BD ISOのネットワーク再生もサクサク――「NMP-1000P」の実力“最強QNAP”番外編(1/2 ページ)

» 2010年12月29日 15時22分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

“最強NAS”のQNAPからネットワークメディアプレーヤー「NMP-1000P」が登場

NMP-1000P

 12月10日にユニスターよりQNAPの新型ネットワークメディアプレーヤー「NMP-1000P」が発売された。NMP-1000に続く2代目の製品だが、型番は末尾にPが付いたのみでマイナーバージョンアップを思わせる採番となっている。旧型と比べて何が変わったのか、早速見ていこう。

 ネットワークメディアプレーヤーは各社から販売されているが、海外製品と国内製品ではネットワーク上のコンテンツをどのように取得・再生するかという点で差があることが多い。例えば、国内製品がDLNAクライアントとして動作するよう設計されているのに対し、NMP-1000/NMP-1000Pを含め、海外製品の多くは内蔵ストレージを再生するメディアプレーヤーを拡張し、ネットワーク上の共有ファイルにアクセスできるようにしている、という印象だ。

黒一色のボディはリビングにも違和感がない

 そのため、国内製品はメディアレベルでの機能が充実しており、DLNAサーバによってカテゴライズされる著作権保護機能、DTCP-IPに対応しているといった特徴がある。一方で海外製品は、ファイルシステムと同じくフォルダ/ファイルでの管理となり、DTCP-IPにも対応しないなど、よくも悪くもローレベルな対応といえる。これは逆に「余計なことをしない」という機能を求めるユーザーにとっては、このうえなく魅力的な製品と言い換えることもできるだろう。

 NMP-1000Pは、SATA HDD1基を搭載可能なNAS兼ネットワークメディアプレーヤーで、前述の通り、QNAPとしては2代目にあたる。NASキットが主力製品である同社らしく、NAS機能も充実しているのが特徴だ。前モデルのNMP-1000とは外観上の違いはほとんど見受けられないが、背面はインタフェースの統廃合による違いがある。追加されたのは外付けドライブ接続用のeSATA、廃止されたインタフェースはS-Videoと同軸デジタルオーディオだ。必ずしもレガシーなものが廃止されたというわけではなく、コンポジット出力は残っている。

上がNMP-1000P、下がNMP-1000。筐体は背面を除いて変更はない。NMP-1000やNMP-1000Pといった製品ロゴもないため、前方から見るとまったく違いが分からない(写真=左)。コンポジットとS-Videoがあった場所に外付けドライブを接続するためのeSATA端子が追加された。コンポジットは同軸オーディオがあった場所に移動している(写真=中央)。電源端子も変更された(写真=右)

 その一方で、スペックの向上は目を見張るものがあり、もはや別物といってもよいほどだ。その立役者とも言えるのがSigma Design製プロセッサ「SMP8643」だ。SMP8643は、MIPS CPUをベースとしたSoC(System On Chip)で、NMP-1000で採用されていたSMP8635と比較すると、コアがMIPS 4KEcから74Kになり、クロック数で300MHzから667MHzへと大幅に引き上げられた。性能比でもCaffeineMark3.0のスコアで460から1840の4倍に、DMIPS値で2223から5649の約2.5倍に伸びている。また、プロセッサの仕様が変更されたことで、メモリはDDR 256MバイトからDDR2 512Mバイトに倍増、内蔵フラッシュメモリは64Mバイトから256Mバイトと4倍になった。

プロセッサの情報を表示したところ。telnetしてシェルが使える、というのもほかのメディアプレーヤーにはあまりない特徴だ(画面=左)。SMP8635とSMP8643のブロック図。CPUはMIPS 4Kファミリの4KEcから74Kに変更され、大幅なクロックアップと対応メモリの高速化、大容量化を実現した(画面=中央/右)

 その結果、NASとしての基本性能が向上しているほか、負荷の高いデコード処理を楽々とこなせるようになっている。BD-VideoのISOイメージをネットワーク経由でまともに再生できるだけでなく、JavaVM(CVM)が搭載されているため、BD-Jにも対応できるのはうれしい。なお、初期状態ではブルーレイナビゲーションが字幕/音声/チャプターを簡単に変更できるシンプルメニューになっているため、BD-Jを利用するには対話型メニューに切り替える必要がある。

ブルーレイナビゲーションは初期状態では字幕/音声変更をすばやく行うためのシンプルナビゲーションになっている(画面=左)。シンプルナビゲーションの例。NMP-1000P独自のメニューが表示される(画面=中央)。対話型ナビゲーションに切り替えればBlu-ray Disc本来のメニューが利用可能になる(画面=右) ※画面はイメージです

もちろんDVDメニューも利用できる。特典コンテンツなどが含まれるディスクには不可欠な機能だ(画面=左)BD-Jにも対応。より洗練されたメニューが楽しめる(画面=中央)。ズーム機能を使えば特典コンテンツの台本や絵コンテもはっきりと確認できる(画面=右) ※画面はイメージです

画像のカバー画像・情報の取得も新機能の1つだが、実際にはファイル名を元にthemoviedb.orgの情報を取得しており、日本語タイトルでは取得できない。ただし、自分で作ってしまうことは可能(画面=左)。動画ファイルに対して同じディレクトリに「.<ベース名>.info」というファイル名でテキストファイルを作成。画像のような内容を記述する。同様にサムネイルファイルを「.<ベース名>.jpg」というファイル名で配置する(画面=中央)。サムネイルだけでなく、ファイル選択時にInfoボタンを押すと詳細情報も表示されるようになる。こういった手の入れやすさも魅力の1つ(画面=右)

 音声に関しても新たに高品質DAC「WM8524」を搭載し、8〜192KHzにおいて24ビット変換をサポート、106dBのSN比を実現している。対応フォーマットはロスレスのFLAC、APEをはじめPCM、WMA、MP3、Ogg、AC3/Dolby Digital、DTS、WAVに対応する。

 また、性能が向上していながらも消費電力は低減した。内蔵HDDを搭載しない場合、NMP-1000Pの操作中消費電力はわずか10ワットと、NMP-1000の待機状態の11ワットを下回っている。つまり、NMP-1000PをつけっぱなしでもNMP-1000の待機状態よりも省電力ということになる。

オーディオはAAC/DolbyDigital/DTS/WMA Proのパススルー出力/2.0チャンネルPCM復号が選択可能(画面=左)。句読点が真ん中に表示されるなど、システムフォントの違和感が気になる人はフォントを切り替えることもできる。画面はフリーフォント「みかちゃん」に切り替えたところ。ただし、ユーザーフォントの利用には内蔵HDDが必要だ(画面=右)

USB接続した光学ドライブを選択し、Optionボタンを押したところ。RipはCDのWAVファイルをローカルドライブのMusicフォルダ以下に抽出、保存する。CDDBから曲のデータを取得するものの、日本語は文字化けするようだ(画面=左)。各ディレクトリにはCDDB.confという名前のファイルが作成される。このファイルを直接書き換えてUTF-8で保存すれば表示は可能だ。とはいうものの、タグ情報も含められない無圧縮WAVファイルで保存する必要性はあまりないだろう(画面=右)

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