外出先で使うモバイルWiMAX、最近は都市圏において特にサービスエリアが拡充されてきており、ノートPCやスマートフォン、ポータブル端末で便利に活用するユーザーも増えてきている。では、そんなユーザーも家や会社での通信手段はどうしているだろうか。
NECアクセステクニカの「AtermWM3400RN」は、モバイルWiMAX通信モジュールを内蔵する無線ルータ“WiMAX Speed Wi-Fi”だ。バッテリーを内蔵しするポータブル型「AtermWM3300R」(レビュー:これ1つでかなりイける──WiMAX対応無線LANルータ「AtermWM3300R」使いこなしガイド)をベースに、「据え置き型」とした製品となる。「家で使うWiMAX」を製品テーマに、AtermWM3300Rよりいくつかの仕様変更が施されている。
本機の特徴は、面倒な工事を一切なしに下り最大40Mbps/上り最大10Mbpsで、利用制限のないモバイルWiMAXによるブロードバンドインターネット接続を導入できる点と、無線LAN接続に加えて有線LAN接続もサポートする点だ。
有線LAN接続をサポートするWiMAXルータ機器は、過去にOKIネットワークス製の「WiMAX Wi-Fiゲートウェイ(UG01OK/UD01OK)」が販売されていたが、UQコミュニケーションズブランドとしての販売は終了(現在、特定事業者からの販売のみのようだ)、モバイルWiMAX以外では3Gデータ通信対応のバッファロー「ポータブルWi-Fi(DWR-PG)」(および姉妹製品となるNTT東西の「光ポータブル」、NTTドコモの「BF-01B」)などがあるが、その数はそれほど多くはない。
通信モジュールの通信方式は、UQコミニュケーションズとそのMVNOが採用するモバイルWiMAX(IEEE802.16e-2005)に準拠しており、本機は2010年現在の現行サービスでフルスペックとなる下り最大40Mbps/上り最大10Mbpsでの通信をサポートする。モバイルWiMAXは、地域WiMAXを除くとUQコミニュケーションズがインフラを構築し、UQコミニュケーションズのUQ WiMAXのほか、プロバイダや家電量販店などが展開するMVNO事業者を含めると20社近くが接続サービスを提供している。本機はこのうち10の事業者との接続が確認済みとなっている。
モバイルWiMAXサービスは、サービスエリア内であればその場でオンラインサインアップ(契約)などが可能だ。本機はブラウザからアクセスして最小に表示される設定画面“WiMAXポータル”からのサインアップにも対応しており、PCとUSBケーブルなどで直接接続する必要もない。2010年11月現在、本機は接続サービスの加入とセットでの販売が主となっているようだが、単体で購入しても、自宅や会社、喫茶店など、WiMAXのサービスエリア内で契約や機器追加の作業はもちろん可能だ。本機と無線LAN接続したスマートフォンのブラウザからでもOKである。
なお、WiMAX機器については、一部の特定接続サービスでしか利用できない専用製品も販売されている。この場合、機器の販売価格が安価になる代わりに、ほかの接続サービスでの利用はできない制限がある。NECアクセステクニカの製品は、型番で認識できる。本機の場合は「PA-WM3400RN(AT)」という型番であれば接続サービスの制限がなく、UQ WiMAXなどでは機器追加オプションも利用できる。
無線LANは2.4GHz帯の電波を用い、最大300MbpsのIEEE802.11nとIEEE802.11b/gに対応する。
インターネット側の最大速度が40Mbpsである現在のモバイルWiMAXにおいて、IEEE802.11nは必須でないとは思う人はいるだろう。ただ、屋内で利用するのであれば、本機をできるだけWiMAXの電波状態がよい場所に設置し、複数の部屋や異なるフロアで利用するということもある。このため、LAN内の速度面はもちろん、通信距離の延長にも寄与するIEEE802.11n対応はメリットが大きいと考えたい。パフォーマンスについては後ほど検証する。
一方、有線LANは100BASE-TX準拠となるが、LANハブを介せば複数の有線LAN機器(デスクトップPC以外に、ネットワーク対応テレビなど)を接続できる。ギガビットLAN対応ハブを用いれば有線LAN機器間では最大1000Mbpsの通信が行えることにもなる。
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