新しくなったアーキテクチャの実力は?──「Radeon HD 6970」「Radeon HD 6950」“緊急通関”レビューイマドキのイタモノ(1/4 ページ)

» 2010年12月15日 14時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]
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数で比較できない新アーキテクチャの効果

 Radeon HD 6900シリーズで今回発表されたのは「Radeon HD 6970」と「Radeon HD 6950」の2モデルで、どちらもシングルGPUの製品だ。AMDが公開している同社GPUのロードマップでは、この上にデュアルGPUの「Antilles」があることになっているが、今回はまだ登場しない。

Radeon HD 6000シリーズのハイエンドシングルGPUとなる、開発コード名“Cayman”ことRadeon HD 6900シリーズは、GeForce GTX 570のセグメントに重なるとされる(写真=左、中央)。なお、“Cayman”世代のデュアルGPUモデルとみられる“Antilles”ことRadeon HD 6990の登場にはもう少し時間がかかるようだ(写真=右)

 Radeon HD 6900シリーズではアーキテクチャに変更が加えられた。まず、搭載するSIMD EngineがRadeon HD 6970で24基、Radeon HD 6950で22基と、Radeon HD 5870の20基から増加している。ただし、ストリームプロセッサは、Radeon HD 5870の1600基、Radeon HD 5850の1440基から、Radeon HD 6970で1536基、Radeon HD 6950で1408基とそれぞれRadeon HD 5800シリーズの同クラスモデルから減らしたことになる。

GPU Radeon HD 6970 Radeon HD 6950 Radeon HD 6870 Radeon HD 6850 Radeon HD 5870 Radeon HD 5850
SIMD Engine 24基 22基 14基 12基 20基 18基
ストリームプロセッサ数 1536基 1408基 1120基 960基 1600基 1440基
テクスチャユニット 96基 88基 56基 48基 80基 72基
ROPユニット 32基 32基 32基 32基 32基 32基
Z-Stencil 128基 128基 128基 128基 128基 128基
GPUクロック 880MHz 800MHz 900MHz 775MHz 850MHz 725MHz
メモリ転送レート(Gbps) 5.5Gbps相当 5Gbps相当 4.2Gbps相当 4Gbps相当 4.8Gbps相当 4Gbps相当
メモリクロック 1375MHz 1250MHz 1050MHz 1000MHz 1200MHz 1000MHz
メモリ GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリ接続バス幅 256ビット 256ビット 256ビット 256ビット 256ビット 256ビット
メモリ帯域幅 176Gバイト/秒 160Gバイト/秒 134.4Gバイト/秒 128Gバイト/秒 153.6Gバイト/秒 128Gバイト/秒
メモリ容量 2048Mバイト 2048Mバイト 1024Mバイト 1024Mバイト 1024Mバイト 1024Mバイト
Typical Gaming Power 190ワット 140ワット 151ワット 127ワット 188ワット 151ワット
Typical Idle Power 20ワット 20ワット 19ワット 19ワット 27ワット 27ワット
PowerTune MaxLimit 250ワット 200ワット 0 0 0 0
補助電源レイアウト 8+6ピン 6+6ピン 6+6ピン 6ピン 6+6ピン 6+6ピン
構成トランジスタ数 26.4億個 26.4億個 17億個 17億個 21.5億個 21.5億個
プロセスルール 40ナノメートル 40ナノメートル 40ナノメートル 40ナノメートル 40ナノメートル 40ナノメートル

 これはストリームコアの構造が変わったためだ。Radeon HD 5800シリーズまでは、1単位のストリームプロセッシングユニット(Stream Processing unit:SPU)が4基のストリームコアと1基のSpecial Function ストリームコアで構成されていた。1つのSPUに5基のコアを含んでいたことになる。一方、Radeon HD 6900シリーズでは、Special Function ストリームコアが不要になって、通常のコアで処理できるようになった。このおかげで、Radeon HD 6900シリーズでは1単位のSPUが4つのコアで構成される。SPU構成コアの数が減ったことで、GPUが搭載するストリームプロセッサも減少した。アーキテクチャが変更したことにともなって、ストリームプロセッサの数を比較しただけでは、その性能が従来世代のRadeon HDシリーズと単純に比較できないといえる。

Radeon HD 6900のブロック図(写真=左)とRadeon HD 5800のブロック図(写真=右)は、ほぼ同じ構成になっているが、SIMD Engineの数が24基に増加しているなど、各部で変更が加えられている

SPUの構成をRadeon HD 6900シリーズ(写真=左)とRadeon HD 5800シリーズ(写真=右)で比較する。Radeon HD 6900シリーズでは1単位のSPUが4基のコアで構成されるため、“5基編成”だったRadeon HD 5800シリーズと比べるとストリームプロセッサの数を減らすことができた

 Radeon HD 6900シリーズで増えているユニットもある。テクスチャユニットはRadeon HD 6970で96基、Radeon HD 6950で88基となる。ただし、これは1単位のSIMD Engineに対して4基必要という面で従来と同じだ。また、グラフィックスメモリは、Radeon HD 6900シリーズから標準で2Gバイトまでサポートされる。グラフィックスメモリの転送レートも引き上げられ、リファレンスデザインでは、Radeon HD 5870が4.8Gbps相当だったのが、Radeon HD 6970は5.5Gbps相当に設定されている。動作クロックでは1200MHzから1375MHzにクロックアップしたことになる。メモリバス幅は従来と同じ256ビットだが、帯域幅で見るとRadeon HD 5870が153.6Gバイト/秒だったのに対して、Radeon HD 6970は176Gバイト/秒と20Gバイト/秒以上の引き上げが実現したことになる。

グラフィックエンジンの構成をRadeon HD 6900シリーズ(写真=左)とRadeon HD 5800シリーズ(写真=中央)で比べる。ラスタライザなどはRadeon HD 5800シリーズでも2基搭載されていたが、Radeon HD 6900では完全に2重化された。Render Back-endでは、16ビット整数処理が2倍に、32ビット浮動小数点処理(単精度倍精度ともに)で2〜4倍に、それぞれ能力が向上したという(写真=右)

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