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» 2009年11月13日 21時00分 UPDATE

元麻布春男のWatchTower:Analyst Dayで分かった「Bulldozer」の強味 (1/2)

Nehalem、Westmereと世代更新が進むインテルに対し、AMDは「2011年」まで待ちの構え。その2011年に大きく変化する新世代CPUの概要が明らかになる。

[元麻布春男,ITmedia]

復活したBobcatはAtomに挑む

 米AMDは11月11日に金融アナリスト向けの説明会「Financial Analyst Day」(以下Analyst Day)を行った。ここでは、クライアントPC向けの製品について紹介された内容を中心に説明していこう。

 今回のAnalyst Dayで最も注目されるのは、AMDの次世代コア技術に関するアナウンスだ。AMDは2007年の夏に、サーバ向けの「Bulldozer」と省電力用途向けの「Bobcat」と呼ばれる、新しいマイクロアーキテクチャの構想を発表していた。しかし、製造部門をGlobal Foundriesに分離したことに加え、Bobcatの構想を明らかにしたフィル・へクター氏がCTOを辞任した影響を受け、2008年秋のAnalyst DayではBulldozerもBobcatも表舞台から退いた。ただ、当時示されたロードマップで、それらが占めていたポジションが明らかに空白のままであったことに、今回の“Bobcat復活”で「やはり」と思った関係者は多かったのではないだろうか。

 そのBobcatが使われるモバイルPC分野のロードマップにおける2011年の予定が、今回のAnalyst Dayで初めて明らかにされた。また、Bobcatの下にある「Brazos」と呼ばれるプラットフォームでは、Bobcatコアを利用したAPU「Ontario」を採用する。APUとは、“Accelerated Processing Unit”の略で、CPUとGPUを統合(AMD流に言えばFusion)させたものを指す。Ontarioでは、2つのBobactコアにDirectX 11に対応するGPUを統合する予定だ。

 ロードマップで注目したいのは、Brazosプラットフォームが、UltrathinノートPCのさらに下、Netbookの領域まで完全にカバーしていることだ。これは、Ontarioは、Atomと対抗することも視野に入れて開発されていることを意味する。

 Bobcatコアの特徴についてAMDは、以下の点をアピールしている。

  • 最大消費電力が1ワット以下の製品が実現可能
  • 従来から半分以下のダイ面積でメインストリーム向けCPUの90%に相当する性能を発揮できる
  • ほかの回路と組み合わせたり、ほかの回路に流用することが容易
  • SSEからSSE3までの拡張命令と仮想化支援技術に対応する
  • 2011年にノートPC向けAPUとしてBrazosプラットフォームで最初に実用化される

 ここで挙がった内容を見るかぎり、インテルのように携帯電話への採用を狙っているのかは別として、Atom同じ、x86ベースの組み込み用途への展開を狙っていることは明らかだ。

kn_amdanalyst_01.jpgkn_amdanalyst_02.jpg ノートPC向けプラットフォームのロードマップ(写真=左)。Bobcatの構成と特徴(写真=右)

 Bobcatコアを採用した製品として最初に実用化されるだろうOntarioだが、今回示されたロードマップでも導入するプロセスルールが明らかにされていない。ダイ面積も「半分以下」という表現を用いている。資料で具体的な値を出した比較を避けていることからすると、Atomより構成トランジスタ数が多く、その分、省電力より性能に比重が置かれているのかもしれないが、現時点では何とも言えない。

遅れる32ナノ、見えてきた28ナノ

 2008年のAnalystDayで公開されたTechnology Roadmapでは、32ナノメートルプロセスルールについて、高性能のSOI+high-Kメタルゲート(以下、HKMG)、低価格のバルク、バルク+HKMGの3種類で開発中としていた。しかし、今回のAnalyst Dayで示された内容では、32ナノメートルプロセスルールを採用するのはSOI+HKMGの1種類のみになり、その登場時期は半年ほど後にシフトした。

 バルクシリコンについては、2008年の予定より1年遅れる代わりに、すべてのモデルでHKMGを導入し、28ナノメートルまで微細化するとしている。高性能版と省電力版の2種類で開発する28ナノメートルのバルクプロセスは、当初は32ナノメートルプロセスルールとして開発されていたが、その延長線上にあると考えられる。実際、Global Foundriesでは、大口顧客に32ナノメートルプロセスによるバルク+HKMGの提供も検討すると述べている。

kn_amdanalyst_03.jpgkn_amdanalyst_04.jpg 今回のAnalyst Dayで示されたTechnology Roadmap(写真=左)と、2008年のAnalyst Dayで示されたTechnology Roadmap(写真=右)

 以上の内容から考えて、Ontarioは28ナノメートルの高性能版バルク+HKMGプロセスで量産を予定しているものの、初期ロットについては32ナノメートルのバルク+HKMGプロセスになる可能性もあるようだ。Atomに対抗するのに、32ナノメートルのSOIプロセスはコストの点からも使いたくない。ただ、2008年時点に比べると、スケジュールは遅れ気味だが、会社の分離という大手術があった割にはそれほど影響を受けていないと見ることもできる。

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