ソニーの新しい主力スタンダードノート「VAIO E」を攻略するカラーもパフォーマンスも自由自在!?(3/3 ページ)

» 2010年03月26日 11時00分 公開
[富永ジュン(撮影:矢野渉),ITmedia]
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カラーコーディネートも楽しめるテンキー付きキーボード

 カラーバリエーションを問わず共通仕様となるキーボードは、テンキーに至るまで約19ミリのキーピッチが確保された、フルサイズのテンキー付きアイソレーションキーボードを搭載している。

 カーソルキーがほかのキーより一段下がった独立レイアウトになっているほか、テンキーがデスクトップPC向けキーボードと同じ4段配列になっているなど、不規則なキー配置がないためにミスタイプが起こりにくく、タイプ時のストレスは非常に少ない。

 キーストロークは約2ミリとやや浅いものの、キータッチは少し重めでキーを押し下げたときにしっかりとしたクリック感がある。キーボード中央部のたわみやぐらつきがほとんどないことも合わせて、入力はしやすい。

 キーボードの上部には、電源ボタンのほか、ASSIST、WEB、VAIOの3つのワンタッチボタンが設けられている。電源オフの状態でWEBボタンを押すと、インスタントWebブラウズ機能の「Quick Web Access」がすばやく起動する仕組みだ。ASSISTボタンはサポートソフトの「VAIO Care」、VAIOボタンは映像/音楽プレーヤーソフトの「Media Gallery」を起動するのに使う。

本体の横幅を最大限に利用したフルピッチのアイソレーションキーボードを搭載する
キーボードの上部にはASSIST、WEB、VAIOの3つのワンタッチボタンが配置されている

 なお、ユニークなオプションとして「キーボードウェア」と呼ばれるキーボードカバーが用意されている点にも注目したい。

 一般的にキーボードカバーというと、キートップが透けて見える半透明の厚いビニールカバーのようなものを想像するかもしれないが、キーボードウェアはまったく違う。厚さ0.3ミリと薄いシリコン素材をアイソレーションキーボードの凹凸とまったく同じ形に成型し、さらにキートップ部分にそれぞれのキーに対応した文字を印字することで、装着すると各キーにぴったりとフィットして、デザインを損なうことなくキーボードを保護できるのだ。

 実際、キーボードウェアを装着していることを知らされなければ、そういったデザインのPCに見えてしまうほど、本体になじむ様子には驚かされる。キータッチについては、カバーをしている割に違和感がかなり小さい。汚れたら取り外して中性洗剤などを使って水洗いできるのもうれしい。

 キーボードウェアの醍醐味(だいごみ)は、VAIO E本体とのカラーコーディネートにある。本体のグロッシーカラーとおそろいのブルー、ピンク、グリーン、ブラックの4色に、個性的なパープルを加えた合計5色のカラーバリエーションが用意され、5色のグロッシーカラーと組み合わせることで、全25通りのコーディネートが楽しめる(グロッシーカラーにはホワイトもあるが、ホワイトのキーボードウェアは用意されない)。

 グロッシーカラーとキーボードウェアのカラバリは、どちらも主張が強い色なので、ついつい同色を選びがちだが、実はスポーツウェアのような派手な色同士の組み合わせも意外性があって面白い。派手な組み合わせを見ているうちに、段々とキーボードウェアを装着していない状態が物足りなくなってくるから不思議なものだ。現在は1色ずつ単独販売(直販価格2980円)されているが、シーンや気分に合わせて着せ替えを楽しめるよう、5色詰め合わせセットをリーズナブルな価格でぜひ販売してほしい。

キーボードウェアは5色のカラバリを用意。アイソレーションキーボードにぴったり装着できる
グリーンのボディにパープルのキーボードウェアを装着した様子。印象がガラリと変わる
VAIO Eのグロッシーカラー5色と、キーボードウェア5色を組み合わせた例。全部で25通りのカラバリが楽しめる

タッチパッドは2本指でのジェスチャー機能に対応

パームレストと一体成型のタッチパッドは、細かいディンプル加工でパッド面を表現している

 閑話休題。本体のレビューに戻ろう。タッチパッドはパームレストと一体成型されているが、パッド面に細かなディンプル加工が施してあり、光沢仕上げながらも指先がぺたぺたと吸い付くことがなく、指の滑りはなかなかよい。

 パッド面(77×46ミリ)や左右のクリックボタンは十分な大きさがあり、アルプス電子製のドライバによって、サークルスクロールのほか、指2本を使っての拡大/縮小、進む/戻るといった操作が行えるジェスチャー機能も利用可能だ。

 一方、テンキーを搭載したことにより、キーボードのホームポジションは左に大きくずれており、本体の左端から87ミリ、右端から198ミリとかなり左寄りにタッチパッドが配置されている。

 Webブラウズや映像/音楽コンテンツの視聴などでは問題ないが、長時間の文章入力などでは画面の中心と体の中心が大きくずれるため、快適とはいいがたい。机上でじっくり長時間の作業を行う場合は、外付けマウスを利用することで、違和感を軽減できるだろう。幸い、VAIO Eには本体色によく合うカラフルなBluetooth レーザーマウスのオプションも用意されている。

タッチパッドにはアルプス電子製のドライバが導入されており、サークルスクロールや、2本指を使ったズーム、フリック、ピボットローテーションなどのジェスチャー機能に対応する

ベンチマークテストのスコアは?

