PC USER Pro

第3回 日本HPの注目プリンタ「HP Photosmart Premium C309G」に迫るプリンタ09-10年モデル徹底検証(3/4 ページ)

» 2009年12月24日 18時15分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

付属ソフトの見どころ

 ソフトウェアの見どころはWebプリント用の「HP Smart Web Printing」だ。これはキヤノンの「Easy-WebPrint EX」と同様に、Webページの必要な部分だけをレイアウト印刷できるユーティリティソフトだが、HPは他社に先駆けて2007年から投入し、バージョンアップを繰り返している。

 HP Smart Web Printingは単体で動作するアプリケーションではなく、Webブラウザに組み込むプラグインの形式を採用している。HPのWebサイトからは製品付属のバージョンより新しいVer.4.6をダウンロードできるので、こちらを使ったほうがいいだろう。Ver.4.6はWindows XP/Vista/7の各OS、Internet Explorer 6/7/8およびFirefox 3.5の各ブラウザに対応する。

 操作はシンプルで簡単だ。印刷したいWebページを開き、Webブラウザ上のSmart Web Printingボタンをクリックすると、Webページの左側に「クリップブック」が表示される。クリップブックとは、Webページから印刷したい部分をクリップとして切り出し、集めておくためのエリアだ。

 印刷したい部分をクリップとして切り出すには、クリップブックの上にある「選択」ボタンを押せばよい。するとマウスカーソルが十字に変わるので、ページ内をドラッグして印刷する範囲を選ぶ。範囲選択が完了すると「クリップ」と「印刷」のメニューが表示されるので、クリップを押してクリップブックに登録する。ほかにまとめて印刷したい部分がなければ、ここで「印刷」を押す。

 クリップブックに並んだ各クリップには、それぞれチェックボックスが用意されている。「編集」ボタンを押すと、チェックが付いたクリップのレイアウトを調整できるウィンドウが起動し、各クリップの拡大/縮小、順序入れ替え、サイズ変更、トリミングなどが行える。レイアウトが完了したら、左上の「印刷」ボタンを押せば、印刷ダイアログが表示されるので、後は印刷するだけだ。印刷せずにPDF形式でファイルを保存したい場合には、右下の「PDF形式で保存」を押せばよい。

HP Smart Web Printingをインストールすると、ツールバーに専用ボタンが追加され、ここから「クリップブック」を起動できる
クリップブックの「選択」ボタンを押し、印刷したい範囲を選択していくと、クリップブックにサムネイルが追加されていく
登録したクリップのレイアウト編集画面。クリップの並び替えやサイズ調整だけでなく、文字の追加やPDF形式での保存も可能だ

 このように、Easy-WebPrint EXに近い仕様だが、段組印刷や自動クリップ、クリップ範囲の拡大/縮小ボタンといった機能は用意されておらず、手動でのレイアウト編集や文字入力範囲の設定がうまく微調整できないことがあるなど、使い勝手はまだ改善の余地がある印象だ。それでも、Webプリントでインクと用紙を節約できる純正ソフトが用意されているのはありがたいといえる。

純正写真用紙プリントの画質

 画質の検証は、写真用紙へのフォトプリント、普通紙カラーコピー、カラースキャンの3種で行った。

 フォトプリントは、L判写真用紙に最高品位モードでプリントしたものを掲載している。プリントメディアはHPが推奨している「アドバンスフォト用紙」を使用した。プリンタドライバの設定は印刷品質で「高画質」を選んだうえで、詳細設定からより高解像度の印刷が可能になる「最大dpi」の設定を有効にした。また、用紙種別では自動用紙認識機能を使用せず、直接アドバンスフォト用紙を指定している。この2点以外はドライバのデフォルト設定のままで印刷を行った。

 下の印刷サンプルは、出力結果をスキャンした画像データの縮小表示だ。クリックすると、500×750ドットの画像が表示される。スキャンした段階で、色の表現方法がCMYKからRGBに変わり、ディスプレイやソフトウェアの環境で色が違って見えるため、色再現性は正確ではない。画像はあくまで傾向を把握するための参考で、評価は各画像のキャプションと本文を確認してほしい。印刷サンプルはAdobe RGBの色域を正しく扱えるアプリケーション(カラーマネジメント対応ブラウザ)とディスプレイで表示した場合、最も色再現性が高まるようにスキャンしてある。

