新しくなったアーキテクチャの実力は?──「Radeon HD 6970」「Radeon HD 6950」“緊急通関”レビューイマドキのイタモノ(4/4 ページ)

» 2010年12月15日 14時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]
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DX9とDX10で“570”に迫り、DX11で“470”と競る

 3DMark 06の高負荷条件において、Radeon HD 6900シリーズは「低画質低解像度でそこそこ、高画質高解像度でスコアの落ち込みが少ない」という傾向が確認できる。低負荷条件でRadeon HD 6970の測定結果はGeForce GTX 570と同じ程度だが、解像度を2560×1440ドットに上げると大幅に逆転する。同様にRadeon HD 6950も低負荷条件でGeForce GTX 570程度のスコアだが、2560×1440ドットでは逆転する。

 3DMark VantageのGraphicsスコアでは、Radeon HD 6970がGeForce GTX 570よりもやや低く、Radeon HD 6950は、Radeon HD 6970とRadeon HD 5870の中間やや上といったあたりだ。ただ、いずれもGeForce GTX 470のスコアを大きく上回る。CPU Testスコアを加えたOverallでは、GeForce GTX 570との差が開いてしまうが、GeForce GTX 470に対する優勢は変わらない。

 「3DMark 11」で測定したRadeon HD 6970のスコアは、GeForce GTX 470より上であるものの、やはりGeForce GTX 570に差をつけられている。これはGraphicsテストで、よりはっきりする。Radeon

HD 6950はGeForce GTX 470と互角で、高解像度条件でわずかに優勢となる。なお、Physicsテストでは、総じてRadeon HD 陣営のスコアが高い。また、Combinedテストは、Graphicsテストの傾向に近いが、Radeon HD 6950を2枚使ったCrossFireXで頭打ちの症状が出ている。

 バイオハザード5のDirectX 9条件とDirectX 10条件で特徴的なのは、DirectX 9条件の2560×1440ドットまでRadeon HD 6970がGeForce GTX 570を上回っているが、DirectX 10条件では、1600×1200ドットから上の解像度のすべてでGeForce GTX 570を下回っている。DirectX 10におけるRadeon HD 6950に関しては、GeForce GTX 470を低解像度で下回り、2560×1440ドットでようやく上回る。

 一方、DirectX 11対応のゲームタイトルでは、テッセレーション性能を測定するベンチマークテストでRadeon陣営の苦戦が続いた。Unigine Heaven 2.1をテッセレーション:Extreme条件で測定すると、Radeon HD 5800シリーズから大きく向上し、Radeon HD 5800シリーズをベースにテッセレーション性能を強化したRadeon HD 6800シリーズにも一段高いスコアとなったRadeon HD 6900シリーズだが、それでもRadeon HD 6970がGeForce GTX 470とようやく並ぶ程度だ。

 DiRT2になるとこの傾向はいっそう強くなり、テッセレーション負荷がさらに高いH.A.W.X.2では、完全に離される。唯一、LOST PLANET 2で2560×14400ドット条件におけるRadeon HD 6970の結果がGeForce GTX 470を上回ったが、本来のライバルであるGeForce GTX 570には大きく引き離されたままだった。

 消費電力の比較では、アイドル時においてRadeon HD 6900シリーズがRadeon HD 5800シリーズよりわずかに高い。一方、ピーク時の消費電力はRaden HD 6950がRadeon HD 5870より10ワットほど低い。Radeon HD 6970は300ワットを超え、最高で320ワットに達したが、それでもNVIDIAのGPUより低く抑えられている。

 なお、2枚のRadeon HD 6950で構成したCrossFireXでは、アイドル時で高いものの、それでも135ワット程度と飛びぬけたものでもなく、ピーク時でも400ワット強と、GeForce GTX 580との差は10ワット程度にとどまった。

強烈なCrossFire X。デュアルGPU「Antilles」に期待大

 Radeon HD 6970は、Radeon HD 5870から着実にパフォーマンスアップした。消費電力も増えているが、NVIDIAのGPUと比べれば低い。DirectX 11のテッセレーション性能では不利な面もあるものの、総合性能を示すスコアでは、高負荷条件で十分に快適なレベルといえる。

 意外だったのが、GeForce GTX 580を上回るCrossFireXの性能だ。 ただ、最適化や負荷の程度で3DMark系ではスケーラブルなスコアの向上が確認できるものの、ゲームタイトルで測定した結果では、低解像度条件で頭打ちになる。それでも、2560×1440ドット条件におけるスコアは、H.A.W.X.2を除くほとんどのテストでGeForce GTX 580を上回った。

 占有スペースが2倍になるし、Radeon HD 6950搭載グラフィックスカード2枚の価格がGeForce GTX 580より安いというのも考えにくいが、今回の比較でトップスコアであったのは注目できる。デュアルGPUモデルとして投入が予定されている“Antilles”の実力も期待できるのではないだろうか。

 実売価格はRadeon HD 6970搭載製品が4万円台半ば、Radeon HD 6950搭載製品が3万円台前半あたりとみられる。価格帯としても、GeForce GTX 570相当といったところだろうか。Radeon HD 6800シリーズのようなコストパフォーマンスではなく、絶対的なパフォーマンスを重視するユーザーが対象となるが、Radeon HD 6900シリーズの実力はそういうユーザーを満足させることができるだろう。あとは、製品が店頭に「いつごろ」「どれだけ」並ぶのかが気になるところだ。

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