ベンチマークテストで振り返る2010年のGPUイマドキのイタモノ(2/4 ページ)

» 2010年12月29日 16時55分 公開
[長浜和也,ITmedia]

そして「みんなのFermi」が急速展開

 最上位モデルとして登場したGeForce GTX 480は、搭載グラフィックスカードの実売価格が6万円前後と、競合のRadeon HD 5870の4万円程度と比べて高く、消費電力と発熱の高さとあわせて、パワーユーザー以外には扱いが難しいところもあった。この問題、特に価格のハードルを下げるべく、実売価格を2万円台に抑えた「GeForce GTX 460」が7月に登場した。

 内蔵するCUDAコアは336基、動作クロックはコアクロック675MHz、シェーダクロック1350MHz、グラフィックスメモリクロック900MHzと、その仕様がGeForce GTX 480、同GTX 470、そして旧世代のGeForce GTX 465と比べて、微妙な関係にあったほか(CUDAコアの数やメモリバス幅は少ないが動作クロックは速い)、搭載するグラフィックスメモリの容量によって、グラフィックスメモリのバス幅が256ビット(GDDR5を1Gバイト搭載するモデル)と192ビット(GDDR5を768Mバイト搭載するモデル)と分かれていた。このことが、性能のどのような影響を与えるのか、といったことのほかにも、NVIDIA自らが訴求する「オーバークロック耐性の高さ」がそこまで事実なのかをイマイタレビューでは検証している。

 その結果は、定格動作においてGeForce GTX 465やRadeon HD 5850に及ばないものの、オーバークロック 設定では、コアクロック800MHzでも安定して動作し、そのスコアはGeForce GTX 465もRadeon HD 5850も上回るものだった。イマイタレビューでは、「程良い価格で十分なパフォーマンスを持つGeForce GTX 460は、ベストセラーになったGeForce 9800 GTの再来を予感させる」と評価した。

3DMark Vantage
DiRT2 ベンチマーク
システム全体の消費電力

あっという間に1万円台のFermiが

 市場に登場するまでは時間がかかった“Fermi世代”のGeForceだが、GeForce GTX 460がリリースされた2カ月後には“1万円台”のGeForce GTS 450が投入された。このモデルでもオーバークロック耐性の高さが訴求されており、イマイタレビューでは、MSIのオーバークロックモデル「N450GTS CYCLONE 1GD5/OC」で性能検証を行っている。MSI独自の大型クーラーユニット「CYCLONE」を採用したモデルで、コアクロック850MHz、グラフィックスメモリクロック1000MHzに設定されていた。

 測定結果において、DirectX 10まで対応するベンチマークテストでは、特に高解像度高負荷条件で競合とされるRadeon HD 5770、同 HD 5750を下回るものの、DirectX 11に対応するベンチマークテストやゲームタイトルでは、Radeon HD 5750を確実に上回り、種類によってはオーバークロック設定でRadeon HD 5770も超える場面も見られた。

3DMark Vantage
Lost Planet 2(DirectX 11、Test B、High)
システム全体の消費電力

ハイエンドの“下位モデル”から登場した「Radeon HD 6000」シリーズ

 10月に、AMDが“次世代”のGPUとして「Radeon HD 6800」シリーズを発表した。次世代とはいうものの、アーキテクチャは従来のRadeon HD 5000シリーズをほぼ継承して、プロセスルールも40ナノメートルのまま。しかし、Stream Processorの数を減らしてダイ面積を減らし、その代わりに動作クロックを引き上げることで、価格の抑制とパフォーマンスの維持の実現を目指した。新しい方針に基づいてデザインされたという意味では「新世代」のGPUともいえる。

 また、Radeon HDにおけるラインアップ構成の見直しもRadeon HD 6800シリーズから導入され、800番台という型番ながらそれまでのハイエンドシリーズではなく、ミドルレンジという位置付けに変更された。

 Stream Processorを減らし動作クロックをアップしたRadeon HD 6800シリーズで測定したベンチマークテストの結果は、Radeon HD 6870で“想定競合”のGeForce GTX 460を上回り、Radeon HD 6850でGeForce GTX 460と同程度となった。ただし、GeForce GTX 460は定格設定の場合で、当時数多くあったオーバークロックモデルに対しては、Radeon HD 6870が低負荷条件でなんとか上回るという状況だった。

 また、テッセレーション処理などの効率を向上させたRadeon HD 6800シリーズらしく、DirectX 11対応でテッセレーションを多用するベンチマークテストでは、ラインアップでは上位モデルになるRadeon HD 5870を上回る結果も残している。

3DMark Vantage
Unigine Heaven Benchmark Ver.2.1(DirectX 11、Tessellation:Extreme、4xAA、16xAniso)
BIOHAZARD 5 ベンチマーク(DirectX 10、Test B、標準設定)

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