「U2711」実力診断――5万円台で買える2560×1440ドット/広色域の27型ワイド液晶超高解像度IPSパネル、でも安い(3/3 ページ)

» 2010年08月24日 11時45分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
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目視で画質をチェックしてみた結果は?

 測定結果以外の部分については、目視でチェックしてみた。表示にわずかなムラは見られるものの、出荷段階で色補正を行っていることもあり、表示の均一性(ユニフォミティ)はかなり高い。輝度を段階的に調整しながら、ムラを確認してみたが、さほど目立たずに済んでいる。これだけ液晶パネルのサイズが大きいことも考慮に入れれば、十分に高品位といってよいだろう。

 ただし、液晶パネル表面の粒状感はそれなりにある。筆者はあまりザラつきが気にならないほうなのだが、U2711の試用中は表面のつぶつぶとした粒状が目に付くこともあった。液晶ディスプレイ表面の処理に過敏なユーザーは、近くにデルの液晶ディスプレイ販売店があれば、一度は実機を確認しておくとよいだろう。

 視野角については、IPSパネルらしい良好な視野が得られている。パネル周辺部での輝度の落ち込みも大型パネルにしては少なく、見る角度を変えた際に色度の変移もないので、画像の色を補正するような作業にも耐えうる。

 応答速度は中間階調で6msとされており、ゲームや動画に特化したTNパネル搭載機ほどのキレはないが、階調による応答速度のバラツキが少ないIPSパネルなので、動きが速い映像で偽色が目立つような不具合はなく、普段の利用で動画ブレが気になることは少ないだろう。フルHD映像コンテンツの視聴も無難にこなせる。

Adobe RGBモードでのカラー/モノクログラデーション表示。Adobe RGBらしい鮮やかな発色で、暗部のつぶれや白飛びは少し見られるが、階調性は高いといっていい

sRGBモードでのカラー/モノクログラデーション表示。写真では分からないが、Adobe RGBとよく見比べると、階調性は少し見劣りする。とはいえ、これだけ表示できれば、通常の用途で不満を覚えることはほとんどなさそうだ

 そのほかの仕様で気になるのは、ドットピッチが0.2331ミリと少し狭いことだろうか。この値は、1920×1080ドット表示に対応した21.5型ワイド液晶ディスプレイの0.248ミリより表示が細かいことを意味する。個人的にはまったく問題がないドットピッチだったが、視力や設置環境などで印象が大きく変わることもあるので、この点は覚えておきたい。

 なお、表示品質には直接関係ないが、このパネルサイズで光源がCCFLのため、ボディはかなり発熱する。試用時は8月半ばの気候と重なり、部屋の熱気が気になった。当然ながら消費電力も高く、標準で113ワットとなっている(待機時/スリープ時は2ワット未満)。ただし、標準では明るすぎるため、輝度を下げることで消費電力や発熱は抑えられることから、大きな問題にはならないだろう。

この価格でこの性能、機能、使い勝手は見逃せない

 以上、U2711の機能、使い勝手、画質をチェックしてきたが、なるほど人気が出るのも無理はない。民生機としてはハイエンドクラスの表示領域、視野角特性がよいIPSパネル、Adobe RGBとsRGBの両色域のサポート、豊富な入力系統に加えて、操作性や設置性も悪くない(サイズを考慮すればだが)。ボディの剛性や質感もしっかりしている。

 これが6万円を切る価格で購入できてしまうのだから、コストパフォーマンスは抜群に高い。ワールドワイドで液晶ディスプレイを大量投入しているデルならではのスケールメリットを存分に生かした価格破壊とも思える低価格攻勢だ。

 厳密な色再現性を求めるユーザーには、ハードウェアキャリブレーション対応製品など、よりハイグレードな液晶ディスプレイを強くおすすめするが、汎用性が高く、色を扱う用途にも耐えられる大型・高解像度のワイド液晶ディスプレイを求めている人ならば、迷わず買いといってもいいだろう。

 強いて悩みを挙げるならば、予告なしに行われるキャンペーンなどのタイミングをどう見計らうか、といったことくらいか。

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