Radeon HD 6800シリーズが登場した直後、NVIDIAがGeForce GTX 580を発表した。CUDAコア512基を内蔵するGPUということで、ユーザー側としては「ようやくフルスペックの“Fermi”が登場したか」と思ったが、NVIDIAは「トランジスタレベルで改良を施した第2世代のFerim」と説明する。3月に登場したばかりのハイエンドモデルGeForce GTX 480の後継で、動作クロックも引き上げられている。
基本的なアーキテクチャはGeForce GTX 480を継承するGeForce GTX 580だが、ベンチマークテストの結果はGeForce GTX 480を大きく上回るなど、確かに新世代のハイエンドGPUといえる結果を出している。そのスコアはRadeon HDシリーズのハイエンドモデルでデュアルGPU搭載のRadeon HD 5970も超えている。このようなスコアを出しながらも、消費電力はGeForce GTX 480を下回るなど、内部構成の見直しは確かに効果があったことが示された。
GeForce GTX 580では、登場したグラフィックスカードのほとんどがリファレンスデザインに準拠した定格動作のモデルだったが、そのなかで、数少ないオーバークロックモデルとして登場したのがASUSの「ENGTX580/2DI/1536MD5」だった。ただし、そのクロックアップはコアクロックの10MHzのみで、ベンチマークテストの結果で示された違いもわずかにとどまっている。
GeForce GTX 580登場の1カ月後には、早くも“第2世代のFermi”シリーズの下位モデルとなる「GeForce GTX 570」が投入された。内蔵するCUDAコアの数はGeForce GTX 580から減らされたもののGeForce GTX 480と同じ480基。グラフィックスメモリ関連の仕様はGeForce GTX 470相当だが、動作クロックの設定はGeForce GTX 480を超えている。この動作クロックの設定が効いたのか、ベンチマークテストの結果は、3DMark Vantage、DirectX 11対応のゲームタイトルでGeForce GXT 480と互角、一部では上回る値を出している。
Radeon HD 6000シリーズの登場にあわせて、AMDはラインアップのポジショニングが変更され、第1弾として登場したRadeon HD 6800シリーズは、ハイエンドクラスで最も下位に位置する「GeForce GTX 460を上回り、GeForce GTX 570とは競わない」モデルという扱いになっていた。その上位となる「GeForce GTX 570と競合する」ラインアップとして2010年の最後に登場したGPUが「Radeon HD 6900」シリーズだ。シングルGPU構成としては、AMDで最上位のモデルとなる。
Radeon HD 6800シリーズのアーキテクチャが基本的に従来のRadeon HD 5000シリーズを受け継いでいたのに対し、Radeon HD 6900シリーズでは、ストリームコアの構成をアップデートして、ストリームプロセッシングユニットの構成に変更が加えられるなど、「実装するプロセッサの数を減らしても性能は向上させる」という目的のもとに新しいアーキテクチャが導入された。
ただ、ベンチマークテストの結果は、Futuremark系で上位モデルのRadeon HD 6970がGeForce GTX 570に及ばず、DirectX 11対応のