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ハンドル付きミニノートPC「HP Mini 5103」実力診断元麻布春男のWatchTower(1/2 ページ)

» 2010年10月13日 16時45分 公開
[元麻布春男(撮影:矢野渉),ITmedia]

ビジネス向けとコンシューマー向けにミニノートPCをラインアップ

「HP Mini 5103」

 日本ヒューレット・パッカード(HP)が、同社初のミニノートPCである「HP 2133 Mini-Note PC」をリリースしたのは、もう2年以上前(2008年5月)のことになる。省電力型のCPU(VIA C7-M ULV 1.6GHz)と通常のノートPCより一回り小さな液晶ディスプレイ(8.9型ワイド)を搭載したミニノートPCは、インテルのAtom投入と、キャリアによる通信アダプタとのバンドル販売により一気にブレイクした。ところが、HP 2133はそのいずれにも頼らず、独自の道を歩みつつ、黎明(れいめい)期のベストセラーとなった。以来、HPはミニノートPCについて、コンシューマー向けモデル(型番が3ケタの数字)と、ビジネス向けモデル(同4ケタの数字)の両方をラインアップし続けている。今回取り上げる「HP Mini 5103」は、後者の最新モデルという位置付けだが、ここで紹介する「HP Mini 5103 N455/10LT/1/160/Home/Redモデル」(XT579PC#ABJ/以下、Redモデルと略)は、教育市場をターゲットにした、少し変わりダネのモデルとなっている。

ハンドル装備のマルチタッチ対応モデル

 このRedモデルを一目見て分かる特徴は、本体底面に折りたたまれたハンドルだ。折りたたんだ状態では本体に適当な角度(約7度)を与え、キータイプを容易にするチルトスタンドとなり、伸ばせば持ち運びに便利なハンドルとなる。本機が目指す教育市場、特に小学校低学年の児童が持ち運ぶ際に、このハンドルは大いに助けとなるはずだ。

 もちろんハンドルが加わることで、重量は増えることになるが、増分は決して大きくない。硬質樹脂製のハンドルは、ガッチリとした感触にもかかわらず、その取り付け部と合わせても重量の増分は140グラム(カタログ値)となっている。キャリングバッグに入れて移動するビジネスマンであれば、140グラムの増加さえ惜しいと思うかもしれないが、小学生が本体のみを手に持って移動する際の安全性を考えれば、十分にペイする重量増ではないかと思う。

キャリーハンドルを伸ばした状態
キャリーハンドルを伸ばした状態の裏面
重量は約1.26キロと軽いので、片手で軽々持ち運べる

キャリーハンドルを折りたたんだ状態(写真=左)。キーボード面に約7度の傾斜が付く。ハンドル部分は一見するときゃしゃな作りのようだが、実際はガッチリとしており、持ち運びに不安はない(写真=右)

10.1型ワイドのタッチパネル対応液晶ディスプレイを搭載する。残念ながら現時点で画面解像度の選択肢はない

 このRedモデルのもう1つの特徴は、ディスプレイがマルチタッチをサポートしていることだ。もちろんその目的は、画面を直接指で触れることで、より直感的な操作を実現することにある。このマルチタッチ機能をサポートするため、本機のOSは32ビット版Windows 7 Home Premiumとなっており、Windows 7 Starterを採用する標準モデル(N455/10L/1/160/Starterモデル)からアップグレードされた格好だ。言い替えれば、スタンダードモデルとの差額となる1万4700円(HP Directplusによる価格差)には、ハンドルの有無とマルチタッチ機能の有無に加え、OSの違いも含まれていることになる。

 残念ながら、このRedモデルには、コンシューマー向けのTouchSmart PCに含まれているようなHP独自のアプリケーションはバンドルされていない。タッチ向けのアプリケーションとしては、標準的なMicrosoft Touch Pack for Windows 7が含まれている程度で、活用する環境は十分とはいえない。しかし、インテルはAtomベースのNetbook向けにAppUpセンターを立ち上げており、そこではタッチをサポートしたアプリケーションの配布も行われる予定だ。わが国でAppUpセンターが利用可能になるのは2011年になると思われるが、それを楽しみに待ちたいところである。

 この3点を除けば、基本的なスペックは、スタンダードモデルと同一だ。CPUはDDR3メモリをサポートしたAtom N455(1.66GHz)で、現時点で選択可能なCPUは、このシングルコアAtomのみだが、まもなく(10月中旬予定)デュアルコアのAtom N550も選択可能になる(本機のデュアルコア版は日本で投入予定なし)。N550搭載モデルは、メモリが2Gバイトに増量されるほか、ディスプレイ解像度も本機のWSVGA(1024×600ドット)からHD(1366×768ドット)となり、OSも32ビット版Windows 7 Professionalに変更されるなど、多くの点がアップグレードされる一方で、価格は6万9930円からとなり、スタンダードモデル(3万9900円)の2倍近くになる。自分が何を求めているのか、慎重に検討することが必要だろう。

評価機(XT579PC#ABJ)のスペック
CPU Atom N455(1.66GHz)
チップセット Intel NM10 Express
メモリ DDR3 1GB(PC3-10600対応)
グラフィックス Intel GMA 3150(CPU統合)
グラフィックスメモリ 最大246MB(メインメモリと共有)
HDD Serial ATA 160GB(HTS725016A364/7200rpm)
液晶ディスプレイ マルチタッチ対応10.1型ワイド
画面解像度 1024×600ドット
外部ディスプレイ端子 アナログRGB出力(D-Sub 15ピン)
Webカメラ 200万画素
有線LAN GbE(Marvell Yukon)
無線LAN IEEE802.11b/g/n(Broadcom 4312)
Bluetooth
オーディオ IDT 92HD758
USBポート USB 2.0×3(左側面×2、右側面×1)
メモリカードリーダー SDHC対応SDメモリーカード(著作権保護機能非対応)/MMC
指紋センサー
バッテリー 4セル(オプションで6セルバッテリーを用意)
バッテリー駆動時間 約4.5時間(6セルは約10時間)
本体サイズ 262(幅)×180(奥行き)×25.2〜33(高さ)ミリ
重量 約1.26キロ
プリインストールOS 32ビット版Windows 7 Home Premium
価格 5万4600円(HP Directplus価格)

 そのほかのスペックは上の表を見てもらうとして、目立つのはHDDに、7200rpmのスピンドルを持つ2.5インチSerial ATAドライブを標準採用していることだ。HDDは衝撃吸収素材で包み込まれたうえ、加速度センサーによりヘッドを対比させるHP 3Dドライブガードも備えている。また、有線LANポートがGbE対応であるのも、本機がビジネス向けモデルをベースとしていることのあかしだろう。

評価機のCPU-Z 1.55画面(写真=左/中央)とGPU-Z 0.4.6の画面(写真=右)

評価機のデバイスマネージャー画面

 次のページでは、本機の入力環境やパフォーマンスなどを見ていこう。

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