2009年の“イマイタ”レビューは、AMDの“Deneb”こと「Phenom II X4 940」「Phenom II X4 920」で始まった。AMDファンが長いこと待った45ナノメートルプロセスルールを導入したCPUだが、統合されたメモリコントローラがDDR2対応だったことや、ベンチマークテストの結果で動作クロック3.0GHzのPhenom II X4 940がCore i7-920に届かなかったこともあって、DDR3対応モデルを望む声が高まった(この結果は、“45ナノ”でPhenomが飛翔する──“Denebコア”Phenom II X4の性能に迫るを参照のこと)。
2009年4月には、早くもDDR3対応のPhenom II X4 955 Black Editionがシリーズで最高クロックとなる3.2GHzでリリースされる。ただ、ベンチマークテストの結果は、「Sandra 2009.SP2 v15.72」にしても「SYSMark 2007 Preview Patch-4」にしても「PCMark Vantage Build 1.0.0」にしても、Core i7-920にわずかに届かなかった(この詳細はAM3を選ぶ「理由」がそろった──Phenom II X4 955のパフォーマンスをチェックするを参照のこと)。
この次に登場したのが、TDPを95ワットに抑えた「Phenom II X4 945」だ。この直後の「Phenom II X4 905e」「Phenom II X3 705e」「Phenom II X2 550 Black Edition」「Athlon II X2 250」など、AMDは、ミドルレンジからバリュークラスの価格帯で省電力を訴求するモデルを一気に登場させた(TDP95ワット版Phenom II X4 945の詳細はTDP下がって使い勝手向上──TDP95ワットの「Phenom II X4 945」を、Phenom II X4 905e、Phenom II X3 705e、Phenom II X2 550 Black Edition、そしてAthlon II X2 250の詳細は省電力モデルにX2──選択の幅が広がった「AM3」CPUを一挙に試すをそれぞれ参照のこと)。
この流れは、10月のAthlon IIシリーズのトリプルコアモデル「Athlon II X3」シリーズまで続くことになる(この中で、動作クロック2.9GHzのAthlon II X3 435で行ったベンチマークテストの結果ははざまを埋めるトリプルコアがAthlonでも──Athlon II X3 435の存在理由を考えるを参照のこと)
ハイエンドモデルでは、8月にPhenomシリーズで最高クロックとなる3.4GHz動作の「Phenom II X4 965 Black Edition」が登場したが、3カ月後にはTDPを140ワットから125ワットに“抑えた”モデルがリリースされた。(Phenom II X4 Black EditionのTDP140ワットモデルとTDP125ワットモデルの詳細は、それぞれ「Phenom II X4 965 Black Edition」でNehalemに挑むとTDP125ワットのPhenom II X4 965 Black Editionで何がどう変わった?を参照のこと)。
インテルのCPUは、2009年6月にBloomfieldの最上位モデルとしてCore i7-975 Extremeをリリースする程度で、2009年前半は目立った動きがなかったが、2009年後半に入った9月に、ミドルレンジモデルとして、“Lynnfield”世代のCore i7-800番台シリーズとCore i5シリーズ(とはいえ、投入されたのはCore i5-750のみ)が登場した。CPUソケットがBloomfieldと互換性のないLGA1156で、チップセットもデュアルチャネルメモリ対応のIntel P55 Expressとなるなど、スペックダウンとなるLynfieldだったが、Intel Turbo Boostのビン数がBloomfieldから増えたことで、ベンチマークテストの結果では、動作クロック2.93GHzのCore i7-870がCore i7-940を上回る局面も見せた(この詳細についてはNehalemの機能をメインストリームで──Core i7-870とCore i5-750の“突発”性能を楽しむを参照のこと)。
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