主要なスペックを抑えることで価格性能比を向上させたというRadeon HD 6800シリーズの性能を、ベンチマークテストで検証してみる。今回も従来のGPUレビューで行っているベンチマークテストと同様に、CPUはCore i7-980X(3.3GHz)、マザーボードはIntel X58 Expressチップセット搭載モデル(ASUSのRampage II GENE)を採用している。メモリは、DDR3-1066動作の2Gバイトモジュールを3枚、OSは64ビット版のWindows 7 Ultimateだ。
ベンチマークテスト用システム構成 | |
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CPU | Core i7-980X(3.33GHz) |
マザーボード | ASUS Rampage II GENE |
チップセット | Intel X58 Express |
メモリ | DDR3-1066(2Gバイト×3) |
HDD | WD5000AAKS(500Gバイト/7200rpm/16Mバイト) |
OS | 64ビット版 Windows 7 Ultimate |
3DMark VantageのGraphic Scoreは、Radeon HD 6870がRadeon HD 5850よりもやや上、Radeon HD 6850は定格動作のGeForce GTX 460と同程度という傾向だ。Radeon HD 6870はストリームプロセッサ数でRadeon HD 5850より少ないものの、コア、メモリともにより高いクロックであるためか、測定結果はこれを上回った。Radeon HD 6870は、GeForce GTX 470に対してもほぼ互角だ。高いオーバークロック設定を施したMSIのGeForce GTX 460搭載グラフィックスカード「N460GTX Hawk」に対しても低負荷時で上回っている。
同じくDirectX 10での挙動を測定するベンチマークテストとして行ったBiohazard 5(Resident Evil 5)では、Radeon HD 6870がRadeon HD 5870に迫るスコアを見せている。GeForce系GPUが得意とするベンチマークテストだが、N460GTX Hawkと比較すると低解像度では負けているが高解像度で逆転している。この逆転劇は、Radeon HD 6850と定格クロックのGeForce GTX 460でも確認できる。
Unigine Heaven Benchmark 2.1では、Radeon HD 6870がRadeon HD 5870を上回った。3DMark Vantageの測定結果にある通り、DirectX 10ではこのようなことは起こらず、テッセレータの改良が効果として表れていると考えることもできそうだ。Lost Planet 2ベンチマークテストでも、低解像度に限ればRadeon HD 6870がRadeon HD 5870を逆転している。一方で、DirectX 11対応とはいえテッセレーションの利用度が低いDiRT2では、こうした逆転現象は見られない。
これらのベンチマークでは、Radeon HD 6850に関してもRadeon HD 6870と同様の傾向で、Radeon HD 5850を上回る傾向があった。GeForce系GPUと比較すると、Lost Planes 2で善戦しており、Radeon HD 6870がオーバークロックモデルのN460GTX Hawkと同程度かやや上、Radeon HD 6850が定格動作のGeForce GTX 460といい勝負ということになる。ただし、Unigine Heaven Benchmark 2.1やDiRT2では、GeForce系GPUに大きく離されており、得手不得手の差が激しいともいえるだろう。
Radeon HD 6850は評価作業中にBIOSが更新された。日本AMDの担当者によると、主に消費電力に関する改善ということだったが、BIOSを更新したところ、スコアが低下する傾向が確認された。また、発表直前というタイミングも気になる。このタイミングでの更新では、発表と同時に発売される、それもリファレンス仕様に完全準拠したような製品の場合、古いBIOSが適用されたままという可能性がありえるので気になるユーザーは注意したい(なお、日本AMDよりアップデートがあり、BIOSの更新が必要だったのは評価用機材のみで、製品出荷のロットについては最新のBIOSが適用されていると述べている)。(記事掲載当初、消費電力のグラフに間違いがありました。おわびして訂正いたします)
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