こうしたデバイスやサービスが登場したのも、1つにはPCや携帯電話の普及でユーザーが個人専用のデバイスを持つことになったのと、スマートフォンやタブレットデバイスなどの普及で多機能なモバイルデバイスが増えてきたことに起因する。歩いていてもすぐに利用できるデバイスで、実装した各種センサーやサービスを組み合わせた情報認識型コンピューティングが最近になって注目されている理由もこうしたモバイル環境の変化が影響している。
センサーの利用は、ITとは関係ないような“デバイス”も含めて拡大しつつある。例えば、センサーを内蔵した靴で歩行状況を記録すると、“つまづき”などのトラブルを事前に把握できる。また、テレビのリモコンに加速度センサーを実装することで、それを使うユーザーの“挙動パターン”を把握し、現在リモコンを持っているのが誰かを認識できる。これをテレビの閲覧履歴と組み合わせれば、リモコンを使っているユーザーに応じて番組のお勧め候補が変化するといった応用も可能だ。
コンピュータに行動を把握されているような気もするが、ハードウェアのセンサーとソフトウェア、サービスを組み合わせた実例として興味深い。デバイス自身が記録する履歴だけでなく、ソーシャルネットワーク(SNS)に蓄積されたユーザー履歴を活用する事例も増えている。最近ではFacebookのプロフィールを使ってAmazon.comの“おすすめ”を表示させる「Facebook Connect」のような仕組みもその実例といえる。
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