電気街全体がWindows 7直前の雰囲気にわくなか、その流れとは関係ない“祭り”が10月2日0時に行われている。アースソフトのデジタルチューナーカード「PT2」の深夜販売イベントで、企画した三月兎2号店前には約500人の行列ができた。同じタイミングで三月兎1号店では予約販売券の発行のみを行ったが、こちらにも約100人が並び、合計600人が1つのアイテムを目当てに深夜のアキバに集結したことになる。
PT2はB-CASカードやカードスロットを付属しないデジタルチューナーで、2008年のヒットモデル「PT1」の後継となる。PT1よりも3000円ほど安い1万7000円前後で売られている。10月2日以降は、三月兎だけでなく、さまざまなPCパーツショップで少数限定販売の告知が出され、その都度開店前に行列ができるほどの反響がある人気製品だ。
三月兎2号店は「PT1に比べて生産量が多いですが、反響も大きくなっていますね。初回は200枚も入荷したのに、まさか数が足りなくなるなんて思いませんでした。今後も、いろいろなショップでキャンペーンの目玉を張り続けるんだと思います」と語る。
PT2は番組録画などを頻繁に行うユーザーに集中したヒット作といえるが、より広い範囲の自作ユーザーに支持されるアイテムも同時期に出始めている。特に話題を集めたのはAMDの新GPU「Radeon HD 5000」ファミリーを搭載したグラフィックスカードだ。9月末に登場した「Radeon HD 5870」を皮切りに、10月初旬に「HD 5850」、中旬には下位の「HD 5770/5750」搭載カードが複数のショップに並んだ。HD 5000ファミリは、Windows 7で生かせるDirectX 11に対応し、アイドル時の消費電力が低く抑えられている特徴がある。フェイス秋葉原本店は「加えて性能も非常に高いと評判です。これで少し元気のなくなったGeForceとの差が大きく開きましたね」と語っていた。
そうして、春から秋ごろまで登場がウワサされていた大物パーツがほぼ出そろったところで、Windows 7の発売がカウントダウンに入っていった。
Windows 7の深夜販売イベントは10月21日19時ごろから始まり、数日前に参加を決めたショップも含めて15店舗以上が参加した。0時前には1000人を超えるユーザーがアキバに集まり、「ここまで集まったのはWindows 2000やXP以来じゃないでしょうかね。特価品目当てではなく0時発売の主役を求めている人が大多数だから、23時を超えても人が全然減らないんですよ」(ツートップ秋葉原本店)といった話が出るほど盛り上がった。
深夜販売が行われたのはパーツとセットでの購入が前提となるDSP版のみで、単独で売られるパッケージ版は10月22日8時から店頭に並んだ。どちらのタイプも最上位エディションとなるUltimateの売れ行きが好調で、10月初旬までは出荷数が追いつかずに売り切れの札を掲げるショップが目立った。DSP版の価格は2万3000円〜4000円程度だ(FDDのセット価格)。
T-ZONE.PC DIY SHOPは「マイクロソフトはライセンスを提供しているだけで、OSのディスクを製造しているのは代理店になります。その代理店が予想できないくらいに売れているということでしょうね。DSP版は32ビットと64ビットタイプが別々にパッケージングされていますが、特に64ビット版のUltimateが全然足りないという状況です。ここまでの反響は、正直想像を超えていますね」と話していた。
その後は、Ultimateとの機能差が少なくDSP版で6000円近く安く買える買えるProfessinalの人気も高まり、供給量も十分なレベルに達したが、年末時点まで「売り切れ」の札が街から完全に消える状態には至っていない。
ソフマップ秋葉原本館は「Windows 7の登場以来パーツの売れ行きも好調で、平日でも普段の日曜日くらいの成績が続いています。新しいマシンを組みたいという人が一斉に買い出したということで、毎日が日曜日状態になっていますね」と喜んでいた。
また、アキバにきていたボード系パーツの代理店は「Windows 7が登場するまで前年比75%くらいの売り上げしかなかったんですけど、一気に持ち直してきましたね。本当、Windows 7さまさまです」とコメントしていた。
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