ThinkPadユーザーの多くは、キーボードや“フクロウの羽根”というキーワードで語られる冷却機能などのハードウェアに注目しがちだが、「ThinkVantage」は、ThinkPadの使いやすさをソフトウェア側から実現する。それだけに、ユーザーには把握しにくい一面もあるが、今回のブリーフィングでは、ThinkVantageでユーザーに提供されている機能から「セキュリティ」「Windows 7 Lenovo Enanced Experience」「ThinkVantage Communications」「省電力マネージャー」「Access Connections」の主要機能について、開発担当者が特徴と新しく実装された最新の機能について解説した。
レノボ・ジャパン 研究開発TVT・ノートブックソフトウェア開発担当/開発部長の麻生純一氏は、ThinkPadにおけるソフトウェア開発の位置付けを紹介した。麻生氏は、ThinkPadシリーズの開発においてThinkVantageは「ナレッジワーカーの生産性を高めることを意識して開発している」と述べ、ハードウェアの開発と連携しながら、システムの基盤ソフトウェア、ThinkPadに実装する先進技術の実現、管理コストの削減と使いやすさを実現するソフトウェアという3つの分野で開発を進めていると説明した。
麻生氏は、この3つの分野でThinkPadシリーズの機能を向上していくとしているが、その中でも、BIOSによるセキュリティ強化は、ThinkPadのラインアップでビジネス利用を重視したThinkPad「W」「T」「L」「X」(X100eは除く)において導入する一方で、管理コストの削減と使いやすさの向上や、VoIPにおけるキーボードノイズの削減などは、上記のシリーズに加えて、「SL」「Edge」「X100e」でも適用するという。
個別ソフトウェアの解説では、まず、ThinkPadに実装されたセキュリティ管理機能について同社第一BIOS開発 主任SWエンジニアの宮本保子氏が解説した。宮本氏は、強度と使いやすさが両立しにくいセキュリティ管理について、「エンドユーザーにはシンプルで使いやすく、管理者には管理が容易であることが両立した機能を提供する」(宮本氏)ためにThinkVantageでこの1〜2年でサポートされた4つの機能を紹介した。
1つは、シャットダウンした状態でも指紋認証によるBIOS認証を行って電源が入り、そのまま、Windowsへのログインまで進む「Power on Authentication」、2つ目はWindows上でBIOSを設定可能にすることで、スクリプトの配布と実行による一括設定機能。そして、3つ目に、サーバに登録するだけでハードウェアパスワードが一括して管理され、ユーザーはパスワードを意識することなくログインが可能になる機能が、最後の4つ目として、Absolute Softwareの資産管理、データ消去、盗難回収サービス「Computrace」とインテルのvPro Technologyの連携で利用できる盗難PCのシャットダウン機能がそれぞれ説明された。
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