NECアクセステクニカの「AtermWM3500R」(以下、WM3500R)は、WiMAX初の通信機能一体型ポータブル無線LANルータとして人気を得た「AtermWM3300R」(以下、WM3300R)の後継機種だ。
WM3500Rは、WM3300Rの登場からほぼ1年が経過してからの登場ということもあり、ボディのさらなる小型、軽量化はもちろん、バッテリー動作時間を大幅に強化したのが喜ばしいポイントだろう。より幅広くなったユーザーニーズに対応すべく3色のカラーバリエーションも用意している。同時に、WiMAXサービスを展開するUQコミュニケーションズは、WiMAX内蔵PCとともに無線LANルータ機器“WiMAX Speed Wi-Fi”のアピールにも力を入れている。WM3300Rの登場後も同等の機能を備えた製品がいくつか登場し、さらに2011年早期にももう1つ新製品が登場する予定となっている。
というわけで、これらとWM3500Rを比較しながら、WM3500Rがどんな製品なのか、どこにメリットがあるか──を改めて確かめてみよう。なお「AZ01MR」は当初2010年12月発売予定だったが、発売が2011年にずれ込む見込みのため、2010年12月時点での同社Webサイトの情報をもとにしている。
まずは5製品のサイズや重量、バッテリー動作時間から。WM3500Rは必ずしも最小・最軽量ではなく、発売済みの「URoad-7000」や「AZ01MR」の方が数値は小さい。ただしWM3500Rは、厚さ14.8ミリの薄型ボディでもっとも薄いAZ01MRより0.9ミリ厚いだけであり、平均的なシャツの胸ポケットやズボンのポケットにも普通にすっぽり収まるサイズとなっている。
重量 | サイズ(幅×奥行き×高さ) | バッテリー動作時間(カタログ値) | バッテリー着脱 | 純正クレードル | 発売 | |
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AtermWM3500R | 120グラム | 70×105×14.8ミリ | 8時間 | × | オプションで用意、有線LAN搭載 | 2010年11月 |
AtermWM3300R | 145グラム | 67×94×22ミリ | 2.5時間 | ○ | ─ | 2009年11月 |
AZ01MR | 105グラム | 59×99.5×13.9ミリ | 4時間以上(予定) | × | ? | 2011年発売予定 |
WMX-GWBA-01 | 130+16グラム | 98×101×30ミリ | 3時間 | ○ | ─ | 2010年10月 |
Egg | 130グラム | 61.8×110×23ミリ | 5時間 | × | ─ | 2010年7月 |
URoad-7000 | 117グラム | 62×104×14.8ミリ | 3.5時間 | ○ | ─ | 2010年6月 |
大きなポイントはバッテリーだ。動作時間は5製品中で最長の「8時間」で、サイズに対するバッテリー動作時間が特に優秀だ。
このバッテリーについて、WM3300Rはバッテリーを着脱できたスタイルだったのに対してWM3500Rはユーザーには実質交換不可となった。ただ、WM3500RはWM3300Rのバッテリー3つ分以上の動作時間を実現することを改めて考えてみよう。交換できるが短時間動作──より、長時間動作で交換不要となっているほうが利便性は圧倒的によいはずだ。
また、バッテリー動作時間が長いということは充電頻度も少なくて済むので、充電型バッテリーでは避けられない劣化の進行も遅いことになる。仮にバッテリーで利用する時間が同じであれば、WM3300Rよりバッテリーの劣化の進行速度は3分の1程度になる計算だ(毎日ヘビーにモバイル環境で使うのでなければ、実質メインで使用する期間となるであろう2〜3年間はバッテリー交換不要で大丈夫なのではと思っている)。
というわけで、バッテリーを着脱・交換できない点をデメリットと感じるかもしれないが……その心配は不要ではないだろうか。後述(次回以降で展開する予定)するUSBポータブルバッテリーを併用できる方法とともに、利用するうえでWM3300Rに対する欠点にはならない。
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