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第1回 キヤノン「PIXUS」の売れ筋プリンタ3台を比較するプリンタ09-10年モデル徹底検証(3/5 ページ)

» 2009年12月18日 18時45分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
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各モデルの省スペース性とインタフェース

 さて、次は各機の設置性だ。下表を見てもらえば分かるが、ボディサイズは2008年モデルと変わってはいない。自動両面印刷機能を標準装備した状態で、この奥行きに収っているのは立派だ。省スペース化は進まなかったが、現状でもSUPER PHOTO BOXの優れたデザインは健在とたたえたい。

 MP990がわずかに横幅が広いが、インクが1色多いぶん、キャリッジの動作スペースが増すのだろう。高さはMP560がほかの2機種よりも目立って低いが、これは操作パネルをスキャナの天板上ではなく、右側に凝縮しているためだ。

 使用時に排紙トレイと給紙トレイを限界まで引き出すと、大体270ミリ程度が奥行きに加算される。ただし、後部の給紙トレイは鋭角に切り立っており、背面の電源やUSBといった端子はボディの1段くぼんだ場所にあって接続時に出っ張らないため、必要となる背面スペースは約80〜90ミリ程度で済む。

 無論、前面給紙カセットからの給紙(普通紙のみに対応)であれば、後部トレイを開く必要はない。また、後部トレイを使ったL判やはがきといった小さい用紙への印刷ならば、排紙トレイのペーパーサポートを引き出さずに済む。

 インタフェースも充実しており、3モデルとも無線LANを装備し、MP990とMP640は有線LANも備えているため、PCと離れた場所にも設置しやすい。Bluetoothはオプション扱いだが、PictBridge対応USBポート、赤外線ポート(MP560は非搭載)、マルチカードリーダーを備えており、接続性は優秀だ。メモリカードリーダーは、アダプタなしでコンパクトフラッシュ/マイクロドライブ、メモリースティックPRO、メモリースティックPROデュオ、SDメモリーカードスロット(SDHC対応)を装着できる。

本体サイズと重量
製品名 MP990 MP640 MP560
未使用時の本体サイズ(幅×奥行き×高さ) 470×385×199ミリ 450×368×176ミリ 453×368×160ミリ
使用時の本体サイズ(幅×奥行き×高さ) 470×655×320ミリ 450×638×290ミリ 453×638×290ミリ
重量 約10.7キロ 約8.8キロ 約8.1キロ

インタフェース
製品名 MP990 MP640 MP560
USB 2.0
有線LAN 100BASE-TX 100BASE-TX
無線LAN IEEE802.11b/g IEEE802.11b/g IEEE802.11b/g
Bluetooth △(オプション) △(オプション) △(オプション)
PictBridge
赤外線
メモリカードリーダー CF、SD、MS、MS Duo(xDは要アダプタ) CF、SD、MS、MS Duo(xDは要アダプタ) CF、SD、MS、MS Duo(xDは要アダプタ)

MP990:本体サイズは470(幅)×385(奥行き)×199(高さ)ミリ、重量は約10.7キロ。インク数が多く、CCDスキャナを内蔵するため、ボディはほかより少し大きい

MP640:本体サイズは450(幅)×368(奥行き)×176(高さ)ミリ、重量は約8.8キロ。全体的にコンパクトなボディで、自動両面印刷ユニットを標準搭載していながら、奥行きを368ミリに抑えているのがポイントだ

MP560:本体サイズは453(幅)×368(奥行き)×160(高さ)ミリ、重量は約8.1キロ。MP640に比べて、横幅と奥行きはほぼ同じだが、高さが抑えられており、机上での圧迫感が少ない

PCレス/ダイレクトプリント機能の使い勝手

 PIXUS複合機のユーザーインタフェースは、機種間の違いを可能な限り排除し、どのモデルでも同様の操作をすれば印刷できるように配慮されている。これはユーザーがMP500系からMP600系、そしてMP900系へとステップアップした場合でも、安心して使いこなせるようにとの配慮にほかならない。もっとも、イージースクロールホイールとアイコンを主体としたメニュー構成は、初めて購入した場合でもすぐになじめるだろう。

