インテルが行う「その年最後の定例記者会見」では、インテルから発表された新製品や新技術をまとめた10大ニュースが紹介される。2009年のハイライトとして取り上げられたのは、「Xeon 5500」シリーズや34ナノメートルプロセスルールを導入した新世代SSD、“Lynnfield”世代の「Core i5」、NehalemアーキテクチャをノートPCでも利用可能にしたClarksfield世代の「Core i7 モバイルプロセッサー」など、新たに登場したCPUやプラットフォームが多かった。それらに加えて、インテル アシスタント・ジェネラル・マネージャーの宗像義恵氏が紹介したのは、Netbookをはじめとするモバイルコンピューティングの急速な普及だ。
もともと、日本市場ではノートPCの出荷比率が高かったが、実情は狭いオフィスでデスクトップPC代わりに使うのが目的だった。しかし、Netbookとデータ通信モジュールの組み合わせで、持ち歩いて使うモバイルコンピューティングが2009年に広まったと宗像氏は説明する。ただし、それとともに、Atomを搭載したNetbookの性能に満足しないモバイルユーザーは、通常タイプのモバイル向けCPUと性能が同等で、かつ、省電力性能に優れた軽量小型な「モバイル・サブノート PC」(多くのユーザーには“CULV”ノートPCとして認識されている)にシフトしていくだろうと宗像氏は述べている。
UQコミュニケーションズによって2009年2月から試験運用を開始したWiMAXについても言及している。宗像氏は、インテルがWiMAXに取り組み始めた2003年に、多くの関係者から「3Gのデータ通信網があるのに、どうしてWiMAXを始めるのか」という意見が大勢だったというエピソードを紹介したうえで、現在では、首都圏で十分使えるまでエリアが広がり、2010年にはWiMAX対応のデータ通信モジュールを内蔵したノートPCが数多く登場するなど、WiMAXの成長によって新しいマーケットが広がっていく可能性を訴えた。
インテルは、32ナノメートルプロセスルールを採用した“Westmere”世代CPUの「Clarkdale」「Arrandale」を2010年に登場させる予定だ。宗像氏は、32ナノメートルプロセルルールの生産ラインを持った工場がすでに2カ所で稼働、2010年には4つの工場が稼働する予定であることを紹介し、「32ナノメートルプロセスルールCPUの生産は順調で、2010年には市場にどんどん出荷できる」と説明した。また、IDF 2009で披露した22ナノメートルプロセスルールのSRAMにも触れ、「IDF 2009で紹介したSRAMによって22ナノメートルプロセスルールも量産技術が確立した」と開発が順調に進んでいることをアピールした。
インテルが2008年の最後に行った定例記者会見で、同社取締役社長の吉田和正氏は「(経済の状況が)悪ければ悪いほど、インテルは元気になる」と述べているが、2009年最後の定例記者会見でも、インテル創業者のアンディー・グローブ氏の「不況時のルール」を引用して、「不況を抜け出したときに備えて投資は必要だ」と述べている。宗像氏は「2009年の第3四半期、第4四半期で、ビジネスは確実に戻ってきている。2010年に向かっていい方向で展開できる」と、インテルのビジネスが回復基調にあることをアピールした。
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