“3つの3D体験”がノートPCにもやってきた――「FMV LIFEBOOK AH570/5BM」検証これなら3Dを導入していいかも?(2/4 ページ)

» 2010年12月02日 10時45分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

鮮やかな表示の15.6型ワイド液晶を搭載

 15.6型のワイド液晶は3D立体視に対応しており、画面の表示解像度は1366×768ドットだ。LEDバックライトを採用した高色純度、高輝度の光沢パネルを採用し、映り込みを抑える低反射処理もされている。

 動画再生時に自動的に映像を鮮やかにする機能も持っており、テレビやBlu-ray Discタイトルの映画などを見栄えのする表示で鑑賞できる。動画再生時の画質設定を選択する「画質設定ユーティリティ」は、デフォルトで「クリアモード」になっており、動画再生中に「ノーマルモード」と切り替えて比べてみると、色温度が下がり(暖色系になり)、彩度がアップするのが分かる。

 実際に試用したところでも非常に明るく鮮やかな印象があり、映り込みも比較的少なく、ノートPCの液晶としては左右の視野角も広めだ。動画再生時の画質調整も効果的で、特にテレビ映像の画質はかなりよい印象を受けた。

15.6型ワイド液晶は光沢仕様。高色純度・高輝度タイプとなっている
液晶は180度以上開くので、低い位置に本体を置いても見やすい角度に調整できる
動画再生時の画質設定を3種類から選択できる「画質設定ユーティリティ」

 ステレオスピーカーは、ボディ奥側のヒンジ部に斜めに配置してあり、PCに向かって使用するユーザーが最もよい状態で視聴できるよう配慮されている。低音はノートPCなりに弱めであるが、悪くない音質だ。

 バーチャルサラウンド技術の「DTS Surround Sensation UltraPC」と、ノートPCでのスピーカーの聴覚的な音量レベルを向上させる技術「DTS Boost」にも対応している。前者は特に映画などのコンテンツで有効で、明らかにサウンドに奥行きが出て臨場感が増す。後者はそれほど派手な効果はない印象だが、有効にすると確かに音に厚みが増すのが分かる。

「DTS Surround Sensation UltraPC」は、ステレオスピーカーでも立体感のあるサラウンドを再現するバーチャルサラウンド技術。「DTS Boost」はノートPCの限りあるスペースでも迫力のあるサウンドを実現する技術。ともにコントロールパネルからアクセスできる「Realtek HDオーディオマネージャ」から効果のオン/オフや調整が行える

3D立体視を含め、充実のエンターテインメント機能

 3D立体視に対応するのも大きな特徴だ。3D表示対応の液晶ディスプレイと3D撮影対応の3Dカメラを装備しつつ、専用の3Dメガネを添付し、3D立体視対応のソフト/コンテンツもプリインストールしており、購入してすぐに3D立体視を楽しめる。

 Blu-ray 3Dやデジタル放送の3D番組、YouTubeに公開された3Dコンテンツの視聴、DVD-Videoや動画/静止画ファイル、対応ゲームタイトルの2D/3Dリアルタイム変換視聴、内蔵3Dカメラによる3D静止画/動画の作成も行える。このように「視聴」「変換」「作成」という「3つの3D体験」が楽しめるというのが、富士通の3D立体視対応PCにおける特徴だ。

 3D立体視の方法は円偏光/ラインバイライン方式を採用している。この方式では、液晶ディスプレイの1画面に右目用と左目用の2種類の像を合成表示(横1ラインごとに右目用と左目用を交互に表示)しつつ、右目と左目の偏光方向を変えた偏光メガネを使って左目には左目用、右目には右目用の像だけを映すことで、立体でない映像を立体に見せる。

 偏光方式の特性上、効果的に視聴できる視聴位置には制限があり、AH570/5BMの場合は液晶ディスプレイの垂直方向から4〜10度の角度、および画面から55〜70センチの距離が推奨されている。机の上に置いて普通の姿勢で見ればこのような角度になると思われ、特に不都合はないと思われる。