 前述の通り、MP990は3.8型、MP640は3.0型と液晶モニタが大きく、写真、メニューとも非常に見やすい。MP990は簡易ビューワーとしても使用できるのではないだろうか。MP560は2.0型と液晶モニタが小さめで、ボタンの配置も異なるが、ボタンの数や機能、メニューの構成などに違いはない。ただし、MP560のみホイールを回転させたときのステップが分かりにくく、写真のコマや項目が少し選択しにくかった。

 十字キーを一体化した新型イージースクロールホイールの使い心地は人によって異なるだろうが、個人的にはこちらの方がしっくりくる。欲をいえば、いっそのことホイールと十字キーの操作だけで済むようなメニュー構造にして、OKボタンを取ってほしかった。その方が新型イージースクロールホイールの持ち味を引き出せるだろうし、レイアウトももっとすっきりするのではないだろうか。

 ダイレクトプリント機能については、デジタルカメラで撮影したメモリカードを本体に装着すると、読み込んだ写真データを液晶モニタに自動で表示してくれるので、メニュー選択の手間が省ける。メニュー画面の下には簡単なナビゲーションメッセージが表示されるので、マニュアルいらずで作業できるだろう。操作が分からない場合には「ナビ」ボタンを押せば、ヘルプが表示されるなど、初心者への配慮も万全だ。

 メニューは、円形に各機能を並べたメイン画面の下に細かな設定項目を設けた従来通りの構造だ。メニューの階層はだいたい2〜3階層と浅いものが多く、設定の面倒さは少ない。いずれも4〜5秒程度で高速に起動し、印刷中にほかの操作が行えないことを除けば、操作のレスポンスもよい。

操作パネル
製品名 MP990 MP640 MP560
ボタン数 16個+ホイール 16個+ホイール 16個+ホイール
液晶モニタ 3.8型(チルト可) 3.0型(チルト可) 2.0型(チルト不可)
電源投入から操作可能までの時間 4秒7 4秒2 4秒
メモリカード装着時の自動表示
印刷中にほかの操作ができるか

MP990:3.0型液晶モニタと、十字キーを統合した新型ホイールにより、視認性、操作性ともに良好だ。写真を大きく表示できるほか、9コマのサムネイル表示でも各コマが見やすい

MP640:液晶モニタのサイズは2.5型とMP990より少し小さいが、操作パネルのレイアウトは変わらず、スペースに余裕がある。9コマのサムネイル表示でも内容は十分判別できる大きさだ

MP560:右側に寄せられた操作パネルは、2.0型液晶モニタと十字キー統合型ホイールを採用。画面が少し小さく、ボタンも密集しているが、操作手順は変わらない。9コマのサムネイル表示はさすがに小さい印象だ

そのほかの付加機能

写真に手書きの絵や文字を合成できる「手書きナビ印刷」など、付加機能は充実している

 印刷機能を中心として、主な付加機能の差異を下表にまとめた。3モデルとも実に豊富な機能を備えており、写真への手書き合成印刷や、けい線/方眼紙/スケジュール帳などの定型フォーム印刷、証明写真印刷、カレンダー印刷など、実生活に役立つプリント/コピー機能がそろう。また、無線LAN経由でのiPhone印刷にも対応する(iPhone用の印刷ソフト「Easy-PhotoPrint for iPhone」はApp Storeからダウンロード可能)。

 3モデルの大きな違いは、MP990のみフィルムスキャンや、デジタルテレビからの情報プリントに対応し、MP560のみCD/DVD/BDレーベルコピーができない点だ。とはいえ、これらは一般に利用頻度があまり高くないので、購入時の機種選びを左右する要因になることは少ないと思われる。

そのほかの付加機能
製品名 MP990 MP640 MP560
けい線印刷
写真の手書き合成
自動両面コピー
フチなしコピー
CD/DVD/BDレーベルコピー
USBメモリダイレクト印刷
ポスターコピー
縮小割り付けコピー
トリミングコピー
スキャン画像のPDF保存
スキャン画像のメモリ保存
iPhone印刷
テレビプリント
フィルムスキャン 35ミリスリーブ×6、マウント×4
そのほか マスキングコピー、漢字練習帳/アルファベット練習帳/月間スケジュール/週間スケジュール(フォーム印刷として)、証明写真印刷、カレンダー印刷、手書き合成時の文字のフチ取り効果など

 次のページでは、今回の目玉といえる新しいWebプリントソフトに迫る。

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