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» 2009年12月28日 19時00分 UPDATE

IPS×WUXGA×10ビット対応DisplayPort:これぞ“正しい”広色域ディスプレイ――24.1型WUXGA液晶「FlexScan SX2462W」に迫る (1/4)

低価格のフルHD液晶ディスプレイが市場にはあふれかえっているが、それで本当に満足できるのか? 特に色を扱うならば、ディスプレイは妥協すべきではないだろう。

[前橋豪, 撮影:矢野渉,ITmedia]

低価格ディスプレイでは再現できない“色”を求めて

ナナオの24.1型ワイド液晶ディスプレイ「FlexScan SX2462W」。同社直販サイト「EIZOダイレクト」での価格は10万4800円

 2009年はPC向けのフルHD液晶ディスプレイが激しく値崩れした1年だった。高解像度ワイド液晶パネルの低コスト化と潤沢な供給を背景に、海外メーカーが中心となって積極的な低価格化を推し進め、今やフルHD液晶ディスプレイは誰でも容易に手が届く存在になったといえる。オンラインショップやPCショップの店頭を見ても、2万円前後で販売されている21.5型〜24型クラスのフルHD液晶ディスプレイは少なくない。

 高解像度ワイド液晶ディスプレイの買い替えや買い増しを考えているユーザーにとって、選択肢はまさにより取り見取りといった状況だが、こうした低価格帯のフルHD液晶ディスプレイでは対応できない用途も存在する。その最たるものが、色再現性を求める作業だ。低価格帯のフルHD液晶ディスプレイでも映像コンテンツは精細に表示できるが、それを正確な色で再現して編集することは極めて難しい。

 そこで、出番となるのが「色再現性にこだわった」上級クラスの大画面ワイド液晶ディスプレイだ。中でも今回取り上げるナナオの24.1型ワイド液晶ディスプレイ「FlexScan SX2462W」は、このジャンルで2009年にとりわけ大きな話題を集めたモデルといえる。

 そもそも同社の「FlexScan SX」シリーズは、プロユースでの実績が豊富なカラーマネジメント対応ディスプレイ「ColorEdge」シリーズに近い発色性能を確保したハイグレードな汎用ディスプレイ製品群として定評があるが、SX2462Wは前モデル「FlexScan SX2461W」から液晶パネル、映像入力端子の構成、操作ボタンとメニューの構造、内部の高画質化処理まで手を加え、見た目は変わらずともフルモデルチェンジといった様相だ。

 ディスプレイにこだわるユーザーにとっては、過去に完成度の高いIPSパネル搭載機を投入していた同社が、久しぶりにFlexScanシリーズでIPSパネルを採用したことに強い関心を覚えたのではないだろうか。

Adobe RGBカバー率98%の広色域を確保しつつ、sRGBにも対応

 まずは製品概要をざっと追っていこう。液晶パネルは広視野角で色度変位の小さいIPS方式を採用する。画面サイズは24.1型ワイド(可視域対角61.1センチ/標準表示面積518.4×324.0ミリ)、画面解像度は1920×1200ドット(WUXGA)、表面処理は映り込みがないノングレアタイプだ。

SX2462Wがサポートする色域と、Adobe RGB、sRGBとの比較。xy色度図上では、Adobe RGBより赤の色域が広く、緑の色域が少し狭い

 バックライトは広色域タイプの冷陰極管を液晶パネルの裏に直列で並べており、色域はAdobe RGBカバー率98%、NTSC比102%に対応する。SX2461WはAdobe RGBカバー率が96%、NTSC比が92%だったので、より広色域になった。

 Adobe RGBカバー率は100%にギリギリ届かないが、通常の写真はAdobe RGB色域のピークに位置するような高彩度の色を持っていない。カバー率が98%もあれば、Adobe RGBの色域をほぼ問題なく再現できるといえる。

 また、広色域パネルを採用していながら、色域変換技術によって高精度なsRGB色域の表示をサポートしているのも大きな特徴だ。低価格帯の広色域ディスプレイは、sRGBの疑似表示がまともにできないため、Windowsの汎用アプリケーションやWebコンテンツなど、sRGB色域が標準のデータまで色鮮やかすぎる表示になってしまうことも多いが、SX2462WならばAdobe RGBとsRGBの色域を状況に応じて切り替えられる。これぞ、広色域ディスプレイのあるべき姿だろう。

 ディスプレイの基本スペックは、最大輝度が270カンデラ/平方メートル、コントラスト比が850:1、応答速度は白→黒→白で13ms/中間階調で5ms(オーバードライブ回路搭載)、視野角が上下/左右ともに178度(コントラスト比10:1の場合)となっている。視野角が広大なのはIPSパネル搭載機として当然だが、応答速度についてもオーバードライブ回路の内蔵によりIPSでは速いほうだ。

 一方、最近の液晶ディスプレイにしては、輝度やコントラストが控えめに見えるかもしれないが、画面全体で均一な明るさと色を出すには内部のバックライト出力調整などが必要なので、これくらいの値に落ち着く。通常、クリエイティブワークでは輝度をぐっと下げて使うものだし、テレビのように動画をダイナミックに見せる種類のディスプレイではないので、このスペックで必要十分だ。

 そもそも、ディスプレイやプリンターといったカラーイメージング機器の場合、カタログの基本スペックを見ても画質は推し量れない。スペックの値が高いほうが、高画質ではないこともある。購入前には実機を必ずチェックするようにしたい。

