「脳の拡張」Evernote日本語版リリース 日本法人設立へ

» 2010年03月03日 18時34分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 Web版Evernote

 米Evernoteは3月3日、PCやスマートフォンから利用できるWebベースのメモ管理ツール「Evernote」の日本語版を公開した。5月末ごろまでに日本法人を設立し、日本向けの新機能開発やユーザーサポートなどを行う予定だ。

 PC「VAIO」(ソニー)やスマートフォン「Xperia」(NTTドコモ)にクライアントソフトをプリインストール提供するなど他社ともコラボレーションし、ユーザーを広げていく。

「フリーミアム」なビジネスモデル

 Evernoteは、テキストメモや音声ファイル、Webページ、画像などをオンライン上で一元管理したり、各端末に同期できるツール。Webブラウザから使えるほか、PC・スマートフォン向け専用クライアントソフトも提供している。

画像 端末別の利用シェア

 一般公開は2008年6月。口コミで人気が広がり、世界で250万ユーザーが利用、1日7000人ずつ増えているという。ほとんどのユーザーが、PCとスマートフォンなど複数の端末から利用しているという。

 主要機能は無料で利用できるが、有料オプション(月額5ドルまたは600円、年額45ドルまたは5200円)を申し込めばストレージ容量拡大など付加機能を使える。有料ユーザーは約5万人。

 「フリーミアムモデルを採用している」と、米Evernoteのフィル・リビンCEOは話す。利用1カ月以内のユーザーの課金率は0.5%だが、β版時から2年間使い続けたユーザーの課金率は8%と、長く使うユーザーほど有料版に移行する傾向にあり、収入はひと月に18%増えているという。

日本のユーザー、米国に次ぐ2位 アクセス頻度は倍

画像 海外ユーザー数推移。日本のユーザーが突出している

 日本のユーザーは15万人と米国に次いで2番目に多いため、日本語版提供を計画。Web版とWindows版、Mac版、iPhone版、Android版のクライアントソフトを日本語化した。

 英語版しかなかった当時から日本のユーザーは熱心に利用しており、日本の1日のユニークユーザーは2万5000人で、アクセス頻度は世界平均の倍。日本語版は当初、夏に公開する予定だったが「日本のユーザーが翻訳に協力してくれ、前倒しできた」という。

 日本法人は「東京都内に90日以内に設立する」としており、5月末ごろまでに設立される見通しだ。米本社の100%子会社として、当初の社員数は5人程度を予定。日本市場のマーケティングや新機能の開発、ユーザーサポートなどを行う。

 日本法人設立に合わせ、スキャナーから取り込んだ画像の文字を読み取るOCR機能の日本語対応を計画している。まずは平仮名と片仮名、一部の漢字の読み取りに対応し、順次精度を高めていく。

VAIOやXperia、imageFORMULA DR-150に対応

画像 リビンCEO

 他社ハードやソフトとの連携も進め、ユーザー拡大につなげる。欧米ではすでに、ソニーのPC「VAIO」にEvernoteがプリインストールされており、日本のVAIOにも順次搭載していく予定だ。NTTドコモが4月に発売予定のスマートフォン「Xperia」にもクライアントアプリを搭載する。

 キヤノンの小型ドキュメントスキャナー「imageFORMULA DR-150」では、4月に公開するMac OS用クライアントソフトにEvernoteボタンを配置。スキャンした書類をそのままEvernoteに格納できる。

 インフォテリアが開発中のiPhone用カレンダーアプリ「TwitCal」と連携したり、無線LAN機能を搭載したSDメモリーカード「Eye-fi」購入者にEvernote有料版の1年間無料クーポンを付ける企画も。A4サイズの紙を折りたたみ、メモした後にスキャンしたり写真に撮ってデジタル化しやすくしたメモ帳「abrAsus」を展開するバリューイノベーションともパートナーシップを結んだ。


画像 VAIOにプリインストール
画像 紙のメモ帳「abrAsus」ともコラボ

 「われわれのゴールは、ユーザーの脳を拡張すること。あらゆるデバイスとEvernoteを連携させていきたい」とリビンCEOは意気込んでいる。

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