど、以前から注目を集めていた。加えて、深夜販売前には、数100枚規模の入荷が見込めるとの情報も流れ、10月1日23時の三月兎2号店前には500人超の行列ができた。販売予約券を配布する三月兎1号店の行列とあわせると、600人を余裕で超える

 この反響は同店も予想外だったようで、「200枚のPT2が確保できたので、300人くらい集まってもらえればと思いましたが……」と漏らし、急きょ近くの駐車場に整列を作り、混乱を避けて公平に購入のチャンスを分配するよう心がけていた。それが功を奏してか、PT2の購入も予約券も入手できなかった約200人は、特に騒ぐ様子もなく静かに帰路に就いている。

 深夜販売後も加熱したPT2の人気は収まらず、複数のショップが数量限定で定期的に販売するも、当日午前中のうちに売り切れるといった状況が続いている。10月2日午前にPT2を販売したドスパラ秋葉原本店は「ものすごい勢いで売り切れました。PT1の人気もすごかったですが、その評判も手伝ってPT2を求める人のほうが絶対数が多い印象ですね」と語っていた。

三月兎2号店のPT2深夜販売。行列を4列に区切ってくじ引き順を決める手段をとった。レジ前ではひとり一人がくじを引き、販売が終了するには1時半ごろまでかかった

さよならBLESS、こんにちはパソコン工房――PCパーツショップの変化

9月末に突如閉店したBLESS秋葉原本店

 Windows 7発売後の活況は前述のとおりだが、そのぶん、直前まで続いた買い控えの波も大きかった。9月29日、アキバの老舗ショップであるBLESS秋葉原本店が突然閉店した際、「その波に勝てなかったのでは」といったコメントがいくつかのショップから聞かれた。

 BLESS秋葉原本店は2009年7月まで、中央通りと神田明神通りの交差点脇という好立地の店舗で7年営業していた。そこからビルの2階に移転した矢先の閉店ということもあり、某ショップは「不景気になって賃貸料が払えなくなったのかも。なんとか盛り返してほしかったですけど、最後の買い控えが耐えられなったのでしょう」と話す。

 一方、「Windows 7の勢いを利用して躍進を狙ったんでしょうね」(某店長)と評されているのがフェイス本店だ。「フェイス秋葉原本店」と名称を改め、「石丸SOFT1」が入っていた神田明神通りのダイドーリミテッドビル1階に移転し、10月17日に仮オープン、10月22日に本オープンを果たしている。同店には、秋葉原では4年ぶりとなるパソコン工房も併設されており、両ブランドのマシンが購入できるようになった。

 同店の店員氏が「いわゆるアキバっぽいショップではなく、ターミナル駅の家電量販店に近いような広々とした店内にリニューアルしました」と語るとおり、通路を広くとった見晴らしのいいレイアウトになっている。店内にデモスペースなども用意しており、Windows 7の深夜販売でも内部でさまざまなイベントを行っていた。

 こうした状況に加え、10月23日、中央通りのナカウラ本店跡地に紳士服店「AOKI秋葉原店」がオープンするなど、街全体の様子に多様な変化がみられるようになっている。絶えず流動する街の雰囲気について、某ショップは「アキバに集まる人の変化に街側が対応しているということでしょうね。そのなかでも自作パーツショップの色があせないようにすることが大切。Windows 7のおかげで盛り上がっていますが、浮かれている店員はたぶんいないと思いますよ。これからの長い正念場をどう切り抜けていくかを考えています」と話していた。

10月22日にグランドオープンした、フェイス秋葉原本店とパソコン工房秋葉原本店。神田明神通り側にはパソコン工房の、裏通り側にはフェイスの看板を掲げているが、内部はつながっており、自由に行き来できる

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