 最後にパフォーマンスについて見てみよう。今回試用した機材でWindowsエクスペリエンスインデックス、PCMark 05、PCMark Vantage、3DMark 06、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアを計測した。

 今回テストしたVAIO Eは2台だ。1台はVAIOオーナーメードモデル「VPCEB1AFJ」で、Core i7-620Mと8Gバイトメモリ、7200rpmの500GバイトHDD、BDドライブを搭載したかなりハイスペックな仕様だ。もう1台は店頭モデルの上位機「VPCEB18FJ/P」で、Core i5-430Mと4Gバイトメモリ、5400rpmの500GバイトHDD、DVDスーパーマルチドライブを備えている。OSはいずれも64ビット版Windows 7 Home Premiumだ。

テストしたVAIOオーナーメードモデル「VPCEB1AFJ」。カラーはグリーン
テストした店頭モデル「VPCEB18FJ/P」。カラーはピンク

VAIOオーナーメードモデル「VPCEB1AFJ」のデバイスマネージャ画面。試用した機材はHDDが東芝の「MK5056GSY」、BDドライブがパイオニアの「BDR-TD02」だった

店頭モデル「VPCEB18FJ/P」のデバイスマネージャ画面。試用した機材のHDDはシーゲイトの「ST9500325AS」だった

 Windowsエクスペリエンスインデックスの基本スコアは、2台とも「4.7」だった。これはCPUに統合されたグラフィックス機能を利用しているためで、グラフィックス以外の値は良好な結果だ。特にスペックが高いVPCEB1AFJでは、プロセッサとメモリで「6.9」とスタンダードノートPCにしては優秀なスコアを獲得している。

VPCEB1AFJにおけるWindowsエクスペリエンスインデックスのスコア
VPCEB18FJ/PにおけるWindowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 ほかのベンチマークテストでも傾向は同じだ。3DMark06やFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3、PCMark05のGraphicsスコアなどはパッとしないが、マルチコアへの最適化が進んだテストのPCMark Vantageではエントリー層までカバーするシリーズにしては高いパフォーマンスを発揮している。

PCMark05のスコア。OSが64ビット版Windows 7なので、総合スコアは算出されない
PCMark Vantage(x64)のスコア

3DMark06(1366×768ドット)のスコア
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコア

 弱点のグラフィックス性能については、VAIOオーナーメードモデルでフルHD対応のVAIOディスプレイプラスとMobility Radeon HD 5650を選択すれば大きく改善できる。国内メーカー製の大画面ノートPCで高性能を追求すると、どうしてもテレビチューナーなどのマルチメディア機能がセットになりがちだが、「マルチメディア機能はいらないが、処理速度が速い大画面ノートPCが欲しい」というユーザーにとっては、VAIO Eが有力な候補になるかもしれない。

 なお、静音性については、通常時はごく小さくファンの風切り音が聞こえるのみでかなり静かといえるが、システムに負荷がかかると、音量はさほど大きくないものの、高音域のファンノイズが発生する。リビングなどの生活音が多い場所ではあまり気にならないと思うが、寝室や書斎などで集中して作業したい場合には少々耳につくかもしれない。

幅広い用途と好みに応じられる新世代スタンダードノートPC

 VAIO Eは、エントリー層もカバーするスタンダードノートPCという位置付けながらも、トレンドを積極的に意識した大胆なカラバリと、価格重視にも性能重視にもなれる自由度が高いカスタマイズオプションが魅力だ。

 デザイン面では7色展開の本体に加えて、オプションのキーボードウェアやBluetoothレーザーマウスを取りそろえ、ユーザーが心ゆくまでコーディネートを楽しめる一方、フルHD液晶や外部GPU、Core i7、BDドライブといったハイスペックなパーツを搭載することもできる。これなら、多くのユーザーにとって納得がいく1台を組み上げられるだろう。

 店頭モデルの実売価格は、今回テストした上位機が15万円前後、下位機が13万円前後だ。VAIOオーナーメードモデルについては、テストしたハイスペックな構成で18万4800円、最小構成ならば8万9800円と低価格から購入でき、なかなかコストパフォーマンスは高い。据え置き型ノートPCのデザインにもパフォーマンスにも妥協したくないユーザーは、ぜひチェックしてほしい新シリーズだ。

Sony Style(ソニースタイル)

Sony Style(ソニースタイル)

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