今回のベンチマークテスト環境は、Clarkdaleのテスト環境に合わせている。ただし、当然ながら、AMD 890GXに載せるCPUはPhenom II X4 965 Black Editionを用意した。また、SYSmark 2007では64ビット版Windows 7を、そのほかのベンチマークテストでは32ビット版Windows 7を利用している。なお、比較用のCore i5-661、およびAMD 790GXとPhenom II X4 965BEを組み合わせた測定データはすでに計測しているものを引用している。
評価用システム構成 | |||
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CPU | Core i5-661+Intel H55 | Phenom II X4 965+AMD 790GX | Phenom II X4 965+AMD 890GX |
マザーボード | Intel DH55TC | MSI 790GX-G65 | ASUS M4A89GTD PRO/USB3 |
チップセット | Intel H55 Express | AMD 790GX+SB750 | AMD 890GX+SB850 |
メモリ | DDR3-1333 4Gバイト(2Gバイト×2) | ||
HDD | WD5000AAKS(500Gバイト/7200rpm/16Mバイト) | ||
OS | 32ビット(一部テストで64ビット)版Windows 7 Ultimate | ||
AMD 890GXのベンチマークテストは、やや荒れた結果となった。具体的には、Sandra 2010のCPUベンチマークで、DhrystoneのスコアがAMD 790GXを下回っている。また、CINEBENCH R10のレンダリングテストでもAMD 790GXを下回る。搭載しているCPUが同じであるだけに、本来であれば同等であるべきだ。今回用いたβ版ドライバの完成度が影響している可能性は十分考えられる。
ただし、SYSmark 2007では4項目のうち3項目でAMD 790GXよりもスコアを伸ばし、Core i5-661とIntel H55 Expressの測定結果にもう少しで届きそうな勢いだ。PCMark 05、PCMark Vantageでも、OverallのスコアはAMD 790GXを下回っているものの、個別に見ればほとんどのテストでAMD 790GXを上回る。さらに、Sandra 2010の先にあげた以外のテストでも、若干の向上が見られる。
また、3Dグラフィックスのスコアでは、例えば3DMark VantageがAMD 790GXと比べ大きく向上しているほか、THE LAST REMNANTは、ほんわずか、コンマ数FPSの向上が見られた。しかし、ストリートファイターIVでは平均5fpsほどフレームレートを落としている。こちらもドライバの完成度が影響している可能性がある。なお、3DMark Vantageを除く実アプリケーションでは、Core i5-661とIntel H55 Expressのフレームレートを上回っている点が評価できる。
消費電力の比較では、マザーボードが異なるために注意深くチェックする必要がある。例えば、AMD 790GX環境と比べるとCPUテストのピーク値で24ワットの差が見られることから、この分がベースとなるマザーボード(回路設計のほか追加チップなども含む)の消費電力の差と考えることができる。これに3D描画におけるピーク値を加えると、そこまで差はない計算になる。ただし、実測した結果にもあるようにAMD 890GXはAMD 790GXより省電力技術も進んでいることもあって、省電力であることは確かといえる。
AMD 890GXは総合力でAMD 790GXから性能が向上していることを感じさせるが、今回の評価で用いたドライバの完成度が影響したのか、現時点ではその力をすべて出し切っていない。また、評価期間の関係で、Serial ATA 6Gbps、そして、PCI Express x1に接続したUSB 3.0のテストができなかった点も残念だった。
すでにUSB 3.0は外付けHDDが販売されていて、その効果を享受できるユーザーも多い。また、Serial ATA 6Gbps機器に関しても、その性能が試せる製品が間もなく登場する見込みだ。このような製品をシステムに組み込んだときこそ、AMD 890GX搭載マザーボードは真の性能を遺憾なく発揮できるだろう。
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