画面が大きく鮮やかになった新型「iMac」を徹底比較これが“冬ボ”の使い道(1/2 ページ)

» 2009年12月18日 12時00分 公開
[後藤治(撮影:矢野渉),ITmedia]

 iMacが好調だ。国内のコンシューマー向けデスクトップPC市場は現在、液晶一体型デスクトップPCが主流だが、NECの「VALUESTAR N」、ソニーの「VAIO L」、富士通の「FMV-DESKPOWER F」といった国内メーカーに肩を並べる形で、iMacが上位に食い込んでいる。アップルはWindows 7に先んじてSnow Leopardをリリースし、Windows 7の一般販売が開始される直前にMacの新ラインアップを投入するなど、この冬の商戦期に向けて手を打ってきた。恒例のCMも公開されているように、アップルとしてはWindows XP(あるいはVista)からWindows 7へと乗り換えるタイミングで、“Macへのスイッチ”という別の選択肢を訴求していきたいところだろう。

 冬のボーナスが支給されるこの時期、「新しいマシンはiMacで」と検討している人の中には、21.5型か27型かで迷っている人がいるかもしれない。そこで今回、iMacの最下位モデル「MB950J/A」と、クアッドコアのCore i5を搭載した27型モデル「MB953J/A」を並べて評価していく。

さらに洗練された“アルミとガラス”のシンプルな外観

27型iMac

 iMacの新モデルは、液晶ディスプレイのサイズ変更にあわせて外観にも手が入れられた。基本的なデザインコンセプトは従来モデルを踏襲するが、本体背面の外装もアルミ素材になり、液晶ディスプレイのフレームまで継ぎ目なく続く。アルミフレームを採用したiMacが登場した際、デザイン面ではアルミとガラスという2つの素材を大きく打ち出していたが、背面には黒いポリカーボネート素材を用いていた。これに対して新型iMacでは外装がまさに“アルミとガラス”だけで構成され、ノート型Macのユニボディと同様に一体感のある美しいデザインに仕上がっている。また、ディスプレイの銀色の枠を取り去って、ガラスがエッジまでフラットに液晶パネルを覆う。アップルの工業デザインの見事さは枚挙にいとまがないが、「リビングに設置しても違和感のないデザイン」どころか、筆者の自宅に置いたら立派すぎて逆に浮くのではないかと心配してしまうほどだ。

背面にもアルミ素材を採用しフレーム部と一体成形になった(写真=左)。液晶ディスプレイ前面はフチをなくし、ガラスがエッジまで覆っている。新型iMacでは光学ドライブ下にSDメモリーカードスロットが搭載された(写真=中央)。ワイヤレス仕様のキーボードとマルチタッチに対応したMacgic Mouseによって、必要なケーブルは電源ケーブル1本のみと、非常にすっきりとしている(写真=右)

 なお、本体サイズは21.5型モデルが528(幅)×188.5(奥行き)×451(高さ)ミリ、27型が650(幅)×207(奥行き)×517(高さ)ミリと、従来モデルに比べて大きくなった。ただし、27型モデルは液晶ディスプレイが大型化しているにもかかわらず、奥行きは24型の旧iMacと同じで設置にそれほどスペースを必要としないのがうれしい。もっとも、2560×1440ドット表示の27型ワイド液晶ディスプレイはさすがに大きく、机の奥行きが狭すぎると画面が近すぎて逆に見づらいといったことはあるかもしれない。

27型iMacの左側面と背面。ゆるやかにわん曲したアルミニウムのスタンドは、大型化した27型液晶モデルでもぐらつくことなく安定感がある。スイベルには対応しないが、スタンド底面がすべりやすいので、画面の向き変えるのは難しくない

 インタフェースは、従来同様に本体背面から見て左下にまとめてレイアウトされている。端子構成は左から光デジタル音声入出力共用のヘッドフォン/マイクと、4基のUSB 2.0、FireWire 800、Mini DisplayPort、ギガビットLANが並ぶ。USBポートも背面にあるのはややアクセスしづらい印象はあるが、スタンドの底面がすべりやすく本体の向きを比較的容易に変えられるため、USBメモリを接続したいといったときでもそれほどストレスにはならない。ただ、本体の向きを変えたり背面をのぞき込んだりする場合は設置スペースにそれなりの奥行きが必要になる。

