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» 2010年01月04日 00時01分 UPDATE

元麻布春男のWatchTower:新旧Netbookをテストして次世代Atomの可能性を考える (1/2)

インテルが2009年12月に発表した新AtomとIntel NM10チップセットだが、その実力はどの程度なのか。MSIの新旧Netbookでチェックした。

[元麻布春男,ITmedia]

NetbookとNettop向けの次世代プラットフォームが登場

 年の瀬も押し詰まった2009年の12月21日、インテルは次世代のNetbook/Nettopプラットフォームとなる新しいAtomを発表した。クリスマス直前のこの時期に、新しい製品を発表するのは異例だが、2010年早々のCESにおいてCore iプロセッサの新製品発表を控えており、集中するのを避けたかったのだろう。

 今回発表されたAtomプロセッサは冒頭でも記した通り、NetbookとNettop向けのプラットフォームで、Netbook向けがPine Trail-M、Nettop向けがPine Trail-Dというコード名で呼ばれていたものだ。前者が採用するCPUがAtom N450(開発コード名Pineview-M)で、後者のCPUがAtom D410(同Pineview-D/シングルコア)とAtom D510(同Pineview-D/デュアルコア)である。それぞれ従来のAtom NシリーズおよびAtom 230/330(同Diamondville)を置き換える。スペックなどについては下の表にまとめておいた。ちなみに、Moorestownという開発コード名で呼ばれてきた、Atom Zシリーズの後継となるMID向けの製品(CPUがLincroft、チップセットがLangwell)は、本稿執筆時点ではまだ発表されていない。

ht_1001at01.jpght_1001at02.jpg Netbook向けのAtom N450(写真=左)と、新チップセットのIntel NM10 Express(写真=右)

新旧Atomの比較
CPU Atom D410 Atom D510 Atom N450 Atom 230 Atom 330 Atom N280
開発コード名 Pineview-D Pineview-D Pineview-M Diamondville Diamondville Diamondville
ターゲット Nettop Nettop Netbook Nettop Nettop Netbook
コア数 シングル デュアル シングル シングル デュアル シングル
動作クロック 1.66GHz 1.66GHz 1.66GHz 1.60GHz 1.66GHz 1.66GHz
2次キャッシュ 512KB 1MB 512KB 512KB 1MB 512KB
Hyper-Threading
SpeedStep
サポートメモリ DDR2-800/667 DDR2-800/667 DDR2-667
内蔵グラフィックス GMA 3150 GMA 3150 GMA 3150
グラフィックスコアクロック 400MHz 400MHz 200MHz
内蔵HDMIサポート
TDP(CPU単体) 10ワット 13ワット 5.5ワット 4ワット 8ワット 2.5ワット
TDP(チップセットを含む) 12ワット 15ワット 7ワット 29.5ワット 33.5ワット 11.8ワット

ノースブリッジの機能を統合した新Atom

 Pineviewこと新Atomの最大の特徴は、従来チップセットのノースブリッジが提供してきた機能を、すべてCPUに取り込んだことだ。このため、従来は2チップ必要だったチップセットが1チップ化され、Intel NM10 Express(開発コード名Tiger Point)だけで済むようになった。CPUと合わせて、従来は3チップ必要だったプラットフォームが、2チップで構成可能になったわけで、低コスト、低消費電力、パッケージ面積(実装面積)の縮小、さらには性能向上に貢献すると思われる。

 中でも特に顕著なのがパッケージ面積の縮小と消費電力の削減で、インテルは前者についてNetbookで60%、Nettopで70%の削減が実現されたとしている。消費電力についても、チップセットを含めたプラットフォームレベルでの消費電力が大きく削減されたとする。単にチップカウントが減っただけでなく、発熱源であるグラフィックスエンジンが、CPUと同じ最新の製造プロセスである45ナノメートルプロセスルールとHigh-kメタルゲートを利用することになったのが大きく寄与しているのだろう。

 そのグラフィックス機能だが、CPUと同じダイに統合されており、N450およびD410はシングルダイのCPUとなっている。デュアルコアのD510も画像を見る限り、N450と同じシングルダイを採用している。Pentium D(Smithfield)風にFSBで2つのコアを連結したシングルダイ/デュアルコアCPUである可能性が高い。

ht_1001at03.jpght_1001at04.jpg 従来のNetbookとPine TrailベースのNetbookとの比較(写真=左)。新Atomではノースブリッジの機能がすべてのCPUに取り込まれている。2チップ化されたプラットフォームのメリットは、消費電力の削減と実装面積の縮小によるフォームファクタの自由度だとインテルは説く(写真=右)。これを生かして、特定用途に特化したシステムを作れと言うのだが、こういったプレゼンテーションで性能に関する言及がないのは極めて異例だ

インテルは意図的にスペックを抑えた!?

