「LuvPad」徹底検証――高性能Androidタブレットの実力触って分かった(1/3 ページ)

» 2010年11月22日 14時11分 公開
[後藤治,ITmedia]

「LuvPad AD100」は誰のための製品だろう

3万9800円の「LuvPad AD100」

 マウスコンピューターの「LuvPad AD100」は、基本システムにTegra 2を採用した注目のAndroid端末だ。前回のフォトレビューに続いて、動画を交えながら実際の使用感をお伝えしよう。

 筆者は普段、自宅や社内で使うブラウザ用端末としてiPadを常用している。その代わりに、ここ数日はLuvPadを使っていたのだが、結論から言ってしまうと、“慣れ”の部分を差し引いても苦労が多かった。もちろん、単純にインターネットやメール、メディアブラウザとして使うのであればまったく問題はない。しかしその点でいえば、ハードとソフト、そしてAppStoreやiTunes Storeをはじめとするサービスまで高いレベルで統合したiPadのほうがやはり完成度は高い。正直、並べて比較する種類の製品ではないという印象だ。

 もちろん、この点についてはマウスコンピューターも分かっているようで、例えばOSにはほとんど素のAndroid 2.2が採用されており、大手メーカー製のタブレット製品に多い独自のホーム画面やアプリが用意されていないことからも見て取れる。日本語入力には「Simeji」がプリインストールされてはいるが、この必要最低限の構成は広く一般コンシューマーへ訴求する製品とは言い難い。

 事実、LuvPadの製品企画を担当した同社マーケティンググループの藤川氏は、「もともとBTOパソコンのメーカーとして知られるマウスコンピューターの顧客層はどちらかといえば中上級者ユーザーが多いので、今回のLuvPadもこの点を意識しました」と話しており、「白紙のAndroidタブレットを提供したのには、ガシガシ使い倒してほしい、という気持ちもあります。“あなた色に染めてください”という感じでしょうか(笑)」と製品コンセプトを説明している。

ホーム画面は独自のウィジットもなく、シンプルそのもの(画面=左)。日本語入力用に「Simeji」がプリインストールされている。表示されるサイズの問題もあって、ソフトウェアキーボードでの高速入力はやや厳しい(画面=中央)。ファイルマネージャには、ネットワーク(Windowsのファイル共有、FTP、Bluetooth)対応の「ES File Explorer」が用意される(画面=右)

 この言葉からも分かるとおり、LuvPadは単純に「“便利な道具”が欲しい」「何も考えずに気軽に使いたい」、という人には向いていない。しかしその一方で、ガジェット好きや開発者にとっては興味を引く要素もある。その1つがTegra 2とAndroid 2.2をベースにした高いパフォーマンスだ。

メインプロセッサとして1GHz駆動のデュアルコアCortex A9を搭載するT20-H-A2を採用

 試しに、Android端末向けのベンチマークアプリとしてAurora Softworksの「Quadrant(Standard Edition)」を実行してみたところ、比較対象として挙げたデルの「Streak」やSamsung電子の「Galaxy S」よりも2倍以上高いスコアを記録した。

 もちろん、これがそのまま2倍の性能を発揮できることを示しているわけではないものの、Android端末として、同じ1GHzクロックのQualcomm QSD8250(Streak)やSamsung S5PC110 Cortex-A8(Galaxy S)に比べ、Tegra 250のほうが高いポテンシャルを持つという指標にはなるだろう。

Quadrant Standard Editionの結果画面。左からLuvPad(Tegra 250+Android 2.2)、Streak(Qualcomm QSD8250+Android 2.2)、Galaxy S(Samsung S5PC110 Cortex-A8+Android 2.1)

ちなみに、浮動小数点数演算の性能を測るLinpack(Linpack for Android v1.1.6)では、LuvPadが37MFROPS前後(画面=左)、Streakが35MFROPS前後(画面=右)だった

 なお、低消費電力を誇るTegraとはいえ、長時間ベンチマークテストを繰り返したり、HD画質の動画を再生していると、さすがに底面の排気スリット付近が熱を帯びる。それほど熱くはないのだが、横位置でホールドするとちょうど左手の位置にくるため、少し気になるかもしれない。一方、バッテリー駆動時間は、満充電の状態から画面輝度を最大、HD動画を連続再生して1時間ほどでバッテリー残量が90%になった。LuvPadは動画連続再生時で約7.5時間のバッテリー駆動を公称しているが、確かに同程度の長時間駆動は行えそうな印象だ。

動画で使用感をリポート(1)――起動、Webブラウズ

 さて、実際の使用感を伝えるために、起動やWebブラウズの様子を動画で紹介していこう。LuvPadは8Gバイトの内蔵ストレージ(空き容量約5.5Gバイト)とは別に、OS起動用としてSLCチップを採用した512Mバイトのフラッシュメモリを搭載している。

 MLCに比べてどのくらい高速かというデータはないとのことだが、同社は「現状でなるべく高性能な製品を作るという点から妥協しなかった」と語っている。自作PCとは異なり、容易にコンポーネントを換装できないこの手の製品では、書き込み耐性が高いのもメリットだろう。

 なお、タブレット端末で電源を完全に切る場面はそれほどないと思われるが、何度か電源オン/オフを試したところ、電源投入から起動画面が表示されるまでの平均は17秒程度だった。





 一方、Webブラウズ時の使用感はiPadと比べてもそん色はなく、レンダリングは非常に高速、画面もスムーズにスクロールする。ちょっとインターネットで何か調べたい、といったときに、リビングに置いておくブラウザ端末としてはかなり魅力的だ。

 ただ、加速度センサーが敏感すぎて、ソファに寝そべっているときなどは頻繁に画面が回転してしまうのが少しうっとうしいと感じた。iPadは本体横のスライドスイッチで自動回転をオフにできるが、LuvPadは設定から表示メニューの「画面の自動回転」をオフにする必要があるので、眺めているコンテンツに応じて気軽に画面の自動回転を切り替えられないのが残念だ。


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