FermiにはCUDAコアが512あったんだ──GeForce GTX 580で「本当の力」を知るイマドキのイタモノ(1/4 ページ)

» 2010年11月10日 00時00分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

すべてのCUDAコアをEnableに……しただけではない!

 NVIDIAによると、GeForce GTX 580の開発コード名「GF110」だという。NVIDIAとしては、「GF100」ことGeForce GTX 480から若干の修正を加え、リニューアルしたハイエンドGPUとGeForce GTX 580を考えている。そういうNVIDIAの言葉を信じていいのだろうか。まずは、スペックからチェックしてみる。

GTX 580 GTX 480 GTX 470
GPC 4 4 4
SM 16 15 14
CUDAコア 512 480 448
テクスチャユニット 64 60 56
ROPユニット 48 48 40
GPUクロック 772 700 607
シェーダクロック 1544 1401 1215
メモリクロック 1002 924 837
メモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリバス幅 384ビット 384ビット 320ビット
メモリ帯域幅 192.4GB/sec 177.4GB/sec 133.9GB/sec
メモリ容量 1536 1536 1280
2次キャッシュメモリ 768KB 768KB 768KB
テクスチャフィルレート 49.4GT/sec 42.0GT/sec 34.0GT/sec
消費電力 244ワット 250ワット 215ワット
補助電源コネクタ 8+6 8+6 6+6
DirectXサポート 11 11 11
攻勢トランジスタ数 30億 30億 30億
プロセスルール 40ナノメートル 40ナノメートル 40ナノメートル
Thermal Threashold 97度 105度 105度

 スペックの値を見ていくと、構成トランジスタ数はGeForce GTX480もGeForce GTX 580も同じ30億個とされているが、GeForce GTX 580のCUDAコア数が512基とGeForce GTX 480の480基から増えている。GeForce GTX 580はGeForce GTX 480でDisableだった(といわれている)CUDAコアを復活させたスペックといえる。ただしGF100を単にフルスペック化しただけではない。

 GF110と開発コード名の数字が上がっている理由として、NVIDIAはトランジスタレベルで改善を図ったとしている。主に2つの改良点を挙げており、1つがFP16テクスチャフィルタリングがフルスピードで行われるようになったこと、2つ目はZ-Cullの効率を向上させたことだ。

 なお、CUDAコアの512コア化に伴い、Streaming Multiprocessor(SM)はGeForce GTX 480の15ユニットから16ユニットへ、テクスチャユニット数は60基から64基へと増えている。ただし、ROPユニットは48基でこれはGeFoce GTX 480と同等だ。

GPU-Zで取得したGPUの情報によると、GeForce GTX 580はダイサイズがGeForce GTX 480からわずかに小さくなっている(GeForce GTX 480は526平方ミリメートル、GeForce GTX 580は520平方ミリメートル)。しかし、構成トランジスタ数はどちらも30億個と同じ。NVIDIAの説明では、アーキテクチャに手が加えられ、クリティカルな不具合の解消など最適化も施したので、GF100とGF110は「まったく同じというわけではない」という(写真=左)。GPUコアの開発コード名がGF100からGF110となり、アーキテクチャも若干の修正がかけられた。アーキテクチャの改良によってGF100からの性能向上が数%から10%、512コア化と消費電力の効率化による高クロック化で最大30%のパフォーマンス向上が可能になったという(写真=右)

 GeForce GTX 580の各部動作クロックは、GPUコアクロックが772MHz、メモリクロックが1002MHz(GDDR5の転送レートで4Gbps相当)とともに引き上げられている。グラフィックスメモリのバス幅は384ビットのままだが、メモリ帯域は動作クロックが向上した分だけ増えて、GeForce GTX 480の177.4GB/secから192.4GB/secに引き上げられた。ただし、Radeon HD 5870のグラフィックスメモリがGDDR5の転送レートで4.8Gbps相当を実現していることを考えると、まだ抑えられている印象だ。

 GeForce GTX 580では熱設計面でも改善が施された。GeForce GTX 480はTDPが250ワット、Thermal Threasholdが105度だったが、GeForce GTX 580では244ワット、97度となった。CUDAコアが増えて動作クロックが上がったのに発熱と消費電力が下がったことになる。NVIDIAでは、ブロック図こそGF100世代と変わらないが、内部設計を見直して電力効率の改善を図ったと説明している。

 これに合わせて、GeForce GTX 580を搭載するグラフィックスカードのリファレンスデザインで採用されたクーラーユニットも見直されている。NVIDIAは、このクーラーユニットのポイントとして「Vapor Chamber」をアピールしている。Vapor Chamberの基本的な仕組みでは、液体が気化することでGPUの熱を奪い、その気体はヒートシンクで冷却されて液体に戻るという循環を繰り返す。気化と液化を繰り返す仕組みはヒートパイプと似ているが、密閉されたブロックでこれを行うため、小型化と大容量化が両立する。ただ、この技術を用いたクーラーユニットはすでに市販のグラフィックスカードで採用されているので、斬新な新機軸とはいいがたい。

リファレンスデザインのクーラーユニットにVapor Chamberを採用した。液体が気化する段階でGPUの熱を奪い、ヒートシンクで冷却されるという方法で熱交換を行う。なお、Vapor Chamberを用いたグラフィックスカード用クーラーユニットは、Sapphireなどですでに採用されている

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