林信行がMacで「ATOK」を使うワケATOK 2010 for Macの魅力(1/2 ページ)

» 2010年07月22日 17時10分 公開
[林信行,ITmedia]
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第一に「質」の高さ、第二に「機能」の豊富さ

ATOK 2010 for Mac

 最新バージョンの「ATOK 2010 for Mac」で強化された主な機能は、「英語入力支援機能」「校正支援機能」「Mac OS X連携機能」、そして「Webサービス連携機能」らしい。

 しかし、日本語入力システムにとってそれらのことはいわば“二の次”。ATOK 2010 for Macで本当に注目すべきは、機能の多さではなく、何よりもその質の高さだ。いくら便利な機能がたくさん並んでいても、そもそも一番大事な要件である「文字を快適に入力すること」が満たされていなければ、結局のところ使う機会は減ってしまう。

 この「快適さ」の点から見て、ATOK 2010 for MacはこれまでのMac用ATOKの中でも、おそらく最も引き締まったATOKだろう。例えばスピード。最新のMacとSnow Leopardとの組み合わせでは、日本語入力時のもたつく感じはまったくなくなり、とても軽快に文字が入力できるようになっている。

ATOK 2010 for MacはMac OS X LeopardからSnow Leopardへの進化同様、機能をやたらと追加するよりも、根幹部分をCocoaベースで書き直し基本パフォーマンスを向上させるなど、ブラッシュアップを重視している。文字入力が非常に快適だ。文字を入力していない間のCPU使用率は当然0%

 2009年モデルであるCPU動作クロック2.8GHzのMacBook Proで使っていても、モードの切り替えや連想変換をはじめとする特殊変換機能はもちろん、パレットや設定パネルもほんの一瞬で呼び出せる。なんだか物足りないくらいだ。そしてこれだけの軽快さを実現しつつ、以前のATOK同様に、物足りないどころか多すぎるくらいの機能を用意している。

 手書き文字入力から顔文字パレット、お気に入り文書入力、校正、多種多様な辞書・事典の利用とさまざまな機能があるが、その中でも特に筆者が愛用している機能を優先的に紹介しよう。

新機能以上にこれまであった機能の快適さがうれしい

 まずは連想変換だ。何か文章を書いているときに、画面に単語を打ち込んだ後、しばらく手を止めて思索にふけることがある。すると画面にはふわっと「連想変換」の文字が表示され、またしばらくするとふわっと消えていく。ここで指示にあったcontrol+Aのキーコンビネーションを押すと、関連語が画面に表示される。

 例えば、豪華なゲストを集めて開催するパーティーの招待状を書いているとき。ゲスト紹介の文面に「有名」や「高名」が続いてしまったので連想記憶を呼び出す。すると、すぐさま「名うて」「名代」「人気」「人望」「徳望」といった言葉が表示される。これらの語を見つめているうちに、ほかに呼ぶべきゲストを思いついたり、会の名前を思いついたりもする。

連想変換+辞書参照の組み合わせは、文をじっくり書くときには最強の組み合わせだ。素早く書いている間はじゃまにならず、スピードダウンしたときだけ連想変換に誘う黄色い表示(tool tip)が現れるのがいい感じだ

 紙とペンの時代には、紙の余白に思いついた言葉をいろいろと書いては、そこから視野を広げることができた。ATOKの「連想変換」という機能は、時々それに近い効果をもたらしてくれる。連想変換時だけではないが、辞書を参照してすぐ本来の意味にあたれるのも便利な機能だ。

ギアを切り替えながら文字入力

Macの前に座って作業する時間が長い人には、通常入力と推測変換でギアチェンジしながら文字入力することを勧めたい。頭をあまり使わずに文書作成をこなしたいときには推測変換を、言葉がつむぎ出す効果を、じっくり、練りたいときには通常の入力を行う。

 もう1つ、このATOK 2010になってから始めたことがある。それは「推測変換」と「通常変換」の切り替えだ。出張などで時間が取れずメールの返信が滞っているときに、後からまとめて似たような文面を何度も書くハメになることがある。例えば、

 「来週ですと27、28、30日なら予定が空いています」

といった文章だ。こういうとき、推測変換機能は前のメールで書いた空き予定の日付を覚えておいてくれるので、一通一通文面を変えながらも、前のメールと同じ情報を少ない手間と確認で入力し直すことができる。また、最近はiPhoneやiPadで文字を入力する機会が増えたため、それらのデバイスで電子メールの文章を書いているときは、推測変換があるほうが便利になってしまった。

 とはいえ、きちんとした原稿を書くときには推測変換がわずらわしい。そんなときはcontrol+shift+Iのショートカットで、まるで車のギアを切り替えるようにモードを切り替えられるのがうれしい。もちろん、これは以前のATOKならできたことだが、より快適さを増した今度のATOKでは、クラッチオイルが充填されたようにギアチェンジが楽々できるようになった。

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