ベンチマークテストには、CPUとメモリの測定にCINEBENCH R10とSandra 2010、システム性能の測定にSYSMark 2007 1.06、PCMark05、PCMark Vantage、3D性能のテストに3DMark VantageとストリートファイターIVベンチマークテスト、The Last Remnant Benchmark、そして、動画処理性能の測定としてWindows Live ムービー メーカーによるトランスコードを行い、最後にシステム全体の消費電力をワットチェッカーで測定した。
Sandra 2010とCINEBENCH R10の結果では、高い動作クロックながらデュアルコアで4スレッド動作のCore i5-661が、低い動作クロックだがネイティブでクアッドコアのCore i5-750を下回っている。スレッドの同時実行性能はともに4スレッドであるが、CINEBENCH R10のスコアでシングルスレッド性能とマルチスレッド性能を比較すると、Core i5-661が2.3倍、Core i5-750が3.3倍となる。
Sandraのメモリ関連テストの結果もCore i5-661は分が悪い。Memory BandwidthではIntとFloatとも4.5Gバイト/秒程度の差が出ているほか、Cache and Memoryでも全域でCore i5-750の転送速度が上回っている。なお、AMDのCPUと比べると、実はシステムのトータル価格でほぼ同じレベルになるPhenom II X4 965+AMD 790GXの組み合わせがCore i5-661+Intel H55 Expressの組み合わせとCPU関連テストでほぼ並ぶ(ただし、メモリ関連のテストではPhenom II X4 965が上回る)。
SYSMark 2007とPCMark系のテストでは、Core i5-661が逆転する。これは、動作クロックの優劣がベンチマークテストの結果に大きく影響するためだが、実際の利用シーンにおいても、すべてのアプリケーションがマルチスレッドに最適化されているわけでなく、デュアルコアで4スレッド同時処理ができる高い動作クロックのCore i5-661が有利になることも少なくない。一方で、Phenom系はCore i5-661にあと一歩及ばない。PCMark05のスコアを見る限り、Graphics性能でCore i5-661に対して1000ポイント近くの差がつけられているようだ。
3DMark Vantageの測定結果でCore i5 661とAMD 790GXを比較すると、Core i5-661に軍配が上がる。Overallだけでなく、Graphics Scoreでも80ポイント近い差がでるなど、これまでのIntel統合グラフィックと比べて3D性能が向上しているのが確認できた。ただし、ストリートファイターIVベンチマークテストとThe Last Remnant Benchmarkの結果では、Intel G45 Expressと比べて大きくスコアを伸ばしているのものの、640×480ドットという低解像度設定でも快適とはいえないフレームレートで、ストリートファイターIVベンチマークテストの結果ではAMD 790GXに逆転されている。ローエンドながらGeForce 210を搭載したグラフィックスカードでも統合グラフィックスコアと比べて1.5倍程度の性能向上が見られる。
また、Windows Live ムービー メーカーでは、2分42秒の1080p動画(WMV形式)をiPod用に変換する所要時間を測定したが、38秒というのは今回行ったテストで最速だった。ちなみにGPU-Zで確認する限り、Core i5 661はDirectComputeに対応しておらずCPUで処理した結果と考えられる。
消費電力の測定では興味深い結果がでてきた。今回は3Dゲームにおけるピーク時消費電力をストリートファイターIVベンチマークテストを動作している状態で計測としているが、Core i5-750+Intel H55 Express+GeForce 210の組み合わせが最も低い消費電力を示している。これは、Core i5-661に統合されたグラフィックスコアよりGeForce 210が省電力に優れていることになる。
一方で、CPUに負荷をかけた状態の消費電力はSandraのCPU Arithmeticを実行した状態で測定したが、これによると(マザーボードの違いによる消費電力差もあるとはいえ)Core i5-661の消費電力はCore i5-750よりかなり低い。また、CPUテストで互角に渡り合ったPhenom II X4 965は消費電力がかなり多い。アイドル時でもCore i5-661は比較したCPUの中で最少だった。
今回測定したテスト結果の中で、特に注目したいのはシステム性能と消費電力のバランスだろう。Clarkdaleがメインストリーム向けのPC向けであることを考えると、このメリットは大きい。Clarkdaleの価格は2万円前後、マザーボード価格も1万円台前半と予想されているので、価格を抑えつつCore iシリーズの最新アーキテクチャにステップアップできそうだ。
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