5万円台のマルチタッチ対応ミニノート――「Eee PC T91MT」をいじり倒す960グラム/5.1時間駆動(2/3 ページ)

» 2010年02月26日 11時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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マルチタッチ対応の回転式液晶ディスプレイを搭載

1024×600ドット表示の8.9型ワイド液晶ディスプレイを搭載する

 液晶ディスプレイのサイズは8.9型ワイド、画面解像度は1024×600ドットに対応する。スケーリング機能によって、縦の表示が多少つぶれるが、1024×768ドット表示に設定することも可能だ。2ポイントのマルチタッチ機能に対応したタッチスクリーンを採用しており、ボディ右側面の手前に内蔵するスタイラスペンや指などで、画面に直接触れて操作できる。

 表示品質に関しては、タッチセンサーの影響で画面が少しくすんだような表示となっており、視野角もかなり狭い。2〜3年前までの抵抗膜方式を採用したタブレットPCにはこのようなものがよく見られたが、最新の製品としてはもう少し頑張ってもらいたかった。6万円を切る低価格帯で多機能を詰め込んだため、ここは仕方がないところだ。

 ヒンジ部分は180度まで開き、さらに180度回転する2軸ヒンジとなっており、折り畳んでピュアタブレットスタイルで利用することもできる。画面の表示方向は液晶ディスプレイの左下にあるボタンの長押しで切り替えられる。ボタンを長押ししていると表示方向を示すアイコンの向きが90度単位で順次変わっていくので、表示させたい方向に向いたときにボタンから手を離せばよい。

 本体をピュアタブレットスタイルにして、付属のスタイラスペンや指で画面に触れて操作するスタイルならば、電車内などで立ったまま利用できる。Windows 7 Home Premiumには手書き認識に対応した入力パネルやペン入力前提のアプリケーション(Windows Journalなど)が用意されており、Webブラウズ時の検索、簡単なメモやメールの作成ならばペン入力のみで十分行なえる。

 T91MTのような小型軽量ノートPCとマルチタッチ機能との相性は非常によいといえるし、タッチタイプによる本格的な文字入力を行いたい場合に対応できるキーボードも備えている。

マルチタッチ対応の液晶ディスプレイは2軸ヒンジを採用しており、全体を180度回転させて折り畳める
液晶ディスプレイを天面側にして折りたためば、このようにピュアタブレットPCのスタイルになる
スタイラスペンは右パームレストの下に収納されている。マグネットでペンが収納部にくっつくため、不用意に脱落しないのは便利だ

タッチパネルはスタイラスペンでも、指で直接画面に触れても操作できる。写真はASUS独自のフォトビューワ/アルバム作成ツール「フォトファン」を利用している様子
視野角の狭さが少し気になるが、縦位置での表示も可能だ。もちろん、Windows 7 Home Premiumに搭載された手書き認識やソフトキーボードの機能も利用できる

タッチ対応アプリケーションは多数付属するが……

デスクトップ画面に常駐するランチャーソフト「Eee Docking Touch」。指でも操作しやすいよう大型のアイコンと文字表示となっている

 マルチタッチ機能に対応したアプリケーションとしては、壁紙作成ソフトやゲームなど6つのアプリケーションからなるWindows 7の「Microsoft Touch Pack」のほか、独自のアプリケーションとして、写真管理/アルバム作成ツールの「フォトファン」やメモ付き計算機などが用意されている。

 これら独自のツールはWindows 7のデスクトップ画面上部に常駐するランチャーソフト「Eee Docking Touch」からアクセスできる。また、タッチ操作に最適化された大きなアイコンから各種アプリケーションなどにアクセスできる全画面メニューの「Touch Gate」も備えている。全画面メニューとWindows 7デスクトップ画面の切り替えは液晶ディスプレイ下部のボタン1つで行なえる。

全画面表示のタッチメニュー「Touch Gate」。「Eee Docking Touch」の右に表示されている指のアイコンをクリックするか、液晶ディスプレイ左下のボタンを押すと起動する(同ボタンを長押しすると、表示方向が順次切り替わる)。画面中央のスライダを動かすとデザインが変化する

 もっとも、日本向けの製品企画としては少々疑問も残る。「Eee Docking Touch」にはオンラインコンテンツにアクセスできる「ASUS@Vibe」や「AP Bank」などもあるが、前者のコンテンツは海外仕様のままだし、後者のゲームなどもやはり海外仕様の体験版であり、国内ユーザーにアピールするには厳しいだろう。

 特にライトユーザー向けのランチャーメニューに標準でこういうものが含まれていると、PCに不慣れなユーザーが価格に引かれて買った場合、取っつきにくいと感じてしまい実にもったいない。低価格なノートPCであっても、タッチパネル用のソフトをしっかり付けようという姿勢は評価したいが、日本版では思い切ってカットしてもよかったのではないだろうか。

ASUSオリジナルの「計算機」。指でも操作しやすいよう大型のボタンデザインとなっている。関数電卓の機能もあり、右側にはメモ帳を備えている
オンラインコンテンツのポータルサイトのような「ASUS@Vibe」。残念ながら、コンテンツは日本向けにカスタマイズされていない
Windows 7の付せんツール「StikyNot」も手書き入力に対応する。付せんは色や大きさのカスタマイズも可能だ

「Microsoft Touch Pack」に含まれる壁紙作成ツール「Microsoft Surface Collage!」。台紙の上に並べた写真素材の配置、拡大/縮小、回転、台紙や枠の選択などをマルチタッチ操作で行なえる

 また、Microsoft Touch Packの使用感も気になる部分がある。画面の狭さやCPUの遅さから操作がもたつくことがあり、データストレージ容量の小ささも画像データなどを扱う点ではネックとなるだろう。

 Microsoft Touch Packはユーザーがタッチ機能に親しむためのとっかかりとして適したソフトではあるが、PCのキーボードとマウスによる操作になじめないユーザー向けという側面も強い。特に画面が小さなAtom Z搭載モバイルマシンのT91MTでは、その利便性をうまく発揮できないことも少なくない。

 つまり、タッチパネルとコンバーチブル型ボディを採用したことで、ピュアタブレットPCのスタイルでWindows 7をタッチ操作できる点は、電車の中や寝ころんで利用する場合などに便利だが、付属のマルチタッチ対応ソフトは使い勝手がいまひとつなものも少なくない、というのが率直な感想だ。

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