フルモデルチェンジを果たしたdynabook RX3は、CPUに通常電圧版のCore i3-350M (2.26GHz)/Core i5-520M(2.4GHz/最大2.93GHz)を採用する。モバイル用途を想定した製品でありながら、低電圧版CPUを使わずにパフォーマンスを追求しつつ、それでいて標準バッテリー(バッテリパック61AA)でも公称約10時間以上の駆動時間を実現しているのだから驚きだ。ここでは「RX3/T6M」「RX3/T8M」「RX3/T9M」の3台で各種ベンチマークテストを実施し、性能を評価していく(なお、RX3/T6MとRX3/T8Mについては量産試作機による評価となっているので注意してほしい)。
ベンチマークテストに使用したモデルの主な仕様 | |||
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モデル名 | dynabook RX3/T6M | dynabook RX3/T8M | dynabook RX3/T9M |
CPU | Core i3-350M (2.26GHz) | Core i5-520M(2.4GHz) | Core i5-520M(2.4GHz) |
チップセット | Intel HM55 Express | Intel HM55 Express | Intel HM55 Express |
メモリ | 4096MB(PC3-8500) | 4096MB(PC3-8500) | 4096MB(PC3-8500) |
ストレージ | 320GB HDD | 500GB HDD | 128GB SSD |
グラフィックス | CPU統合(Intel HD Graphics) | CPU統合(Intel HD Graphics) | CPU統合(Intel HD Graphics) |
価格 | 16万円前後 | 21万円前後 | 24万円前後 |
ベンチマークテストに使用した各モデルの主な仕様を上の表にまとめた。これら3モデルを比較することで、CPUとストレージの性能差が分かるはずだ。まずはWindowsエクスペリエンスインデックスの結果から。
上の画面を見ると、一番低いグラフィックスのスコアがT6Mで4.6となったため、基本スコアでT8MおよびT9Mを抑えているが、サブスコアを個別にでみればほぼスペックに準じた結果であることが分かる。CPUのスコアは、Core i3-350Mを搭載するT6Mが6.2であるのに対して、Core i5-520Mを搭載するT8MとT9Mは6.5と高く、プライマリハードディスクのスコアは、SSDを搭載するT9Mが6.9とやはり飛び抜けている。いずれもWindows 7搭載機としてのシステム性能は申し分ないが、CPU統合コアを利用するグラフィックス性能はやはり弱いという印象だ。
PCMark05とPCMark Vantageの結果も同様の傾向で、CPUで上位モデルと下位モデルに溝があり、最上位のT9Mは高速なSSDのおかげで総合的にスコアが伸びている。そこでT9Mに搭載されていた東芝製SSD「THNSNC128GMLJ」の性能をCrystalDiskMarkで計測したところ、シーケンシャルリードが193.1Mバイト/秒、シーケンシャルライトが177.4Mバイト/秒、ランダムリード/ライトもそれぞれ178.2Mバイト/秒、101.5Mバイト/秒となった。実際、SSDによる恩恵は体感できるほどで、アプリケーションのインストールにかかる時間も短く、起動時間(電源投入から「ようこそ」が表示されるまで)は約22秒、シャットダウンにかかる時間は約10秒、スリープへの移行や復帰もともに2秒程度と非常に高速だった。T8MとT9Mの価格差は3万円ほどあり、容量でみるとHDDの500Gバイトに対してSSDは128Gバイトになってしまうが、自宅に母艦となるデスクトップPCがある人なら、出先でさっと起動できるSSDモデルを是非オススメしたい。
※記事初出時、SSDの容量を128Mバイトと誤って記述していました。正しくは128Gバイトです。おわびして訂正いたします。
一方、DirectX 9.0c世代のグラフィックス性能を測る3DMark06では、同じCPU統合グラフィックス(Intel HD Graphics)を使っていることもあり、総じて低い結果にとどまった。試しに走らせてみたFF XIベンチは、CPU性能に引きずられる形でLowなら4000近く出ているものの、今後登場する最新の3Dゲームをプレイするのはかなり厳しいと思われる。この辺りはディスクリートGPU(NVIDIA GeForce GT 330M)を内蔵するVAIO Zなどにはかなわない部分だ。GeForce GT 330Mでゲームを十分に楽しめるかと言われれば微妙なところだが、少しでもそういった用途を考えているのであれば、dynabook RX3ははっきり向いていないと言える。
なお、ベンチマークテストなどでシステムに高い負荷をかけた状態が続くと、左側面の排気口付近を熱源としてキーボードが熱を帯び始める。非接触型温度計で計測したところ、Escキーや半角/全角キー付近では40度を超えていた。また、Aキー近辺が37度前後、ここから右にいくに従って33度までなだらかに温度が下がっていく。もっとも、常に手を置いているパームレストは、左が34度/右が33度でほぼ変わらず、不快に感じることはなかった。ちなみに排気口の温度を直接測ると軽く50度を超えているが、排気スリットがボディ側面に対して斜めに切られており、PCをヒザに置いて使っているときでも直接熱い風が当たるのを避けている。一方、騒音面はWeb閲覧程度ならほとんど意識することはなかったが、ベンチマークテスト中はファンがキーンという高周波な音を立て、静かな深夜で使っているとやや気になった。
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