日本ヒューレット・パッカードが投入した家庭向けインクジェットプリンタの2010年秋冬モデルは、“ネットとつながる”新しいタイプの複合機として話題を呼んでいる。その中でもとりわけ目立つ存在が、スリムなボディデザインを徹底して追求したモデル「HP ENVY100」と、大画面のタッチスクリーン液晶モニタを備えた多機能なモデル「HP Photosmart Premium C310c」だ。早速、それぞれの魅力を見ていこう。
日本ヒューレット・パッカードから2010年秋冬モデルとして登場した、インクジェット複合機「HP ENVY100」。このプリンタは従来のラインアップとはやや趣が異なり、HPが海外展開しているプレミアムブランド「HP ENVY」シリーズの1つという位置付けだ。
HP ENVYシリーズは、9月末にリリースされたノートPC「HP ENVY14 Beats Edition」が日本では初めての発売となり、「ユーザービリティ、デザイン、エンターテインメント、パフォーマンスといった点において何も妥協しない、人々が羨望(せんぼう)する最上級モデル」というシリーズコンセプトを持っている。
HP ENVY100は、このコンセプトをインクジェット複合機に持ち込み、とりわけデザインで具現化したモデルだ。
HP ENVY100を開発するにあたり、まず複合機に求められるデザインや使い方について、東京、サンフランシスコ、パリと、グローバルな規模でユーザーに対するリサーチを実施。その結果、3つのポイントが浮かび上がってきたという。
その1つは、インターネットを利用するシチュエーションが、これまでのように書斎やPCのための机といった限られた環境から、リビングルームや戸外など、生活に根ざしたスペースに移りつつあること。2つめはネットにつながるデバイスとして、PC以外にスマートフォンやタブレットも登場しており、これらは従来のプリンタと接続するのが簡単ではないということ。そして3つめは従来のプリンタがやや大きく、限られた生活のための空間の中でプリンタが大きなスペースを占領しているという意見が多かったことだ。これは特に住宅スペースが限られている日本のユーザーにとって、とても切実ということも分かった。
こうした調査結果を踏まえて、新しいインターネットの利用環境やコンテンツに合った複合機として生み出されたのがHP ENVY100である。そのフォルムは横に広く縦に低い高級オーディオをも連想させる形で、その高さは両面印刷機能を持ちながらもわずか102ミリ。昨今はスリムなデザインの複合機が増えているが、その中にあっても突出したロー&フラットなスタイルとなっているのが最大の特徴だ。
そのボリュームとデザインのおかげで、リビングに置いても存在感を主張しすぎることなく、薄型液晶テレビやBlu-rayレコーダーといった、最近のデジタル家電と並べても違和感ない佇まい(たたずまい)となっている。これは、デザインワークにおいて家電やホームインテリアのトレンドを参照しながら作り上げていった結果に生まれた必然なのだという。また、この102ミリに抑えられた高さは、ラックの中や高い場所に設置しても、スキャナを使うときに不自由しないというメリットもある。
HP ENVY100のデザインは、時代を超えてアピールできる“クラシック”がテーマであり、光沢のある黒とオフホワイトの面で構成されるモノトーンで表現される。最近はこうしたモノトーンがプロダクトデザインの世界でもトレンドとなっているが、HP ENVY100は黒と白のコントラストを面の単位で切り替えることで、正面から見たときと側面から見たときにまったく違う表情を見せる手法が新しい。
また、HP ENVY100のデザインでハイライトとなるのが、上面の表情を作り出すガラストップのスキャナカバーだ。強化ガラスの1枚板に圧板を取り付けただけという極めてシンプルな構造ながら、ガラス自体の重さと剛性は被写体をホールドするのに十分なスペックを持っている。ガラスは裏面にミラーと黒の組み合わせによる、ディンプルグラデーションのグラフィックがプリントされていて、ガラスの極めて平滑な反射とともにシャープな表情を作り出している。
こうしたフラットでブラック&クロームを使ったプロダクトは、高級オーディオや高級家具、調理器具などにも散見され、また、最近ムーブメントとなっているスマートフォンとも親和性が高いといえる。
このフラットでプレーンな表情はフロントパネルにも徹底されている。電源オフ時のフロントパネルはHPのロゴと電源タッチ部を示すマーク以外は、ブラックアウトされた平滑なパネルのみ。電源マークをタッチすると、中央に3.45型と大きなタッチスクリーン液晶モニタが浮かび上がり、フロントパネル中央部がゆっくりと自動的にせり上がってくる。
そして印刷を行うと、フロントパネル中央部がさらに持ち上がって停止した後、なんと内部からブラックの排紙トレイがスライドして現れる。そして、印刷された紙を取り去ると、排紙トレイが再び収まって印刷前の美しいフォルムに戻るのだから驚くしかない。液晶モニタと排紙トレイが自動でエレガントに開閉する機構は、HP ENVY100の高級感とユーザーの満足感を向上させつつ、スマートなプリントワークを実現しており、まさにデザインの妙だ。
また、フロントパネルの下側には給紙カセットがレイアウトされているが、このカセットを引き出すためのノブはアルミダイキャスト製。トップカバーの前縁部にも同じ素材があしらわれていて、トップカバーのガラスとこのアルミという無機質な素材の組み合わせが、HP ENVY100のボディをさらにクールに、高級感あふれるものに演出している。
複合機ともなれば電源だけでなく、USBケーブルやLANケーブル、さらにはSDメモリーカードやUSBメモリといった各種メディアを受け入れるポートが必要となる。そのため、せっかくデザインワークでフォルムそのものを整理しても、こうした“コネクタ”をレイアウトするためにオリジナルデザインが崩れていくのがデザイナー共通の課題だという。
しかし、HP ENVY100ではこうした問題をコンセプトに忠実にクリアしている。まず本体につながるケーブルは電源とUSBのみ。ネットワーク接続はIEEE802.11b/g/nの無線LAN機能(WPS対応)のみと割り切ることで、ネットワークプリンタとして使えば、本体から伸びるケーブルは電源のみとなり、リビングなどに置いてもケーブルが目立たないスマートな設置が可能となる。また、電源とUSBケーブルのためのポートは、背面の両端2カ所にデザイン上、きれいに処理されてレイアウトされているため、コネクタもほとんど目立たない。
ダイレクトプリント用のメモリカードとUSBポートも本体上面の手前という使いやすい位置にあるが、カバーを設けることで、未使用時は周囲と同じサーフェスとなる。
さらに付け加えておくならば、HP ENVY100はそのスリムさをトレースするような黒い専用のパッケージに収められている。このパッケージは内箱や緩衝材に至るまでカラーテーマの1つ、黒があしらわれているだけでなく、プリンタ本体がぴったり収まる専用のナイロンバッグまで添付されている。
このようにHP ENVY100は徹底してデザインにこだわったモデルなのである。これまでプリンタや複合機といえば、あくまでもPCの周辺機器の1つであった。そんな脇役がゆえに主役のPCほどデザインに対するこだわりへの意識が高くなかったのかもしれない。
しかし最近、無線LAN機能を持つスマートフォンやデジタルカメラ、さらにはPCを使わずにそれ以外のデバイスでインターネット上のコンテンツを利用するシーンが増えつつあり、こうしたソースをプリントするという意味では、デバイスやサービスのコアになりつつあるといってもいいのが複合機だ。それだけにユーザーの触れる機会も高くなり、結果として、デザインへのニーズも高まってくることになる。
HP ENVY100は、こうしたユーザーの使い方の変化をいち早くとらえ、複合機のデザインをリードする存在となるだろう。
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提供:日本ヒューレット・パッカード
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年1月31日