液晶ディスプレイは円偏光/サイドバイサイド方式の3D立体視に対応。3Dメガネには専用ケースも付属する。2つのWebカメラによる3D撮影が楽しめるのもポイントだ
左がAH570/5BMに付属する3Dメガネ、右がデスクトップの「FMV ESPRIMO FH900/5BM」に付属する3Dメガネ。形が異なるのはさておき、偏光メガネのチューニングが違うので流用できないという

 3D立体視を楽しめるソフト/コンテンツとしては以下のようなものがある。

  • Fujitsu PowerDVD9 3D Player
  • 3Dカメラビュワー
  • TriDef 3D Media Player
  • とびだす熱帯魚!
  • THE MOVIE やさいのようせい 3D

 「Fujitsu PowerDVD9 3D Player」は、Blu-ray 3D(Blu-ray Discの3D立体視規格)の視聴やDVDなど2D映像を3D化して観賞できるソフトだ。ようやく国内でもBlu-ray 3Dのコンテンツが流通しはじめており、楽しめる環境ができつつある。それらをいち早く楽しめるのは大きなメリットだろう。

 2D映像の3D化機能は、Blu-ray 3Dなどネイティブな3Dコンテンツの迫力には及ばないものの、比較的動きが遅くカメラアングルが頻繁に変わらないような映像なら、それなりに楽しめる。欲しいBlu-ray 3Dが発売されるまでのつなぎとして遊ぶなら十分だろう。

 「3Dカメラビュワー」は、液晶フレーム上部に搭載した3Dカメラを利用して、2D/3Dの静止画および動画の撮影、飾り付け、動画サイトへのアップロードなどができるソフトウェアだ。見るだけでなく、自分で3Dコンテンツを作って楽しめるのは面白い。

 「TriDef 3D Media Player」は、2Dの写真を3D化して見ることができる。「とびだす熱帯魚!」は仮想水槽の中で熱帯魚を飼育し、3Dで鑑賞して楽しめるソフト。「THE MOVIE やさいのようせい 3D」は3D立体視対応のスクリーンセーバーだ。このように3D対応ノートPCならではの楽しみができるソフト/コンテンツがたくさん用意されているのはうれしい。

「Blu-ray 3D」のほか、DVDなど2D動画も3D化して観賞できる「Fujitsu PowerDVD9 3D Player」
「3Dカメラビュワー」では、液晶フレーム上部に装備した2つのレンズを持つ3Dカメラで3D静止画/動画を撮影し、飾り付けなども楽しめる
2D写真を3D化して楽しめる「TriDef 3D Media Player」。スライドショー機能もある

「とびだす熱帯魚!」は、バーチャルな水槽の中で熱帯魚を飼育し、3Dで観賞して楽しめるソフト。水槽内のレイアウトやライティング、飼育する熱帯魚はカスタマイズ可能だ
アニメ作品「やさいのようせい N.Y.SALAD」の映画「やさいのようせい N.Y.SALAD The MOVIE」の予告編を3D立体視対応のスクリーンセーバーに仕立てた「THE MOVIE やさいのようせい 3D」

テレビ機能の操作に役立つリモコンも付属する

 エンターテインメント機能としては、テレビの視聴/録画機能も装備している。地上/BS/110度CSと3波デジタル放送に対応したテレビチューナーを1基内蔵し、録画視聴ソフトはピクセラの「DigitalTVbox」を利用する仕様だ。付属のリモコンを使って、気軽にテレビや録画番組の観賞が楽しめる。前述の通り、デジタル放送の3D番組が視聴できるのも特徴だ。

 テレビ録画の機能は最大10倍の長時間録画機能に対応しているものの、キーワードを指定しての自動予約録画などあまり気の利いた機能はない。操作のレスポンスがいまひとつよくない点も気になった。なお、B-CASカードスロットは底面手前側に用意されている。


TVの視聴/録画ソフトは「DigitalTVbox」。画質モードはMPEG2-TSのほか、3種類のAVC録画に対応している。SDメモリーカードやメモリースティックへの書き出し機能もある

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