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» 2010年03月30日 16時16分 UPDATE

元麻布春男のWatchTower:“派手さ”とは無縁な「ThinkPad X201」の奥深さを知る (1/2)

CPUにCore iファミリーを搭載してリニューアルされたレノボ・ジャパンの「ThinkPad X201」。どこが変わって、どこが変わらなかったのか。

[元麻布春男(撮影:矢野渉),ITmedia]

派手さがないところこそが持ち味

ht_1004th01.jpg Core iファミリーに生まれ変わった「ThinkPad X200」

 ビジネス向けノートPCの「ThinkPad」シリーズにあって、最も携帯性に優れているのがXシリーズだ。とはいっても、携帯性のみに着目し、ひたすら軽量化を追求するのではなく、ビジネスに必要な性能と携帯性のバランスを考え、スペック的に無理をせず、奇をてらわないのがXシリーズの特徴となっている。いわば実用性を重視したモバイルPCだけに、市場最軽量とか、市場最高性能といった派手なファンファーレは鳴らしていないが、逆にそこがユーザーに支持される理由でもある。

 オーセンティックなモバイルPCだけに、ThinkPad Xシリーズは仕様として保守的な部分も少なくない。現在、ノートPCといえばワイドタイプの液晶ディスプレイを採用するモデルが圧倒的に多いが、Xシリーズが最初にワイド液晶を採用したのは2008年2月に発表されたX300が初めてだ。X300は、実用性を重視したThinkPadにあっては、薄さと2スピンドルの両立を目指した「プレミアム・モバイル」に位置付けられた製品で、メインストリームのモバイルPCがワイド液晶に対応したのは同年夏に発表されたThinkPad X200シリーズが初となる。

久々のモデルチェンジでプラットフォームを一新

ht_1004th02.jpg LEDバックライトを採用した非光沢の12.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載する。明るさは16段階に切り替えられる

 今回取り上げるThinkPad X201は、型番でも分かる通り、このThinkPad X200のモデルチェンジ版となるシングルスピンドル機で、2010年2月23日に国内発表された。おおよそ1年半ぶりのモデルチェンジとなったX201の特徴は、2010年の1月に発表されたインテルの最新モバイルプラットフォームであるCalpella(開発コード名)を採用した点にある。CPUにグラフィックスコアを統合し、CPUだけでなくグラフィックスにもターボ機能を備えたCPUであるCore i7/i5(開発コード名Arrandale)を採用し、企業ユーザー向けに管理機能を強化したIntel QM57 Expressチップセットを組み合わせた。これに合わせて無線LANモジュールも新しい世代の製品に更新され、2×2 MIMOの無線LANに1×2 MIMOのWiMAXを組み合わせたCentrino Advanced-N + WiMAX 6250や、3×3 MIMOの無線LAN機能を持つCentrino Ultimate-N 6300を選択することが可能になっている。

 さらに3月に入りレノボは、下位CPU(Core i5-430MおよびCore i3-330M)を組み合わせたモデルを、「ThinkPad X201i」として追加した(Core i5-430Mは直販のみ)。大企業向けビジネスPCという色彩の強いX201に対し、X201iは中小企業向けという位置付けになっているが、Intel AMT(Active Management Technology)に非対応(ハードウェア的にはサポートしているが、採用されたCPUとAMTの組み合わせでは無効化されている)という違いがある。

ht_1004th03.jpg 新モデルでは、液晶ディスプレイ天面からLenovoロゴが省略された
ht_1004th04.jpg ThinkPadロゴは液晶ディスプレイ天面とパームレスト右側にある
ht_1004th05.jpg 従来のThinkPad X200シリーズには天面にLenovoロゴが用意されていた

※ThinkPad X201iのAMT対応について、レノボ・ジャパンより情報訂正があり、該当部分を加筆修正しました(2010年3月31日/編集部)

