さて、今回評価に用いるThinkPad X201sは、BTOに対応しない標準構成の「5143-2FJ」だ。OSは32ビット版のWindows 7 Professionalを導入する。上述したように、CPUに低電圧版で定格動作クロック2.0GHzのCore i7-620LM(TBT時有効時で最大2.8GHz)を採用し、LEDバックライトを備えた液晶ディスプレイの解像度は1440×900ドットだ。低電圧版CPUの採用によってクーラーユニットのファンとヒートシンクが小型になったおかげで、本体の左側面がすっきりし、ThinkPad X201シリーズより軽量になったのはThinkPad X200sと共通する傾向だ。
重量の実測値は、本体が約1027グラムで標準の4セルバッテリーが約198グラム、トータルで約1225グラムだった。ThinkPad X201と比べて150グラムほど軽くなっているが、筆者の手元にあるThinkPad X200sから27グラムほど重くなっている。HDDの違いなど、搭載するパーツによっても重量は変動するから、この程度の違いなら「ThinkPad X200sとほぼ同じ重さ」といっていいだろう。実際、持って分かるほどの違いは感じられない。
CPUと液晶ディスプレイ以外の主なスペックは、すでにレビュー記事で紹介したThinkPad X201とほぼ同等だ(レビュー記事は“派手さ”とは無縁な「ThinkPad X201」の奥深さを知るを参照のこと)。天面から「Lenovo」ロゴが消え、パワードUSBポート(PCの電源がオフでも接続したUSB周辺機器に充電が可能)が用意されることや、BTOでトラックポイントとタッチパッドの両方を搭載したウルトラナビキーボードを選択可能なことなどはThinkPad X201と変わらない。Intel QM57 Expressチップセットや標準構成で搭載する2Gバイトのメモリ(PC3-8500)、BluetoothやモバイルWiMAXに対応した無線LANモジュール(Centrino Advanced-N+WiMAX 6250)もThinkPad X201と共通だ。
なお、レノボはThinkPadシリーズにおけるモバイルWiMAXの導入に積極的で、今回のモデルチェンジによってThinkPadの主要モデルがモバイルWiMAX搭載可能となった。
重さはほぼ同じといえるThinkPad X201sと従来モデルのThinkPad X200sだが、数値の上で大きな違いを見せているのが性能だ。ThinkPad X200sやThinkPad X201のレビュー記事で行ったベンチマークテストを用いてThinkPad X201sのパフォーマンスを測定したところ、ThinkPad X200sから最大で5割近い性能向上が確認できた(ただし、グラフィックス性能に関してはそれほど大きな違いはないが)。
さすがに、ThinkPad X201のスコアと比べてみると、世代が同じ通常電圧版CPUのCore i5-540M(動作クロック2.53GHz、TBT有効時で3.06GHz)を搭載しているだけあって、10%強ほどスコアが落ちるが、それでも前世代の通常電圧版CPU搭載モデルに比べれば性能は向上している。
ThinkPad X201とのすみ分けは、このような1割の性能低下と4万円あまりの追加出費と引き換えに、150グラムの軽量化と高解像度ディスプレイを手に入れるというトレードオフになる。これを受け入れるユーザーはThinkPad X201sを購入し、それは見合わないと考えるユーザーはThinkPad X201を選ぶことになる。
ThinkPad X201sにとって最大のネックとなるのは、性能ではなく高解像度ディスプレイだ。ThinkPad X200sでもたびたび受注停止になったことでも明らかなように、12.1型ワイドで1440×900ドット表示の液晶パネルは製造元が限られることもあって、供給がなかなか安定しない。そのため、今(2010年4月上旬)も納期に時間がかかっているようだ。ThinkPad X201sを購入したいユーザーは、納期をよく確認し、早めの発注を行う必要があるだろう。
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