ソニーの“テレパソ”はどこまで進化したか?――「VAIO J」徹底検証Core i搭載PC×フルHD液晶テレビ×BDレコーダー(2/4 ページ)

» 2010年07月24日 15時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

モバイル向けプラットフォームで省スペース・省エネに配慮

 PCの基本システムには、インテルのモバイル向けプラットフォームを採用している。液晶一体型の省スペースボディではいかに放熱をスムースに行うかがカギとなるが、VAIO Jでは低消費電力で発熱の低いモバイル向けのCPUとチップセット、メモリを利用することでその問題をクリアしている。一方、比較的発熱の差が少ないHDDはデスクトップPC向けの3.5インチHDDを搭載し、高速・大容量とリーズナブルなコストを両立させている。

 CPUはCore i5-450M(2.4GHz/最大2.66GHz)を搭載している。1コアにつき2スレッドを取り込んで同時に処理するHyper-Threadingに対応しており、2コア4スレッドの同時実行が可能だ。また、高負荷時に安全な範囲で動作クロックを上昇させるTurbo Boost Technology、省電力機能のEIST(Enhanced Intel Speedstep Technology)も備える。必要なときだけ動作クロックを上げて高速に処理し、アイドル時や低負荷時は逆に動作クロックと電圧を下げて消費電力を節約する仕組みとなっている。

CPUにはCore i5-450Mを採用。TDP(熱設計消費電力)は35ワットだ。定格の動作クロックは2.4GHzだが、アイドル時はEISTによって最低1.2GHzまで下がり、高負荷時はTurbo Boostによって最大2.66GHzまで上昇する

 チップセットはIntel HM55 Expressを採用。グラフィックス機能にはCPUのCore i5-450Mが内蔵するIntel HD Graphicsを利用する。3Dグラフィックス性能は高くないものの、HD動画の再生支援機能を内蔵しており、Windows 7標準のWindows Media Centerなどで快適にHD動画の再生を楽しめるのが特徴だ。

 メインメモリにはPC3-8500 SO-DIMMを4Gバイト(2Gバイト×2)搭載している。データストレージには、3.5インチのSerial ATA対応HDD(回転速度7200rpm)を内蔵しており、容量は1Tバイトと大容量だ。光学ドライブは、1層BD-Rに最大6倍速、2層BD-Rに最大4倍速、1層/2層BD-REに最大2倍速で書き込めるBD-REドライブをボディ右側面に搭載している。

使いやすい配置のカードスロット/端子類

 端子類の多くは左側面に集中しており、上からメモリースティックデュオスロット(PRO-HG/マジックゲート対応)、SDメモリーカードスロット(SDHC対応)、IEEE1394a(4ピン)、USB 2.0×2、ヘッドフォン出力、マイク入力を装備する。右側面のBD-REドライブの奥には、B-CASカードスロットがあるのみだ。

 背面には、ACアダプタ接続用のDC入力、テレビアンテナ入力×2(地デジ、BS/110度CS)、USB 2.0×2、有線LAN(1000BASE-T)といった、ケーブルを常時接続しておくことが多い端子類をまとめている。こうした配置の工夫により、メモリカードや各種ケーブルの着脱といった使い勝手は良好だ。

 内蔵ステレオスピーカーは液晶ディスプレイ部の下にあるが、音がこもらずに左右に広がって聞こえるように音を補正している。ステレオスピーカーで包囲感のあるサラウンドサウンドを再現する技術の「Dolby Home Theater v3」も備えており、このクラスの液晶一体型PCとしては満足できるサウンドが味わえる。

 通信機能としては、1000BASE-Tの有線LANのほか、IEEE802.11b/g/nの無線LAN機能を内蔵するが、Bluetooth機能は省かれている。また、液晶フレームの上部には有効約31万画素のWebカメラ(MOTION EYE)も装備する。なお、天面の右側には電源ボタン、画面表示のオフボタン、ASSISTボタン(サポートツールの「VAIO Care」を起動)が並んで配置されている。

