2010年8月現在、インターネットでは1.5秒に1つ新たな脅威が登場し、9割以上がWebを経由して感染──。トレンドマイクロは、個人向けセキュリティ対策ソフトの最新バージョン「ウイルスバスター2011 クラウド」を発表。この1.5秒に1つ新たな脅威が登場する時代に合わせ、「抜本的に生まれ変わった」と述べるほど仕組みを一新し、従来のウイルス検索方法を革新的に変えた。
ウイルスバスター2011 クラウドは、何が変わったのか、どんなメリットがあるのか、なぜ“クラウド”なのか。トレンドマイクロの長島理恵プロダクトマネージャーに聞いた。
── ウイルスバスター2011 クラウドは、ウイルス検索のためのパターンデータの多くをクラウド上に置いて処理する「スマートスキャン」機能が新たに備わりました。これは、ユーザーにとってどんなメリットがあるのでしょう。
長島氏 インターネット上の脅威が日々増加し、より巧妙になってきている一方、コンシューマーユーザーのセキュリティ対策ソフトにおけるニーズは「安全」と「軽快」の2つに集約されます。これは今後もあまり変わらないと考えています。
ただ、これら2つの要素はこれまで相反するものでした。脅威検出のための情報=パターンデータを多く持っていれば安全性は向上しますが、半面、軽快さが損なわれてしまいます。この蓄積されたパターンデータは膨大な量で、急増する新種のウイルスに対応すべく更新も大量かつ高頻度に行う必要が生じるためです。この2点をいかに両立させるかが大きな課題でした。
新機能のスマートスキャンは、最新の情報をクラウド上のデータベースに保持し、必要に応じてPCからクラウドに問い合わせを行う機能です。PCには、ウイルスの検出に必要な最小限のパターンデータだけを残し、新種ウイルスの情報や使用頻度の低い情報をクラウドへ移すことで、リアルタイムで最新の「安全性」と、PCへの負荷を最小限にする「軽快性」を両立できました。ユーザーはクラウド上で更新される最新情報を常に利用でき、かつウイルスが急増した場合も大量のパターンファイル配信を待たず、かつダウンロードする必要がないため、発見から対策までの危険なタイムラグもなくなります。
トレンドマイクロが持つ基盤データベース“スマートプロテクションネットワーク(SPN)”を軸に、ウイルスバスター2008でWebレピュテーションDBによるTrendプロテクト機能や不正変更の監視機能、同2009でIM・WebメールのURL識別表示機能やリンクフィルタ機能、同2010でスマートフィードバック機能など、順を追ってクラウドによる機能を実装してきました。そして、2009年リリースの企業向け「ウイルスバスターCorp.」で導入したクラウド機能を今回の2011 クラウドに盛りこみ、個人向けウイルスバスターもほぼ完成形にとなりました。
── ウイルス対策ソフトを入れると「重くなる」と思われていたのは、日々増殖する脅威によりローカルPCに保存するパターンデータが肥大化し、かつ高頻度に更新していたためなのですね。
長島氏 長年の課題でした。それは他社さんも同じと思います。今回、ウイルスバスター2011 クラウドでほぼ解決できました。
また、PCによっては──特に少し古いPCほど、旧バージョンからウイルスバスター2011 クラウドにするだけでかなり高速になったと実感していただけると思います。Windows XP時代のノートPCで新旧バージョンの起動時間を比べると、平均で約42秒ほど短縮されるほど動作が軽くなっています。
新PCを買ったので、以前使っていたPCをお子さんや親御さんにプレゼントして今後も使ってもらう……ようなシーンも多いのではないでしょうか。この場合、ウイルスバスター2011クラウドも一緒にお送りいただくと、ご自身も、これから使う方も、安全・軽快にお使いいただけるようになります。「軽くて安全、初心者にも分かりやすい」ので、そのままおまかせ。初心者でも分かりやすいユーザーインタフェースを工夫しているので、“送る側”に対する家族のPCサポート依頼も減るのではと思います(笑)。
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