2画面が大きな特徴とされているW100だが、ミニノートPCサイズとしては高性能なCPUを搭載している点も注目に値する。
CPUには超低電圧版Pentium U5400(1.2GHz)を採用している。2010年の5月末から追加された低価格薄型ノートPC(いわゆるCULVノートPC)向けの廉価版デュアルコアCPUで、モバイル向けのCore iシリーズ(開発コードネーム:Arrandale)がベースとなっている。Arrandaleコアによる超低電圧版CPUのグレードとしては、Core i3-330UM(1.2GHz)とCeleron U3400(1.06GHz)の間に位置する。
廉価版CPUということでTurbo BoostやHyper-Threadingは省かれているが、メモリコントローラを統合しており、各コア512Kバイトずつの2次キャッシュに加えて、2コアで共有する3Mバイトの3次キャッシュも内蔵している。そして、グラフィックスコアのIntel HD GraphicsもCPUに統合している。TDP(熱設計電力)は18ワットだ。
チップセットにはIntel QS57 Expressを用いている。ネットワーク経由でプリブート(OSに依存しない)管理が行える企業向けの管理機能を搭載しているほか、Intel QM57/HM55 Expressなどに比べて、チップのパッケージサイズが22×20ミリと小さい点が特徴だ(Intel QM57/HM55 Expressのパッケージサイズは27×25ミリ)。
最近のミニノートPCはAtom Zシリーズを搭載する製品が多いが、Atomは電力効率を優先した構造のために処理性能が低い。熱設計の目安となるチップセット込みのTDPでは、Atom Z530+US15Wが4.5ワット(2.2ワット+2.3ワット)、Atom N450+NM10が7.6ワット(5.5ワット+2.1ワット)に対し、W100が採用するPentium U5400+QS57では21.4ワット(18ワット+3.4ワット)とかなり熱設計がシビアだ。そのぶん、バッテリー駆動時間や静音性ではAtom搭載機より不利になる。
メインメモリはPC3-6400(DDR3-800)に対応しており、容量は2Gバイトをオンボードで備える。拡張用のメモリスロットなどは用意せず、メモリの増設には対応しない。
データストレージは62GバイトのSerial ATA SSDを内蔵する。デバイスマネージャで確認すると東芝製で型番は「THNSNB062GMCJ」となっていた。32ナノメートルプロセスルール製造のMLC NAND型フラッシュメモリを採用しており、省スペースで省電力を特徴とするmicroSATAタイプのモジュールだ。動作時の振動や衝撃に強いという点でもモバイルPCにとっては大きなメリットとなる。
通信機能としては、インテルのCentrino Advanced-N+WiMAX 6250を搭載しており、IEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LANとIEEE802.16e-2005準拠のモバイルWiMAX(利用にはプロバイダとの契約が必要)を切り替えて使えるほか、Bluetooth 2.1+EDRも標準で装備する。有線LAN機能は省かれている。
本体装備の端子はヘッドフォン出力と1基のUSB 2.0ポート、そしてmicroSD(microSDHC対応)カードスロットを備えるだけだ。そのほか、モノラルスピーカー/モノラルマイクを内蔵している。
モバイルPCでは、USBメモリなどのストレージのほか、通信カード、ハードウェアキーボード、マウスなどの接続が想定されるだけに、USBポートが1基だけというのはなかなか厳しいが、環境を整備すれば、幅広いシーンで実用的に使えるだけの装備は持っている。WiMAXモジュールは内蔵しているし、外付けのキーボードやマウスはBluetoothで接続し、データの移動や交換などはmicroSDHCカードで行うことで、ある程度対応できるだろう。
以上、W100のボディデザインをはじめ、液晶ディスプレイ、タッチ操作の使い勝手、基本スペック、拡張性などをチェックした。近日公開予定のレビュー後編では、コンパクトボディに超低電圧版Pentium U5400を採用したことで、パフォーマンスやバッテリー駆動時間、動作時の発熱や騒音がどうなっているのかを明らかにする。
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