さて、CPUにCore i5-430を搭載するLL750/ASは、高ビットレートのMPEG-2フルHD映像を再生しても、そのCPU使用率は8〜10%程度にとどまるほど高解像度の動画を再生しても余裕である。
さらにMPEG-2型式のフルHD映像を取り込み、「AviUtl」(KENくん作)を使用してカット編集する動画編集作業においても同様だ。シーン判別のための早送りなどの作業時でCPU使用率は30%程度に上昇せず、処理能力の不足を感じることはなかった。惜しいのは、ディスプレイの解像度が1366×768ドットにとどまるので、ハイビジョンクラスの映像を快適に編集するには少し狭いことか。最近はフルHD解像度で撮影できるデジタルムービーカメラも一般化してきているので、これらをPCに取り込んで作業するニーズも増えていると思う。
ただ、HDMI出力端子はしっかり備えている。デジタルムービーカメラやデジタルカメラから取り込んだ映像や写真データを家庭用の大型テレビなどに出力するファミリー向けの利用シーン以外に、セカンドディスプレイとしてフルHD以上の液晶ディスプレイと接続することで、上記で上げたデメリットは解消できる。加えて、BD-R/RE書き込み対応のBlu-ray Discドライブを標準で内蔵するため、ビデオカメラなどの映像を編集し、BD-R/REメディアに保存して配布する──といった使い方ももちろん可能だ。
ベンチマークテスト | Lavie L LL750/AS 電源設定:LaVieモード(標準) |
Lavie L LL750/AS 電源設定:ECOモード |
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PCMark05 1.2.0 | CPU | 6510 | 5849 |
Memory | 5650 | 5103 | |
Graphics | 2863 | 2752 | |
HDD | 5519 | 5309 | |
バッテリー動作時間は、電源設定を標準の“LaVie”モードにすると約45分、“ECO”モードにすると約72分だった。やや大きいA4サイズのノートPCということで、バッテリー動作させるシーンはそれほど多くないと思われるが、(停電時などの)エマージェンシー プラスアルファのものと考えるなら十分だ。
なお、ECOモードにすると全体のパフォーマンスが5〜10%低下し、画面も少し暗めになる。キーボードの上部にあるワンタッチボタンに、ECOモードへの切り替えボタンが配置され、手軽に通常モードとECOモードを切り替えられるようになっている。
ワンタッチボタンはこのほかに、Webブラウザやアプリケーションの起動、Internet Explorerの表示画面を拡大/縮小する機能など割り当てられている。拡大/縮小をワンタッチで制御できると、字が細かく読みにくいと思ったらすぐ拡大できるので、中高年のユーザーにも使いやすいことだろう。
このほか、LaVie LはUSB 3.0対応ポートやeSATA、SDXCに対応したメモリカードスロットなどの新世代インタフェースもしっかり搭載する。USB3.0は、2010年に流行の兆しを見せる新新世代インタフェースで、従来のUSB 2.0と下位互換性を保ちながら、同じくUSB 3.0対応機器(外付けHDDなど)を用いることでデータ転送速度の大幅な高速化が望めるものだ。USB 3.0対応のPC周辺機器も少しずつ増えてきており、2010年5月現在は外付けHDDやBlu-ray Discドライブ、USBメモリ、ポータブルSSD、HDDケースキット(別途、ベアHDDとともに自分で組み込むケースキット)などが販売されている。ファイルサイズの大きい映像データを外付けHDDに転送する場合などに特に効果を発揮する。
SDXCは、2010年5月現在で主流のSDHC対応SDメモリーカードの後継として、大容量と高速転送を特徴とするSDメモリーカード規格だ。SDHCは32Gバイトまでとする容量の制限があったが、SDXCはexFATフォーマットの採用とともに、規格上は最大2Tバイトまで使用できるようになる(2010年5月現在、市販製品は64Gバイトまで)。LaVie LはSDXCの高速転送規格であるUHS-Iにはサポートしないが、最近の高解像度化したデジタルカメラやデジタルビデオカメラなどは、すでにSDXC対応化が進んでいる。今後購入するであろうSDXC対応の周辺機器に備え、(完全対応ではないが)SDXCにいち早く標準対応とした点は高く評価できるポイントだ。
LaVie Lシリーズは、最新PCとして十分なパフォーマンスと高級感のあるデザイン、大きく見やすいディスプレイ、扱いやすいキーボード、豊富なバンドルソフトウェア、NECのサポートなど、初心者層から高齢者層まで、多くのユーザーをカバーできるバランスのよさが光る。家電量販店を中心とする販売数を集計したGfK Japanの販売ランキングで毎回上位(2010年春モデルは発売以来、ほぼトップを維持していた)に入るのもうなずける。
PC USERの読者は、友人や知人、家族に「PC、どれ買えばいい?」などと漠然と聞かれることも多いだろう。仕様や利用スタイル、価格を含めてその人にベストなPCを選んであげるのはなかなか難しいものだが、“ほぼ全部入り”の本機ならどうだろう。おそらく不満が出るどころか感謝され、「あれができない、ここが分からない──」などと想定外の購入後サポートにかり出されることも少ないのではと思われる。
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