キーボードやインタフェースは従来モデルを踏襲

ht_1004th06.jpg 前モデルと同じ日本語89キーボードを搭載する。直販モデルでは英字キーボードも選択可能だ

 こうしてCPUおよびチップセットが一新されたThinkPad X201シリーズだが、中身と違ってボディは、ほぼX200を踏襲した格好となっている。もちろん、バッテリーやACアダプタ、ウルトラベース(ドッキングステーション)といった周辺機器との互換性も維持された。その中で変わったのは次の3点だ。

 まず天板に入っていたLenovoのロゴがなくなったこと。X200では液晶ディスプレイ天面右下のThinkPadロゴに加え、左下にLenovoのロゴが入れられていたが、X201ではThinkPadロゴのみになっている。

 次に、全部で3ポート用意されたUSB 2.0ポートのうち、左側面手前の1つのみが黄色く着色されたコネクタに変わった。黄色は、ACアダプタにも使われているように電源を示すものだ。このポートだけは本体に電源が入っていない際でも、USB機器に給電し充電することが可能となっている(パワードUSB)。

 そしておそらく最も大きな変更は、キーボードにウルトラナビタイプが加わったことだ。ThinkPadの内蔵ポインティングデバイスといえば、キーボードの中央に設けられたトラックポイントであり、その使い勝手から熱心なファンが少なくない。その一方で、どうしてもなじめないユーザーも存在するうえ、ほかのPCに採用されているタッチパッドと異なることから導入を見送る企業もあった。大型のTシリーズなどでは、トラックポイントに加え、タッチパッドを備えたウルトラナビタイプのキーボードが標準となってきたが、X201シリーズにもウルトラナビタイプの設定が加わっている。

 ただし、このウルトラナビタイプのキーボードは、直販モデルに用意される1155円増しのオプションという扱いだ。トップセラーモデル(BTOに対応しない標準構成カタログモデル)は、従来通りのトラックポイント付きキーボードとなっている。既存のThinkPadファン以外、トラックポイントが理由でThinkPadを避けてきた層へのアピールという点では、トップセラーモデルにこそウルトラナビタイプのキーボードを採用すべきではなかったか、という気もする。

 これらを除けば、インタフェース回りはほぼX200を踏襲している。上述したようにUSBポートは2.0のままで、USB 3.0への対応は見送られた。外部ディスプレイ出力もアナログRGBであり、DisplayPortやHDMIなどのデジタル出力には対応しない。こうした保守性が、大企業向けビジネスPCたるゆえんでもあるが、そろそろデジタル出力の採用を検討してほしいところだ(別売のウルトラベースにはDisplayPort端子が用意される)。

ht_1004th07.jpght_1004th08.jpg 前面下部の右側に開閉ラッチとメモリカードスロット(SDHC対応SDメモリーカード/メモリースティックPRO/MMC)が並ぶ(写真=左)。背面はバッテリーのみで端子は用意されていない(写真=右)

ht_1004th09.jpght_1004th10.jpg 左側面には排気口や2基のUSB 2.0、アナログRGB出力、ギガビット対応の有線LAN、無線LANの電源スイッチ、ExpressCardスロット(/54対応)が用意される(写真=左)。黄色のUSB端子は電源供給に対応した。右側面はHDDベイやFAXモデム、USB 2.0やサウンド端子がある(写真=右)

 一方、このまま守ってほしいのは、液晶ディスプレイがノングレアであること。やはり長時間の利用は、光沢タイプよりノングレアの方が疲れない。ThinkPadブランドでも下位のSLEdgeシリーズは、コンシューマー向けと同じ光沢タイプになっており、違いが現れている。画面の縦横比も、下位モデルの16:9(1366×768ドット)ではなく、X200と同じ16:10(1280×800ドット)が維持された。こういった保守性を歓迎するユーザーは多いのではないかと思う。

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「ThinkPad X201」をLenovoショッピングサイトで購入する
CPUにCore iファミリーを搭載してリニューアルされた「ThinkPad X201」。最小構成ならば直販サイトで10万円前後から購入可能だ。


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