AMD上級副社長 兼 Client Division General Managerのクリス・コラン氏は、開発が進むAPU“Fusion”のラインアップにおけるアップデートを示した。Fusionは1つのダイに、CPUの機能とGPUの機能を“融合”させたのが特徴で、CPUとGPU間におけるボトルネックの減少や、電力管理機能の強化、そして、外付けGPUに相当するグラフィックス性能を“統合型グラフィックスコア”で実現することが期待されている。
AMDでは、ソフトウェアベンダーへの技術サポートも進めており、AMD Fusion Developer Summitの開催も予定している。
Fusionのラインアップとしては、現在、ワークステーションやサーバといったハイパフォーマンスシステム向けの“Bulldozer”と、コンシューマー向けPCなどでの採用を想定する“Zambezi”“Llano”“Bobcat”の存在が明らかになっているが、コラン氏は、Bobcatのラインアップに“Brazos”という省電力タイプのシリーズを用意することを明らかにした。Brazosはデュアルコアモデルで、DirectX 11対応のGPUを同じダイに実装し、HDコンテンツの利用や終日の運用を可能にするバッテリー駆動時間を実現するという。
Brazosシリーズは、さらに「Zacate」と「Ontario」といった2つのラインに分かれる。Zacateは、TDP18ワットのモデルで、メインストリームノートPC(ディスプレイサイズが14型以上のA4サイズ)や液晶一体型PC、そして、メインストリームデスクトップPCへの採用を想定する。OntarioはTDP9ワットのモデルで、Netbook相当の軽量小型ノートPへの搭載を考えているという。
コラン氏は、壇上からZacateのチップを紹介するとともに、ZacateとCore i5-520を比較するライブデモを行い、同じ演算処理を行った状態で、ZacateのFLOPSがCore i5-520の3倍弱であるのに、消費電力は半分にとどまり、かつ、Core i5-520では100%のCPU負荷率が、ZacateではGPUを使った演算を行うことで2〜6%にすぎないことが訴求された。
コラン氏は、コンシューマー向けのFusionでクアッドコアモデルとなる「Llano」についても「Sabine/Lynx」プラットフォームの構成を示した上で、Llanoのウェハとライブデモを紹介。ライブデモでは、OSにWindows 7を導入したシステムで、円周率3200万ケタ演算とBlu-ray HDコンテンツの再生を同時に行いながら、MicrosoftのDirectCompute対応演算アプリケーション「n-Body」で約30GFLOPSを示すことを紹介した。
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