 インテルはPineviewが内蔵するグラフィックス機能をIntel GMA 3150と呼んでおり、3Dグラフィックスに関してはDirectX 9.0互換、Shader Model 2.0をサポートとしている。動画エンジンについては、MPEG-2のハードウェアアクセラレーションが可能だとする。インテルの過去のチップセット内蔵グラフィックスを振り返ると、Intel G33/G31チップセットの内蔵グラフィックス機能がGMA 3100と呼ばれており、機能的にもほぼ合致する。この改良版だと見るのが順当で、Atom ZシリーズのチップセットであるUS15W(Poulsbo)が内蔵するGMA 500とは全く別の系統だと考えられる(ちなみにGM965の内蔵グラフィックスはGMA X3100で、DirextX 10.0互換/Shader Model 4.0サポートである)。

 ただし、ディスプレイ出力はアナログVGAと内部接続用のLVDSのみがサポートされており、HDCPを含むデジタル出力(HDMIやDisplayPort)はサポートされない。NM10が内蔵するイーサネットコントローラが、100BASE-TX/10BASE-Tをサポートしたもの(ギガビットに非対応)であることと合わせ、意図的にスペックを抑えている印象を受ける。

 どうしてもスペックを抑えている印象が拭えない最大の理由は、上の表に示したデータにある。CPUの世代が新しくなったにもかかわらず、動作クロック、コア数、2次キャッシュ容量といったCPUの主要なスペックがほとんど上昇していない。これでは、大幅な性能向上は期待できないように思われる。

 インテルが発表したファクトシート(発表時に製品の要点をまとめたもの)を見ても、性能向上につながりそうな項目はデータプリフェッチの改善などマイナーなものしか見つからない。後は、メモリコントローラが統合されたことによるアクセスレイテンシの低減や、統合されたグラフィックスの性能に期待する、という感じだ。

試作機を使って新旧Atomをテスト

 そこでMSIの協力により、最終製品直前のPine Trail-M搭載機を借用し、Diamondvilleを搭載したNetbookと性能を比較してみた。Netbookゆえ、グラフィックス関連のテストには画面解像度が不足(1024×600ドット)するため、バッテリー駆動時間を計測するBBench以外は、すべて外付けディスプレイを接続し、画面解像度を1024×768ドットに設定して行っている。また、プラットフォーム間の比較ということで、HDDも同じ160Gバイトのもの(ST9160310AS)を使用し、OSにWindows 7 Starterをインストールしてテストした。PineviewのグラフィックスはAeroをサポートしているが、実際の製品構成としてはWindows 7 Starterが主力になると考えられるからだ。なお、今回比較したモデルは実際の製品と異なるスペックなので注意してほしい。

ht_1001at05.jpg MSIの新Atom搭載Netbook「Wind U135」
ht_1001at06.jpg U135の液晶ディスプレイ天面には細かな模様が刻まれている
ht_1001at07.jpg MSIの初代Netbook「Wind Netbook U100」

テストに使用したNetbookの主なスペック
製品名 Wind Netbook U100改 Wind U135改
CPU Atom N270(1.6GHz) Atom N450(1.66GHz)
チップセット Intel 945GSE+ICH7M Intel NM10 Express
メモリー DDR2 1GB
GPU Intel GMA 950 Intel GMA 3150
液晶 10インチ
解像度 1024×600ドット
HDD 2.5インチ160GB
OS Windows 7 Starter
ボディサイズ 260×180×19〜31.5ミリ
重量 1.16キロ 1.2キロ

ht_1001at08.jpght_1001at09.jpght_1001at10.jpg Wind U135のCPU-Z 1.52の画面(写真=左と中央)。1.66GHzのAtom N450を搭載する。GPU-Z 0.3.7の画面(写真=右)

ht_1001at11.jpght_1001at12.jpght_1001at13.jpg Wind U135のデバイスマネージャ画面

ht_1001at14.jpght_1001at15.jpght_1001at16.jpg Wind Netbook U100PU-Z 1.52.2の画面(写真=左と中央)。1.6GHzのAtom N270を搭載する。GPU-Z 0.3.7の画面(写真=右)

ht_1001at17.jpght_1001at18.jpght_1001at19.jpg Wind Netbook U100のデバイスマネージャ画面

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