 もう1つ、今回のiMacから右側面のスロットイン式光学ドライブの下にSDメモリーカードスロットが搭載されたのもトピックだ。デジタルカメラなどとの連携を考えると、MacBook Proに続いてデスクトップPCのiMacでも搭載されたのはうれしい。なお、MacBook Proと同様に、SDメモリーカードをスロットに差し込んだ状態でもカードがはみ出る構造になっている。iMacはノートPCのようにSDを挿したまま持ち運ぶことはないので「気にするな」と言ってしまえばそれまでだが、外観の美しさにこだわるアップルらしくないという気はした。

各種端子は背面から見て左下にまとめて並べられている(写真=左)。液晶ディスプレイ上部にiSightとマイクを内蔵し、自分を含む最大4人でビデオチャットなどが行える(写真=中央)。外装から唯一ネジが見える本体下部(あごの部分)にはメモリスロットがある。新型iMacでは4基のSO-DIMMスロットを備え、最大16Gバイトのメモリをサポートする(写真=右)

アスペクト比16:9のワイドディスプレイを採用。下位モデルもIPSパネルに

アスペクト比16:9の2560×1440ドット表示に対応した27型iMac。Mini DisplayPort入力に対応し、単体ディスプレイとして広大なデスクトップ領域をMacBookシリーズでも利用できる

 先述の通り、液晶ディスプレイは下位モデルが21.5型(1920×1080ドット表示)、上位モデルは27型(2560×1440ドット表示)の光沢ワイド液晶ディスプレイを採用する。アスペクト比16:9の解像度はデジタルコンテンツとの親和性が高く、2560×1440ドットの広大なデスクトップ領域は、コンテンツの閲覧だけでなく、編集や加工といった制作過程において威力を発揮するだろう。iMacはコンシューマー向け製品という位置付けだが、クアッドコアマシンと超高解像度ディスプレイをオールインワンで利用できると考えると、プロ向けとしても十分に魅力的なマシンと言える。

 さらに、27型モデルはMini DisplayPort入力に対応しており、ベルキン製の「Belkin Mini DisplayPort to Mini DisplayPort 1.5M Cable」などを使ってMacBook AirやMacBookに接続することで、高解像度の単体ディスプレイの“ような”使い方もできる(この際にはiMacを起動しておく必要がある)。また、VESA規格にも準拠し、ディスプレイアームや壁掛けといた活用法も可能だ。

 一方、21.5型モデルでIPSパネルを採用したのも目を引く。従来の20型iMacは視野角が上下160度/左右160度と狭く、画面に正対していないと色度変化が顕著に出たが、新型iMacでは上下178度/左右178度という広視野角のIPSパネルによって、複数人でコンテンツを視聴するといったシーンにも対応できる。画面が広く横に長いワイド液晶では特に視野角が重要になるので、このタイミングで下位モデルにもIPSパネルを採用したのは英断だ。ただし、画面への映り込みはあいかわらずで、日が差し込む窓際や蛍光灯が並ぶオフィスなど、強い光源がある場所ではくっきりと反射してしまう。

21.5型モデルは1920×1080ドット表示対応の21.5型ワイド液晶ディスプレイを搭載する。1680×1050ドット表示の旧20型iMacよりも横に広いデスクトップ領域は、ウィンドウを並べて作業する際の使い勝手がいい(写真=左)。IPSパネルを採用し視野角も向上した。写真は横45度から撮影したもの(写真=中央)。パネル前面をガラスで覆った光沢液晶は映り込みが激しい。もっとも、写真のように画面を極端に上に向けて使うことはデスクトップPCでは考えづらいので、窓際を避けるなど設置場所を少し工夫すればそれほど気にならないかもしれない(写真=右)

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