 また、細かい描写力を見るための参考として、各印刷サンプルの拡大画像も掲載した。画像をクリックすると、印刷サンプルをスキャンした画像データの一部が1024×768ドットで実寸表示される。画像は写真上では約43×32ミリと小さな範囲で、実際はここまで細部は見えることはなく、粒状感もない。

粒状感はなく、一見問題ないが、よく見るとシャドー域がつぶれがち、ハイライト域は飛びがちだ。全体に明度が高いこともあって、いまひとつ締りがない。背景の微妙なグラデーションは判別しにくい
拡大画像

 なお、エプソンやキヤノンは失敗写真の自動補正機能に注力しているが、HPはこの分野にさほど積極的ではない。C309Gはプリンタドライバのデフォルトで写真の修整機能「HP Real Life Technologies」(RLT)がオンになっているが、顔検出やシーン分析による高度な逆光補正などは行わず、全体の色を調整する程度だ。

普通紙カラーコピーの画質

 カラーコピーの画質評価は、A4カラー写真をA4普通紙に標準モード(標準)と高速モード(ドラフト)でコピーしたものを掲載した。インクの打ち込みによる普通紙のたわみは、やはり問題ない。普通紙コピー品質については昔から定評があるHPだけに当然の結果といえる。

C309G 標準:元データより彩度が高めに出たが、普通紙ながら全体にシャープに描けており、見栄えがする
C309G ドラフト:黒の濃度が十分にあり、細かな模様も認識が可能。高速モードとしては良好な結果だ

反射原稿スキャンの画質

 スキャンエンジンの検証では、L判の印刷物をスキャンしたデータをサンプルとして掲載した。ドライバ(TWAIN)の設定は基本的にデフォルトのままで、解像度だけは600dpiに変更した。

 TWAINドライバの「HPスキャニング」では、色調整や退色復元、ホコリや傷の除去などの設定も可能だ。ただし、ドライバの設定画面はタブが多く、操作は煩雑になりがちで、ヒストグラムやトーンカーブを用いた色調整ができないなど、高度なスキャンを行いたい場合には不満も残る。

 下の画像をクリックすると、600dpiでスキャンした画像の一部が1024×768ドットで実寸表示される。スキャン画像サンプルのICCプロファイルはsRGBとなっている点は留意してほしい。

全体の明度が非常に高く、ハイライト域は飛び、シャドー域は浮いている。また、階調の端々でトーンジャンプも見られた。不自然に際立った輪郭も気になる

 次のページでは、プリント/コピーの速度、ランニングコストを見ていく。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月29日 更新
  1. ミリ波レーダーで高度な検知を実現する「スマート人感センサーFP2」を試す 室内の転倒検出や睡眠モニターも実現 (2024年03月28日)
  2. Synology「BeeStation」は、“NASに興味があるけど未導入”な人に勧めたい 買い切り型で自分だけの4TBクラウドストレージを簡単に構築できる (2024年03月27日)
  3. ダイソーで330円の「手になじむワイヤレスマウス」を試す 名前通りの持ちやすさは“お値段以上”だが難点も (2024年03月27日)
  4. 「ThinkPad」2024年モデルは何が変わった? 見どころをチェック! (2024年03月26日)
  5. ダイソーで550円で売っている「充電式ワイヤレスマウス」が意外と優秀 平たいボディーは携帯性抜群! (2024年03月25日)
  6. 日本HP、個人/法人向けノート「Envy」「HP EliteBook」「HP ZBook」にCore Ultra搭載の新モデルを一挙投入 (2024年03月28日)
  7. 次期永続ライセンス版の「Microsoft Office 2024」が2024年後半提供開始/macOS Sonoma 14.4のアップグレードでJavaがクラッシュ (2024年03月24日)
  8. そのあふれる自信はどこから? Intelが半導体「受託生産」の成功を確信する理由【中編】 (2024年03月29日)
  9. 日本HP、“量子コンピューティングによる攻撃”も見据えたセキュリティ強化の法人向けPCをアピール (2024年03月28日)
  10. サンワ、Windows Helloに対応したUSB Type-C指紋認証センサー (2024年03月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー