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» 2010年05月07日 11時00分 UPDATE

元麻布春男のWatchTower:“Magny-Cours”Opteronで4ソケットサーバに価格破壊を! (1/2)

インテルとAMDが新世代のサーバ向けCPUを続けて発表した。しかし、両社が新製品で目指すのは逆方向。まずはAMDが“12コア”CPUに託したメッセージを読み解こう。

[元麻布春男,ITmedia]

低価格サーバ向けCPUで4ソケットサーバ市場を切り開く

kn_motoopti_01.jpg Opteron 6100番台の特徴とコンセプト

 2010年3月、インテルとAMDからハイエンドサーバ向けCPUのリリースが相次いだ。3月29日には、インテルに先立ってAMDがOpteron 6100番台を発表した。これまで“Magny-Cours”という開発コード名で知られてきたモデルで、AMDによる“サーバプラットフォーム再構築”の第1弾となる「Opteron 6000プラットフォーム」(プラットフォームとしての開発コード名は“Maranello”)だ。

 従来、AMDのサーバ向けCPUは、シングルソケットの1000番台、デュアルソケット向けの2000番台、そして4〜8ソケット対応の8000番台に分かれていた。それを1〜2ソケットのOpteron 4100番台と2〜4ソケットのOpteron 6100といった2つのプラットフォームに集約するのが、AMDの新しい戦略だ。

 AMDによると、Opteron 8000番台が受け持っていた4〜8ソケットサーバの市場は、単価や利益は高いものの、市場規模としてはIAサーバ全体の5%未満に過ぎない。しかも、CPU単体の高性能化とマルチコア化が今後も進むと、4〜8ソケットサーバの適用分野を2ソケットサーバで置き換えることも現実となってくる。加えて、仮想化技術の発展と普及は、ソケット数を増すスケールアップ型の拡張より、安価な2ソケットサーバによるスケールアウト型の拡張を後押しする。

 こうした事情を考えると、従来のCPUとプラットフォームのまま将来的に4〜8ソケットサーバが数量面で大幅に成長するのは難しい。Opteron 6100番台には、4ソケットサーバの価格帯を従来の2ソケットサーバのハイエンドモデルまで下げることで、4ソケットサーバのボリュームを大きくしたいAMDの狙いが込められている。

 これは、インテルがXeon 7500番台で4〜8ソケットサーバ分野を強化するのと逆の動きに見える。しかし、インテルは、Xeon 7500番台で従来のIAサーバがカバーできなかった上位分野、ミッションクリティカル市場に進出することで市場を拡大したいので性能だけでなく拡張性やRAS機能を大幅に強化していき、ボリュームゾーンに対しては、今後もマルチコア、そしてメニーコア化が進む2ソケットサーバが主流であり続ける、と考えているようだ。

 インテルとAMDで戦略が異なる原因は、4〜8ソケットサーバ市場におけるシェアの拡大がAMDの急務であることだ。追いかける(=シェアを奪う)立場のAMDにとって、低価格化による市場拡大は大きな意味を持つ。さらに、AMDの“社内的な都合”も影響する。AMDは自社の製造部門を「GLOBALFOUNDARIES」として分社化した。会社を2分するような大規模な再構成であり、そちらにも多くのリソースを割かねばならない。いま、限られたリソースの中で何ができるかを考えつつ、将来への発展を想定した準備が、Opteron 6100番台とOpteron 4100番台の2つへ集約を図るAMDのサーバプラットフォーム戦略の要といえるだろう。

[Istanbul|Shanghai]×2=Magny-Cours

 この新戦略の第1弾となるOpteron 6100番台のCPUには12コア版と8コア版がある。12コア版は従来の6コアCPU“Istanbul”に相当するダイを2基、8コア版は従来のクアッドコアCPU“Shanghai”に相当するダイを2基、それぞれ1つのパッケージに封入したMCM(マルチチップモジュール)だ。既存のCPUコアを流用することで、開発期間を短縮してコア数を増したモデルを投入できるメリットがMCMにはある。

 もちろん、単純に2つのコアを1つのパッケージに封入するだけでは、消費電力が2倍になってサーバの熱設計を大幅に見直さなければならない。プロセスの細かい改良によって消費電力を削減し、かつ、歩留まりを向上させ、さらにCPUの動作クロックを12コア版で最高2.3GHz(Opteron 6176 SE)に、8コア版では2.4GHz(Opteron 6136)に抑えることで、従来のプラットフォームと同程度の消費電力を維持している。ちなみに6コアの“Istanbul”世代Opteronで最高クロックは2.8GHz(Opteron 8439SE、Opteron 2439SE)、クアッドコアの“Shanghai”世代Opteronで最高クロックは3.1GHz(Opteron 8393SE、Opteron 2393SE)だった。

 ダイを2基封入すると、CPUのコア数が2倍になるだけでなく、メモリコントローラも2倍になる。Opteron 6100番台がクアッドチャネルのメモリインタフェースを備えるのは、2つのダイに統合されたメモリコントローラが両方とも有効になっているからだ。ただ、“Istanbul”と“Shanghai”のメモリコントローラはDDR2に対応して1つのメモリチャネルで3枚のDIMMをサポートしていたが、“Magny-Cours”のメモリコントローラはDDR3対応に改められ、最大DDR3-1333をサポートする(Registered および Unbuffered)。チャネルあたり3枚というDIMMの数は変わらないが、メモリクロックには制限が加わるだろう。

 コア数が2倍でメモリチャネルも2倍と、2基のダイを封入することはいいことだけに思えるが、必ずしもそうとは限らない。すぐに思い付く問題点はピン数の増加だ。Opteron 6000シリーズプラットフォームは、“G34 Socket”プラットフォームといい換えることもできるが、ピン数が1944本と非常に多い。8ソケットをサポートしたインテルのXeon 7500番台のピン数が1567本であることを考えてもその多さは際立つ。これは、CPUのコストや不良率に影響を与えるだけでなく、マザーボードのコストにも影響する。

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