GeForce GT 240の“存在意義”を考えるイマドキのイタモノ(2/2 ページ)

» 2009年12月11日 15時48分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]
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“旧モデル”“同価格帯ライバル”と比較しよう

 今回の検証用システムは、Core i7を基幹として構成している。GPUがミドルレンジからバリュークラスということもあって、CPUはCore i7 920とし、比較するGPUには、GeForce 9600 GTと、同じ価格帯のRadeon HD 4830を用意した。なお、今回用意したGeForce 9600 GTは、Green Editionではない65ナノプロセスルール世代の製品だ。また、MSIのオーバークロックモデルは、動作クロックをリファレンス設定に下げたうえで検証している。

 テストは、3D性能を比較する「3DMark Vantage」に加え、今回は、GPUコンピューティングにおける性能を確認するため、サイバーリンクの「PowerDirector 8」、Windows 7に付属する「Windows Live ムービーメーカーHD」、そして、Elemental Technologies(日本ではイーフロンティアが扱う)の「Badaboom」を加えた。

検証用システム構成
CPU Core i7 920(動作クロック2.66GHz)
マザーボード Intel DX58SO
チップセット Intel X58 Express
メモリ DDR3-1333(GeIL GV33GB1333C9TC 1GBx3/9-9-9-24)
GPU GeForce GT 240 GeForce 9600 GT Radeon HD 4830
グラフィックスカード MSI 240GT-MD512-OC/D5 Palit GeForce 9600 GT Sonic MSI R4830-T2D512-OC
HDD WD3200AAJS-B4A(320Gバイト/7200rpm/8Mバイト)
OS 32ビット版Windows 7 Ultimate

Palitの「GeForce 9600 GT Sonic」は、65ナノメートルプロセスルール版GeForce 9600 GTを搭載する(写真=左)。MSIのRadeon HD 4830カード「R4830-T2D512-OC」。ブラケットやファンなど「240GT-MD512-OC/D5」に似た構成だ(写真=右)

3DMarkVantage(3DMarks:PhysXオフ)
3DMarkVantage(CPU Score:PhysXオン)

Power Director 8(7分22秒の1920×1080ドット HD WMVをMPEG4 PSPに変換)
Power Director 8(7分22秒の1920×1080ドット HD WMVをH.264 Full HDに変換)

Windows Live Movie Maker(2分22秒の1920×1080ドット HD WMVをiPod 2Mbpsに変換)
Badaboom(2分11秒の1920x1080ドット MPEG4 AVC/H.264をiPod 2Mbpsに変換)

消費電力

CUDAに対応した重い処理でGeForce GT 240は輝く

 3DMark Vantage(PhysXオフ)のスコアで、GeForce GT 240の3D性能はGeForce 9600 GTと同等かやや低いことが分かる。GeForce GT 240のシェーダーユニット数はGeForce 9600 GTを上回るが、半減したROPsが影響していると考えられる。240GT-MD512-OC/D5はGDDR5メモリ搭載モデルだが、DDR3メモリ搭載モデルはメモリ帯域幅も減少するため、さらにスコアが低くなる可能性が高い。このクラスのGPUでも3D性能を重視したいユーザーはGDDR5版を選びたい。

 同じ価格帯のRadeon HD 4830と比較した結果でも、3D性能はRadeon HD 4830が上だ。対応するDirectXの世代を気にせず3D性能を求めるのであれば、価格が下落傾向にある旧世代のGPUを選ぶのも有効だ。

 では、GeForce GT 240のメリットはどこにあるだろうか。ここで、3DMark VantageのCPU Scoreをチェックする。3DMark VantageでPhysXを有効にした条件でCPU Scoreを比較すると、GeForce GT 240はGeForce 9600 GTを上回る。シェーダーユニット数が強化されたGeForce GT 240では、CUDAを利用したアプリケーションで性能が有利になることを示している。なお、PhysXをオンしても、3DMarksの結果はGeForce 9600 GTに及ばない。

 CUDA対応アプリケーションにおけるGeForce GT 240の性能をさらに確認するため、サイバーリンクのPowerDirector 8で行ったトランスコードの処理時間を比較してみる。7分22秒のフルHD WMV映像を、PowerDirector 8でGPUアクセラレーションが利用できるH.264フォーマットへの変換処理で時間を測定すると、MPEG-4 AVC(フルHD/15.5Mbps)への変換では、CPU(Core i7 920)のエンコード処理で実時間(7分22秒)以上かかるのに対し、GPUエンコードでは実時間より短縮され、かつ、GeForce GT 240はGeForce 9600 GTより1分半以上速く、Radeon HD 4830より10秒速く処理が完了した。

 なお、比較的処理が軽いPSP用のH.264 MPEG-4 AVC(480×272ドット/768kbps)への変換時間は、GeForce GT 240、GeForce 9600 GT、Radeon HD 4830ともに1分35秒±1秒で横並びだが、これは変換画像が短時間だったことも影響している。ただ、それでもCPUでエンコードするより10秒以上高速化している。

 続いて、Windows 7環境でWindows Live ムービーメーカーHDを用いたトランスコード処理も比較してみた。ムービーメーカーHDはGPUによるアクセラレーションに対応している。その結果を見ると、PowerDirector 8と異なり、Radeon HD 4830が最速で、わずかの差でGeForce 9600 GT、そして、GeForce GT 240が続く。さらに、CUDA環境のデモ用ツールとしてNVIDIAもよく用いているBadaboomで計測した結果もGeForce GT 240よりGeForce 9600 GTが速かった。

 消費電力の測定では、GeForce GT 240が省電力優れていることが示されている。アイドル時、3DMark Vantageのグラフィックテスト時のピークを測定した結果を比較すると、いずれもGeForce GT 240は比較対象のGPUを大きく下回った。

消費電力とGPUコンピューティングに期待するユーザーに勧めたい(ただし、チューニング待ちもアリ)

 GeForceの次世代GPUに関する情報が聞こえつつある中、GeForce GT 240は、40ナノプロセスルールとDirectX 10.1対応というトピックがあるものの、そのインパクトは“やや”弱い。ただ、GeForce GT 240のメリットとして、価格と消費電力、CUDA対応アプリケーションで有効になる性能向上という3点が挙げられる。これからミドルレンジクラスのGPUを購入するユーザーで消費電力や動画変換処理を重視するユーザーはGeForce GT 240を積極的に選ぶといいだろう。

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