10ビット入力対応のDisplayPortをいち早く搭載

 映像入力はDisplayPortを1基、DVI-Iを2基備えており、合計3系統を確保する(3系統ともHDCP対応)。2基のDVI端子にデジタル/アナログ両対応のDVI-Iを採用しているので、接続するPCは融通が利く。ディスプレイケーブルも両端がDVI-D 24ピンのデジタル接続用と、片方がDVI-I 29ピンでもう片方がD-Sub 15ピンのアナログ接続用の2本が付属する。DisplayPortケーブルはオプションだ。

 DisplayPortはRGB各色10ビット入力に対応するのも見逃せない。これにより、最大約10億7374色もの表示が可能だ。DVI-I接続時は通常のRGB各色8ビット表示、つまり最大1677万色表示となる。

 ただし、DisplayPort接続で10ビット表示を行うには、対応するグラフィックスカードとソフトウェアが必須だ。現状では、Windows XP搭載PCにAMDのグラフィックスカード「ATI FirePro 3D」シリーズを組み込むことで、「Adobe Photoshop CS4」上で10ビット表示が可能になるが、そのほかの対応アプリケーションは見当たらず、まだ本領を発揮できる環境は整っていない。

 実際、環境を構築してPhotoshop CS4上で16ビットや32ビットの画像データを閲覧してみたが、暗部階調の滑らかさがわずかに違うくらいで、8ビット表示と大きな違いはなかった。それだけ通常の8ビット表示における階調性が整っているともいえる(画質評価は後述)。今後のサポート拡充に期待したい。

 昨今はHDMIをはじめ、AV入力端子が充実したディスプレイも増えつつあるが、SX2462Wはゲーム機やAV機器をつなぐための製品ではなく、PCでDTPや写真編集、CAD、CG制作などを行うことを想定した製品なので、こうした端子は一切ない。余談だが、同社のHDMI付きディスプレイを求めるなら、「FORIS FX2431TV」や「FlexScan EV2334W-T」あたりが候補になるだろう。

 そのほか、SX2462Wはアップストリーム1基、ダウンストリーム2基のUSB 2.0ポートを備えている。PCとUSBで接続すれば、ディスプレイをUSBハブとして使えるほか、付属ユーティリティソフト「ScreenManager Pro for LCD」を導入することで、Windows上からSX2462Wの各種設定が行えるようになる。

 なお、スピーカーや音声入出力の端子は装備せず、サウンドを出力するには別途スピーカーなどをPCに接続する必要がある。もっとも個人的には、このクラスのディスプレイに中途半端なスピーカーを内蔵するくらいなら、いっそ省いたほうがいいので、これで正解だろう。

手を伸ばしやすい左側面に、2基のUSB 2.0ポートを装備(写真=左)。主要なインタフェースは液晶パネル背面に下向きに配置されている(写真=右)。電源は内蔵済みでACアダプタはなく、未使用時の消費電力をカットする主電源スイッチも設けられている

スタンドは可動範囲が広く、縦位置表示にも対応

 本体サイズは566(幅)×230(奥行き)×456〜538(高さ)ミリ、重量は約10.7キロだ。24型クラスの液晶ディスプレイとしてはすっきりまとまっており、シンプルなデザインも相まって外観は品がいい。ボディカラーはブラック(SX2462W-BK)と、白に近いグレーであるセレーングレー(SX2462W-GY)の2色が用意されており、どちらもマット調でクセがない表面仕上げだ。

 スタンドの機構は、柔軟な画面位置調整が可能な「ハイトアジャスタブルスタンド」を採用。長年同社が使い続けているスタンド機構だけあって、競合機種と比べても作りがいい。安定感や剛性感は高く、上40度のチルト、左右で各35度のスイベル、82ミリの昇降といった調整がしっかり行える。

 また、画面は右回り90度にも回転でき、縦位置表示もこなす。縦位置表示ができるディスプレイは意外と多くないので、縦位置で撮影した写真のレタッチや、縦に長いWebページ、ポスターの制作などで重宝するだろう。余談だが、メーカーが縦位置表示をサポートしていない大型ディスプレイに別途アームなどを装着し、縦位置表示で無理やり使っていると、放熱の問題などで故障の原因になる場合もあるので注意したい。

 SX2462Wの画面を一番下まで下げると、設置面から画面下端までの高さは約115ミリとなる。通常はここまで画面が下がれば問題ないが、画像データを画面全体に表示しながら画像の上部だけを色調整するなどの場合、視点は上向きになりがちなので、欲をいえば、設置面近くまで下がってほしいところ。また、縦位置表示に対応する半面、画面を水平の位置でカチッと固定するのが少々難しい点は、几帳面なユーザーにとって少し気になるかもしれない。

 なお、同社は2009年に入って、サイズが少し小さいモデルに設置面ギリギリまで画面を下げられる新スタンド「FlexStand」を採用し始めている。SX2462Wは画面サイズが大きく、バックライト機構も大型なので、同スタンドをそのまま流用するのは難しいだろうが、そろそろハイトアジャスタブルスタンドは直販モデルの選択肢として残しつつ、リニューアルしてもいい時期だと思う。

スタンドを外して、フリーマウントのVESA規格(100×100ミリピッチ)に準拠したフレキシブルアームなどを装着することも可能だ。チルト、スイベル、高さの調整、縦位置表示に対応したハイトアジャスタブルスタンドを採用する(写真=左/中央)。Y字に開いたフットスタンドが特徴だ。背面のデザインもシンプルで、スタンドには接続したケーブルを通すための穴がある(写真=右)

 次のページでは、SX2462Wに凝縮された高画質化技術、表示安定化技術、そして各種調整機能を見ていこう。

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