誰もが簡単に3DCGを──「Shade 11」発表

» 2009年11月06日 21時20分 公開
[長浜和也,ITmedia]

イラストから写真から簡単に3Dを

 イーフロンティアは、3DCGソフトのShadeシリーズ最新版となる「Shade 11」を11月6日に発表した。出荷開始日は未定だが、同社では2009年中に間に合わせたいとしている。同日行われた新製品発表会では、Shade 11に実装された新機能が紹介されたほか、同社ラインアップの「Poser 8」や、Avatar Reality代表取締役社長の橋本和幸氏による「Blue Mars」の説明が行われた。

Shade 11は、従来版と同じく対象ユーザーごとに「Basic」「Standard」「Professional」が登場する(写真=左)。また、それぞれのバージョンで価格が引き下げられた。Professional版とStandard版は“for Window”と“for Mac OS X”のパッケージが用意されるが、Basic版はWindowsとMacを同梱した“Hybrid”パッケージになる(写真=右)。教育機関や研究機関向けに価格を低く設定したアカデミック版もこれまでと同様に購入可能だ

Shade 11 Basic Hybrid版 1万円
Shade 11 Basic Hybrid版 アカデミック 7000円
Shade 11 Basic Hybrid版 ガイドブック付き 1万2000円
Shade 11 Standard版 for Windows 3万6000円
Shade 11 Standard版 for Windows アカデミック 2万3000円
Shade 11 Standard版 for Mac OS X 3万6000円
Shade 11 Standard版 for Mac OS X アカデミック 2万3000円
Shade 11 Professional版 for Windows 8万円
Shade 11 Professional版 for Windows アカデミック 5万円
Shade 11 Professional版 for Mac OS X 8万円
Shade 11 Professional版 for Mac OS X アカデミック 5万円

 現行のShade 10.5からShade 11で追加された数多くの新機能から、説明会では特に「スケッチモデラー」「フォトモデラー」「ボリュームライト」「ケージモディファイア」「Google SketchUp 入力」が実演を交えて説明された。

 スケッチモデラーは、イラストや写真といった2D画像に“特徴点”を設定して3Dラインを簡単に生成する機能で、ボリゴンを作成することも可能だ。説明会では、複雑な凹凸があるため3Dモデリングが難しいとされる顔の手書きイラストから、まゆやまぶた、ほおの輪郭などに特徴点を設定することで、3Dモデリングできるのが紹介された。

 フォトモデラーも、デジタルカメラなどで撮影した複数の画像から3Dモデルを生成する機能だ。こちらは、複数の角度で撮影した画像に写っている同じ面に基準面を設定することで、3Dモデルを出力する。説明会ではMacBookの3Dモデリング作業が紹介されたが、MacBookを置いているマット面、キーボード面、液晶パネル面などをそれぞれ基準に認識させて3D化したり、取り込んだ画像にShade 11で用意されたレタッチ機能を使って加工を加える作業を行っている。

3Dへのモデリングが難しい顔もスケッチモデラー機能なら特徴点を設定して簡単に3D化してShade 11で扱える

フォトモデラーでは、複数の写真に写っている共通の面を設定することで、写真から簡単に3D化してShade 11で3DCGとして加工できる

 ボリュームライトは、製作した3DCGに「空気感」を与えることで、リアリティを向上させるものだ。この機能を有効にすると、空気中に存在するホコリやチリなどを光で照らして“空気の存在”を表現する。ケージモディファイアでは、作成した3DCGを変形するために格子状のケージを設定して、ケージを操作することで3DCGの変形を直感的に行えるようにしている。

 Google SketchUp 入力では、Goggle 3Dギャラリーで使われているファイル形式「Google SketchUp」(拡張子は.skp)の読み込みに対応することで、同ギャラリーで公開されている3DモデルをShade 11でも使えるようにする。現時点では読み込みのみの対応だが、将来的にはskpファイルの出力にも対応するとイーフロンティアは説明している。

光源にボリュームライトを設定すると、宇宙空間のようだった部屋(写真=左)に、空気や光の存在を表現できるようになる(写真=右)

ケージモディファイアでは、作成した3Dオブジェクトに格子状のケージを適用することで、変形が簡単に行える

Shade 11は、Google 3D ギャラリーで公開されているGoogle SketchUpファイルの読み込みに対応している

Blue MarzでもテレビよりYouTube

 「Poser 8」では、従来版から大きく変わったUIや、新たに追加された8体のフィギュア、これまでキャラクターにリンクしていた衣装がほかのキャラクターでも利用できるようになる「ワードローブ」機能などが紹介されたほか、キャラクターの形状設定が「筋肉の部位」単位で設定できたり、Poser 8で設定したフィギュアのアニメーションモデルをShade 11で取り込める機能が実演された。

UIが一新されたPoser 8では、筋肉部位単位で形状変更やアニメーション描画が可能(写真=左)。Poser 8で設定した3DアニメーションをShade 11に取り込んで利用できる(写真=右)

 ゲストスピーカーで登場したAvatar Realityの橋本和幸氏は、βテストが行われている「Blue Mars」を紹介した。イーフロンティアとAvater Realityは業務提携を結んでおり、Shadeシリーズで作成した3DアイテムをBlue Marsで扱えるが(このあたりの詳細は“作成した3DCGを生かすサービスも重要”――イーフロンティア「Shade 10」発表を参照のこと)、橋本氏は、Blue Marsで想定しているビジネスモデルについて、「参加者はアイテム販売で収入を得る。価格は参加者が自由に設定できるが、きちんと作った3Dアイテムなら大体300円から500円で販売されるだろう。支出はアイテムを販売する店舗の賃料で、これが月3000円程度になる。アイテムの売り上げから支払うことは十分可能だ」と説明した。

橋本氏が説明したBlue Marsのビジネスモデル。店子はアイテム販売の売り上げで、大屋は家賃でそれぞれ収入を得る

βテストが行われているBlue Marsの画面(写真=左)。女性が着ている“動物柄”のキャミソールの表面にはファーのような立体的なテクスチャが張られている(写真=右)

Blue Marsで購入できるのはアイテムだけじゃない。「アーティストが作成した」(橋本氏)キャラクターの“ポーズ”や“しぐさ”もライブラリから購入できる(写真=左)。また、Blue MarsではFlashプレーヤー機能も実装しており、Youtubeやプロモーション用のストリーミングデータの再生が可能だ(写真=右)

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