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» 2010年08月17日 22時38分 UPDATE

「ただのグラフィックスカードじゃない」というQuadroの実力を見せつける

2010年7月末に登場した“Fermi”世代のQuadroは、従来世代から大幅に性能を向上させた。企業導入率90%というQuadroの実力を米本社幹部がアピールする。

[長浜和也,ITmedia]

導入率9割というマルチパーパスGPU

 NVIDIAは、8月17日に“Fermi”世代のQuadroを訴求する説明会を開いた。米国本社から来日した同社マーケティングディレクターのダニー・シャピロー氏は、「ただのグラフィックスカードではない」新世代Quadroの高い性能を活用した企業のケーススタディを多数紹介した。

 登場から10年が経つというQuadroは、現在ビジュアルコンピューティングだけでなく、産業部門で90%の企業に導入されている、とシャピロー氏が述べるように、Quadroを利用したシステムは、デザイン部門だけでなく、むしろ、それ以上に幅広い企業に普及している。「グラフィックスだけが重要ではなく、さまざまなユーザー層に対してQuadroで可能になるサービスを提供する」(シャピロー氏)

kn_qdro_09.jpgkn_qdro_10.jpgkn_qdro_11.jpg 会場では、Quadroパートナー企業のQuadro採用製品が展示されていた。こちらはエルザジャパンのQuadro 5000(写真=左)。マウスコンピューターの「MDV-ADG9150X-WS」(写真=中央)。ドスパラの「Prime Raytrek 4000 Quadro 4000モデル」(写真=右)

kn_qdro_12.jpgkn_qdro_13.jpgkn_qdro_14.jpg Shuttleの「J3 5800Q4」(写真=左)。ユニットコムの「WS6000LC5」(写真=中央)。デルの「Precision T3500」(写真=右)

kn_qdro_15.jpgkn_qdro_16.jpgkn_qdro_17.jpg デルの「Precision 7500」(写真=左)。日本ヒューレット・パッカードの「HP Z800 Workstation」(写真=中央)。NECの「Express5800/54Xg」(写真=右)

kn_qdro_18.jpgkn_qdro_19.jpgkn_qdro_20.jpg レノボジャパンの「ThinkStation C20x」(写真=左)。GPUで演算処理を行ったレイトレーシングのデモ。1機だけでも長時間のレンダリングを要する精細なモデルにもかかわらず、GPUコンピューティングによって飛行甲板に42機を駐機させた米空母「ロナルド・レーガン」を短時間で描画できる(写真=中央)。HP Z800 Workstationで行っていたBunkspeed SHOTのデモ(写真=右)

Quadroならシミュレーションを初めから終わりまで

 NVIDIAが7月末に発表した“Fermi”世代のQuadroシリーズ(Quadro Plex 7000/Quadro 6000/同 5000/同 4000/同 5000M)によって、Quadroのパフォーマンスは新しい時代に入ったとシャピロー氏は語る。第一世代、第二世代ではシェーディング処理のパフォーマンスが成長してきたが、第3世代に相当するFermi世代のQuadroでは、ジオメトリ演算能力も向上したおかげで、前世代のQuadroから大幅に性能が上がっている。

 NVIDIAも、従来は、前の世代から20%程度の性能向上であったのが、Fermi世代のQuadroではジオメトリ演算能力が5倍に、シミュレーション演算性能が8倍と格段に向上したとNVIDIAはアピールしている。

 「新しいQuadroが登場したことで、これまで別々のシステムで時間をかけて行っていたシミュレーション解析とその結果の可視化が、Quadroを採用する1台のシステムで両方とも、かつ、リアルタイムで行うことが可能になった。これは、新しい時代のコンピューティングだ」(シャピロー氏)

 シャピロー氏は、多くの企業がQuadroを採用することで、演算時間の大幅な削減やシミュレーション結果をリアルタイムで可視化できるようになったメリットを享受していると述べ、有名企業のケーススタディを紹介した。

kn_qdro_01.jpgkn_qdro_02.jpg 自動車デザイン開発のRTTでは、流体シミュレーションの結果をリアルタイムで表示するシステムにQuadroを採用(写真=左)、MotionDSPでは、ぶれる動画を補正して安定した画像による高精度解析を可能にしたシステムを開発した(写真=右)

kn_qdro_03.jpgkn_qdro_04.jpg 医療分野でのケーススタディでは、CyberHeartのCTスキャン画像をリアルタイムで3Dモデルに構成するシステムが紹介された(写真=左)。主要なユーザー層であるクリエーター向けでは、Adobe CS5に実装されたカラーコレクションをリアルタイムで処理する機能によって、製作現場では処理時間の短縮によってクオリティを高めることが可能になった実例が示された(写真=右)

kn_qdro_05.jpgkn_qdro_06.jpg Bunkspeedでは、SketchUpの簡単なイラストデータから(写真=左)フォトリアリズムなシーンをリアルタイムでレンダリングするアプリケーションを開発している(写真=右)。このレンダリング処理もQuadroのパワーを利用する

kn_qdro_07.jpgkn_qdro_08.jpg Quadroには、さまざまなアクセラレーション機能を実装している。Works Zebraでは「Zeany」というデザインツールでOptiXのレイトレーシングアクセラレーションを利用したより高精度なシミュレーションを実現している(写真=左)。また、シーメンスはエンタープライズ向けの立体視技術「3D Vision Pro」を医療分野に導入し、超音波スキャンで得られた胎児の姿を立体視動画で確認できるシステムなどを提案している(写真=右)

得意分野はより強固に、新しい分野の開拓も

 NVIDIA日本法人 Tesla Quadro事業部プロフェッショナルソリューションマネージャの福田敦彦氏は、日本市場におけるQuadro事業の展開について説明した。

 同氏によると、現在Quadroの普及が進んでいる分野ではより拡大を進めていくとともに、マルチGPUシステムやマーケティング事業者向けの仮想ソリューション、クリエーターやデザイン部門といった新規市場の開拓も広げているという。

 そのために、日本市場では「QPP」(Quadro Preferred Paetner)と呼ぶ、アプリケーション、SI、OEMなどのNVIDIA認定Quadroパートナー企業と協業を進めていくと、福田氏は説明した。

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