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» 2009年12月18日 18時45分 UPDATE

プリンタ09-10年モデル徹底検証:第1回 キヤノン「PIXUS」の売れ筋プリンタ3台を比較する (1/5)

PC USERの年末恒例企画「プリンタ特集」。今年もキヤノン、エプソン、日本HPの注目機種を集め、比較レビューしていく。第1回はキヤノンの「PIXUS」シリーズだ。

[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]

2009年の最新プリンタはどれが買いなのか?

 PC業界で毎年冬の風物詩といえば、年賀状シーズンに大量投入される各社のプリンタ製品。その主役は例年通り、プリンタ/スキャン/コピーといった機能を1台でこなすA4インクジェット複合機だ。2009年も数多くの新機種が店頭をにぎわせており、各社がしのぎを削っている。

 大きな変化があった2008年モデルに比べると、2009年は小幅なモデルチェンジが目立ち、従来機にネットワーク機能を追加するなどの機能強化をしつつ、製品ラインアップの整理も進めた年といった印象だ。もっとも、まったく新しいモデルも一部には見られるし、ソフトウェアの進化によって使い勝手を向上させた製品もあり、見どころは少なくない。

 本特集では、国内フォトプリンタメーカーの2強であるエプソンとキヤノン、そしてプリンタ世界シェア1位を誇るヒューレット・パッカード(日本HP)の最新機種から、注目の個人向けインクジェット複合機を計7台選び出し、さまざまな角度から比較していく。


キヤノン「PIXUS」複合機の注目モデル

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 キヤノンは2009年の年末商戦に向けて、インクジェット「PIXUS」シリーズの個人向けA4複合機6モデルを投入している。今回取り上げるのは、ハイエンドの「PIXUS MP990」、上位2番手の「PIXUS MP640」、上位3番手の「PIXUS MP560」だ。これらはどれも従来機をベースに改良を加えたマイナーアップモデルとなっている。

 2008年は、個人向けA4機としては珍しくグレーインクを採用した「PIXUS MP980」がハイライトだったが、2009年は突出したモデルがない。PIXUSシリーズでは、高密度プリントヘッド技術「FINE」をコアに、ボディデザインは「SUPER PHOTO BOX」のコンセプトを継承しつつ、付加機能の有無によってモデルの差別化を図っているため、毎年大きな変革ができないのは当然だ。熟成を重ねてきた製品群なだけに、変更点こそ少ないが、完成度は高いレベルにある。

 さらに今シーズンは新しいWeb印刷ソフト「Easy-WebPrint EX」が用意され、Webプリントの使い勝手が大幅に向上しているのは見逃せない。ソフトウェアの改善は、今回のPIXUS新製品における目玉といえる(詳しくは後述)。

 モデルチェンジの内容は、以下の記事が詳しいので併せてチェックしてほしい。

 それでは、注目の3台を上から順に追っていこう。

「PIXUS MP990」――グレーインクとフィルムスキャン機能を有する最上位機

 PIXUS MP990はMP980の後継として発売されたハイエンド機。プレミアムモデルと銘打たれているだけあって、MP980から高性能なプリントエンジンを受け継ぎ、2009年末のPIXUS複合機で最多となる6色のインクセットを唯一使用しているのが特徴だ。

tm_0912print1_01.jpgtm_0912print1_02.jpg 未使用時の状態(写真=左)と使用時の状態(写真=右)。ボックス型デザインで未使用時はすっきりしている。量販店での実売価格は3万5000円前後

 それも4色のレギュラーインク(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)+淡い色のフォトカラーインク(フォトシアン、フォトマゼンタなど)という従来機で見られた構成ではなく、4色の染料レギュラーインク(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に、グレーインクと顔料ブラックインクが組み合わされている。

 グレーインクによってフォトプリント時の階調表現力を向上するとともに、顔料ブラックインクによって普通紙テキスト印刷もきれいに打ち出せる万能型のプリンタとして仕上がっているのだ。最小インク滴も1ピコリットルと細かく、描写力は高い。ノズル数も合計6144と非常に多く、印刷速度も良好だ。

 スキャンエンジンは、これまたPIXUSで唯一CCDセンサーを採用している。フィルムスキャンの需要は年々減ってきているが、老舗カメラメーカーのキヤノンとしてはラインアップで1モデルくらいはフィルムスキャン機能を押さえておくべきとの判断だろう。光学解像度も4800×9600dpiと高く、35ミリフィルムを取り込むのにも不満はない。フィルムスキャン機能は、35ミリスリーブ6コマ/マウント4コマを連続で読み取れる。

 仕様の強化点としては、液晶モニタを従来の3.5型から3.8型に大型化し、より高い視認性を確保したこと、ホイール型ユーザーインタフェース「イージースクロールホイール」(Easy-Scroll Wheel)の十字キーとホイールを一体化し、指を動かさずに回転とプッシュの操作が可能になったこと、無線LAN機能のセットアップがWPS、WCNに加えてAOSSにも対応したこと、iPhone印刷やUSBフラッシュメモリからのダイレクト印刷をサポートしたことなどが挙げられる。

 前面/背面の2系統給紙、自動両面印刷、CD/DVDレーベル印刷、有線/無線LANインタフェースといった従来機の特徴は健在だ。もともと山のような機能を搭載したモデルなので、その改良版に大きな不満があるわけもない。一般家庭における大抵のプリントニーズに耐えられる高品位な1台なので、予算に余裕があるユーザーは、これを選んでおけば間違いないといえる。

tm_0912print1_03.jpg インクはグレーインクを含む全6色セットで、装着ミスやインク切れを確認できる赤色LED搭載の独立式カートリッジを用いている
tm_0912print1_04.jpg スキャナは光学4800dpiのCCDセンサーを搭載し、本特集で取り上げる7モデルで唯一、フィルムスキャンが可能だ
tm_0912print1_05.jpg 3.8型液晶モニタは視認性が高く、チルト角度を調整できる。十字キー統合型の新イージースクロールホイールを備えている

tm_0912print1_06.jpg ボディの右下に3スロット構成のマルチカードリーダーとPictBridge対応のUSBポートを備えている
tm_0912print1_07.jpg 前面と後部の2系統給紙に対応。前面カセットはA4、A5、B5、レターサイズの普通紙専用、後部トレイにはさまざまな用紙をセットできる
tm_0912print1_08.jpg CD/DVD/BDレーベル印刷も行える。レーベル印刷時は付属のトレイを手動でセットする必要がある

 次のページでは、下位の2モデルを見ていこう。

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