東芝が10年ぶりに放つ液晶一体型PC――「dynabook Qosmio DX」の実力に迫るDynaTop・おぼえていますか(4/5 ページ)

» 2010年08月09日 17時00分 公開
[小川夏樹(撮影:矢野渉),ITmedia]
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SpursEngineを使った便利機能やユニークなツールも搭載

 動画の超解像や高速変換に加えて、SpursEngineと組み合わせた映像処理のユニークな利用方法として、「顔deナビ」や「ハンドジェスチャリモコン」といった機能も用意されている。

 顔deナビとは、録画した番組に記録されている人物の顔を検出し、音響の分析も加えて盛り上がっていると思われるシーンの顔をサムネイル画像で並べ、その顔をクリックすると、該当するシーンから再生が行えるという機能だ。歌番組やバラエティ番組でお目当てのアーティストや芸人が出ている部分をすばやく探したり、番組全体をざっと流して見たりするような場合に便利だろう。

 また、付属のリモコンが手元にない場合や、飲み食いしながらの視聴で手がぬれていたり、汚れていたりなどして、PCに触れたくないけど操作したいような場合に役立つのがハンドジェスチャリモコン機能だ。これは内蔵のWebカメラで、手を握った状態、親指だけを突き出した状態、手のひらを開いた状態の3種類のジェスチャーを認識させて、リモコン代わりにDVDやBlu-ray Discの再生/停止が行える機能となっている。

 部屋の明るさや光源、背景などによっては、カメラで手の形を正確に認識できない場合があり、実は筆者宅の環境ではハンドジェスチャリモコンがあまりうまく機能しないこともあった。しかし、家人が我も我もとジェスチャー操作に挑戦するという盛り上がりを見せ、思いがけない家族団らんの効果を生み出してくれた。多人数の環境では誤検出が多くなってしまうようなので、改善が必要と思われるが、今後のさらなるブラッシュアップにぜひとも期待したいところだ。

顔deナビ機能は録画時に顔deナビ用データを作成するか指定できる。データが作成された録画番組の操作メニューから「顔deナビ」を選ぶと、メインのウィンドウが表示される。音響の分析も行い、盛り上がり度を棒グラフで示してくれる。完全に顔や盛り上がりを判定できるわけではないが、面白い試みだ
内蔵のWebカメラで手の動きを認識させ、リモコン代わりとして使うハンドジェスチャリモコン機能。認識できる手の形は3パターンで、このパターンを組み合わせて操作する。動画再生の早送りや一時停止はかなりの精度で認識されたが、周囲の環境によっては誤検出もあった

SpursEngine関連以外にも多彩なソフトが付属

 そのほかにも付属ソフトは豊富だ。家庭内LANでネットワーク接続されたDLNA/DTCP-IP対応HDDレコーダーで録画したデジタル放送(MPEG2-TS形式)をQosmio DXで視聴できる「CyberLink SoftDMA for TOSHIBA」、PC内の動画/静止画/音楽コンテンツをREGZA Z1シリーズなどWindows 7ロゴ対応の液晶テレビにワイヤレス出力できる「TOSHIBA Media Controller」、PCで再生しているYouTubeの動画を液晶テレビにワイヤレス出力できる「TOSHIBA Media Control Plug-in」といったホームネットワーク機能を装備する。Blu-ray Discタイトル再生ソフトは「WinDVD BD for TOSHIBA」が付属し、SDメモリーカード内の地デジ持ち出しデータを再生する「TOSHIBA SD VIDEO PLAYER」も備える。

 さらに、撮影した写真データ群を独自の顔認識エンジンで分析し、ハッピーやセレモニーといったスタイルとBGM、主人公となる人物の顔を選択するだけで、自動的にフォトムービーが作成できる「おまかせフォトムービー」や、最近使用したファイルをサムネイルで画面下に表示してアクセスしやすくする「TOSHIBA ReelTime」、動画や写真、Webページ、Office文書など、さまざまな形式のファイルをドラッグ&ドロップでボードに貼り付けられる「TOSHIBA Bulletin Board」、文字サイズと同時に画像データも拡大/縮小できる「SmoothView」などの独自アプリケーションも持つ。

 ちなみに、付属のリモコンはWindows Media Centerだけでなく、CyberLink SoftDMA for TOSHIBAやQosmio AV Centerの操作も可能だ。また、TOSHIBA DVD PLAYERやWinDVD BD for TOSHIBA、TOSHIBA SD VIDEO PLAYERといった再生ソフトでもリモコンに割り当てられている同じボタンが機能するので、少し離れた場所からの操作も楽に行える。

 オフィススイートについては、PowerPoint 2010とOneNote 2010が付いたOffice Home and Business 2010を採用する。Windows 7やWord 2010、Excel 2010の基本機能を音声付きの動画で学べる「動画で学ぶシリーズ」や、サポート関連のソフトも多彩で、家族で使う汎用PCとしても多機能な仕上がりだ。

気になるパフォーマンスをベンチマークテストで検証

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 ここからは各種テストでQosmio DXのパフォーマンスをチェックしていく。まずはWindows 7標準の性能評価機能であるWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアから見てみよう。やはりCPU内蔵のグラフィックス機能が足を引っ張っているようで、最も低いスコアがWindows Aeroパフォーマンスの4.3となっている。それ以外はCPUが6.5、メモリが5.5、ゲーム用グラフィックスが5.2、HDDが5.9と高めに推移しており、不満はない(ゲーム用グラフィックスのスコアは現実の感覚より高いスコアではあるが)。

 PC USERで定番のベンチマークテスト用ソフトを使った性能評価も行った。利用したのはPCMark05、PCMark Vantage、3DMark06といったパフォーマンス測定用の専用ベンチマークテストに、3Dゲーム系テストのFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3だ。なお、FINAL FANTASY XIV Official Benchmarkは実行できなかった。

PCMark05(1280×1024/32ビット)のスコア
PCMark Vantage(1280×1024/32ビット)のスコア

3DMark06(1280×1024/32ビット)のスコア
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコア

 各種ベンチマークテストの結果を見ると、Core i5-450Mを搭載し、グラフィックス機能にIntel HD Graphicsを利用する標準的なノートPCと同程度のパフォーマンスといえる。本格的な3Dゲームなどをプレイするのは困難だが、Windows Aeroの描画に問題はなく、Windows 7の基本操作が快適に行えるだけの性能は確保されている。

 そもそもQosmio DXは、ゲームをバリバリとプレイするためではなく、個人がテレビやレコーダー兼用のPCとして活用するといった性格が強いモデルなので、3Dグラフィックス性能の不足は大した問題ではないだろう。

 また、ベンチマークテストの結果にはSpursEngineの性能が反映されない点は注意する必要がある。もし、SpursEngineが今回試したベンチマークテストで利用可能だったら、映像処理関連のスコアはもっと大きく向上したはずだ。一部の対応ソフトでしかSpursEngineは利用できないが、Qosmio DXのパフォーマンスはこれも含めて考えるべきだろう。

 なお、動作時の騒音については、アイドル時や低負荷時でもファンが回転するが、低速で回転音は小さく、エアコンが動作している室内では気にならない。高負荷時ではファンの回転数が上がり、ノイズが大きくなるものの、デスクトップPCとして耳障りなほどではなかった。

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