前述の通り、Athlon Neo MV-40のTDPは15ワットとなっている。これは、Atom N280の2.5ワットはもちろん、グラフィックスコアをCPU側に統合したAtom N450の5.5ワットと比べても高い数字だ。そのぶん、パフォーマンスではアドバンテージが見られたわけだが、バッテリーの駆動時間やボディの発熱、騒音といった部分は気になるところだろう。
バッテリーの駆動時間については、BBench 1.01(海人氏作)を使って実測した。10秒ごとにキー押下、1分おきに無線LANでWebアクセスを行う設定だ。Eee PC 1201Tには電源管理ツールとしてASUS独自のSHE(Super Hybrid Engine)がプリインストールされているが、設定内容の詳細を確認できる手段がないため、これは無効にしてOS標準の「バランス(ディスプレイの輝度40%)」で測定している。
この状態でのバッテリー駆動時間は3時間39分(残り6%で休止状態へ移行)だった。公称値の約5.2時間にはおよばないが、インターネットへの常時接続環境でこれくらいバッテリーが持つならば、十分実用的な値だろう。
ボディの発熱は意外にも抑えられていた。しばらく使っているとボディ左側面の排気口からは熱風が出てくることを確認できるが、ボディ表面はそれほど熱くない。室温24度の環境で一連のベンチマークテストを実行した直後の表面温度は、最も熱い底面左側で42度、左パームレストとキーボード左側は33度にとどまった。
動作音については、Eee PCシリーズとしては静かではないものの、うるさいほどではない。アイドル時や低負荷時でも静かな場所ならファンが回っていることを確認できるが、生活騒音でかき消される程度のレベルだ。高負荷時にはそれなりに音が大きくなるが、音の変化も緩やかでそれほど気にならなかった。
暗騒音32デシベルの環境でボディの正面から5センチと近い距離で測定した騒音レベルはアイドル時および低負荷時で36デシベル、高負荷時で41デシベルだった。
Eee PC 1201Tの標準価格は5万2800円で、2010年4月21日現在の実売価格では5万円を切るショップも見られる。これまでEee PCシリーズではインテルのAtom Nシリーズを採用することが多かったが、それに比べると基本性能が高く、動画コンテンツの再生もより快適に楽しめる。
プラットフォーム以外を見ても、画面サイズと解像度のバランスがいい液晶ディスプレイにタッチタイプも行えるキーボードを備えつつ、十分携帯できるサイズと重量にまとめており、バッテリー駆動時間は実用的なレベルにある。
目立って優れている部分はないものの、モバイルノートPCとしてバランスよくまとまっている印象だ。モバイルノートPCの入門機として、あるいはNetbookの画面サイズや性能が少し物足りないユーザーや、13型クラスの液晶ディスプレイを備えたCULVノートPCでは少し大きいと感じているユーザーは、その間を埋める製品として、購入を検討してみるといいだろう。
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