テレビチューナーは地上デジタル放送に対応し、リモコンの「テレビ」ボタンで機能が切り替わる。地デジ放送の視聴やHDD録画、Blu-ray Discへのハイビジョン記録(ダビング10に対応)、AVCRECを用いたDVDメディアへの記録に対応し、大きく見やすい番組表やハイビジョン解像度のままビットレートを圧縮する長時間録画機能、DTCP-IP対応DLNAサーバー/クライアント機能、録画番組の簡易カット編集機能、映像補正機能「彩りプラス」、ワンセグ搭載携帯電話への録画番組持ち出し機能「外でもVIDEO」、録画予約時に自動的に起動、および録画完了で自動終了する機能などを搭載する。
テレビの起動は、通常のWindows画面から番組が表示されるまで約9秒(実測値、以下同)、同じくスリープ状態から番組表示まで約19秒かかり、チャンネルの切り替え時間は約3秒ほどとなる。最近の家庭用テレビと比べてしまうとこれらのレスポンスはやや鈍めと感じることは否めないが、キーボードやマウス操作で入力できる番組検索やおまかせ録画機能、Web検索とも連動できる番組表、録画用ストレージをUSB外付けHDDで容易に追加できることなど、PCだからこその操作性や使い勝手も備えている。
このほか、デジオン製のDTCP-IP対応DLNAサーバー「ホームネットワークサーバー powered by DiXiM」を標準で備え、本機で録画した地デジ番組はLAN内のほかのDLNAクライアント搭載PCでも再生できる。同様にDLNAクライアント「ホームネットワークプレーヤー powered by DiXiM」も備えるので、DTCP-IP対応の家庭用レコーダーで録画した番組を本機で遠隔再生する──といったことも可能だ。Blu-ray Discドライブを搭載するので、録画した番組のBlu-ray DiscおよびDVDへのAVCREC記録のほか、市販Blu-ray/DVDタイトルの再生ももちろん行える。
なお、本機はBSデジタルや110度CSデジタルチューナーを搭載せず、ダブルチューナー仕様でもないため、これらBS/CS放送の視聴や裏番組録画などが行えないことには若干の注意が必要だ。もう1つ、“これ1台”で済ますなら家庭用テレビゲームを接続できるHDMIなどの「外部入力端子」も備えてほしかったところである。これらの機能を望むなら2基の3波対応デジタル放送チューナーを内蔵し、IPテレビサービス「ひかりTV」にも対応、かつHDMI入力+D端子を搭載する上位シリーズの「VALUESTAR W」を検討するとよいだろう。
VALUESTAR NVN770/WG6Rは、よくある家庭用AV機器に劣らないデザインや設置性を備えたテレビ+レコーダー機能付きのよくばりな液晶一体型PCだが、ある意味で「PC機能付きのレコーダー一体型液晶テレビ」ととらえることもできる。想定実売価格は20万円前後。液晶テレビ、HDD/Blu-ray Discレコーダー、PCをそれぞれ個別に導入するよりスマートに設置でき、選ぶ機種にもよるがこれら3つを個別に購入するより安価に済む、と考えることもできるだろう。
そういった意味で、本機の想定シーンとターゲットは「寝室や書斎などのプライベートルーム用、セカンドテレビ・PC用」、「家族用、年ごろの子ども用」、「実家の親用」、「ワンルーム住まいの新生活社会人や学生」だ。本誌の読者向けとしてはやや物足りないところがあるのも事実だが、手軽に全部まとめて1台にと考えるユーザーのほか、家族や知人(……にしては高価すぎるかも)に贈るPCとして今春、大いに喜ばれそうな1台といえる。
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