カードスロットや主要な端子類は着脱しやすい左側面に配置されている
右側面にはトレイ式のBD-REドライブとB-CASカードスロットがある

背面には有線LANやアンテナ入力を備える。小さなカバーを外せば、2基のSO-DIMMスロットにアクセス可能だ。ちなみに、スタンドを取り外すと、内蔵HDDにアクセスできる
天面の右側には電源ボタン、画面表示のオフボタン、ASSISTボタンが並ぶ。ASSISTボタンを押すと、サポート情報を集約したソフト「VAIO Care」が起動する

デバイスマネージャ画面。内蔵HDDはウェスタンデジタルの「WD1001FAES」だった

フルHD対応液晶ディスプレイは光学式タッチセンサーを搭載

21.5型フルHDの光沢液晶ディスプレイはタッチパネル機能を備える

 大きな特徴の1つが、液晶ディスプレイだ。従来モデルの20.1型ワイドから21.5型ワイドへと大型化するとともに、画面解像度も1680×1050ドットから1920×1080ドットのフルHDへと拡大した。画面のアスペクト比が16:10から16:9に、解像度がフルHDに進化したことで、デジタル放送やBlu-ray DiscのHD映像コンテンツとの親和性がぐんと高まっている。

 また、デスクトップの作業領域が広がったことで、複数のウインドウを同時に開いての作業がやりやすくなった点も見逃せない。PDFやWebページの資料を見ながら表計算やワープロソフトに入力したりといった場合でも、いちいちウインドウを切り替えたり開閉したりせずに余裕をもって行なえる。21.5型ワイドの画面にフルHDを表示する関係で、ドットピッチは少し狭いが、表示が細かすぎて困るほどではなく、むしろ精細さが画質の印象をよくしている。

 液晶ディスプレイの表面は光沢処理が施されているため、置き場所によっては照明などの映り込みがやや気になるものの、コントラストのはっきりした鮮やかな発色で、輝度も高く、表示品質は良好だ。標準、テレビ、BD/DVDといった用途別の画質モード(色モード)も備えており、表示するコンテンツによって色設定を自動で切り替えられるのは気が利いている。TN方式の液晶パネルなので、下から見上げるような角度では画面が見えにくくなるが、正面近くから映像コンテンツを視聴するぶんにはコントラストや色度の変位が気にならない。

 さらに、最上位機であるVPCJ119FJ/Bは、タッチパネル機能も搭載している。タッチセンサーは液晶フレーム側に内蔵されており、赤外線で画面に触れる指の位置を検出する光学式となっているため、表示画面の視認性を妨げる心配はなく、タッチパネルの採用で液晶の発色や輝度が落ちてしまうことはない。

 タッチパネルの使用感は軽快だ。2点同時認識に対応しており、ピンチ(2本指の開閉による拡大縮小)、回転、フリック(画面を引っかくような操作で戻る/進む)といったマルチタッチジェスチャー機能を含む、Windows 7のタッチ機能が利用できる。プリインストールOSは64ビット版のWindows 7 Home Premiumだ。

 タッチパネル対応アプリケーションとしては、塗り絵などが楽しめるお絵かきソフト「You Paint」、Webカメラで撮影した写真やビデオに指で飾りや文字を入力して貼り付けておける「WebCam Message Board」、壁紙作成ツールやタッチ操作で遊べるミニゲームを収録した「Microsoft Touch Pack for Windows 7」などが用意されている。

タッチパネル向けのお絵かきソフト「You Paint」。画面上のキャンバスに直接手を触れて絵を書いたり、クリップアートを拡大/縮小、回転させるなどして並べたりできるほか、モノクロの線画データを取り込んで塗り絵として楽しむこともできる
「WebCam Message Board」では、Webカメラで撮影した写真やビデオに指で飾りや文字を入力し、ボードに貼り付けて楽しめる。編集した画像はメール送信も可能だが、そのまま表示しておけば、家族へのメッセージボード代わりに使える

Sony Style(ソニースタイル)

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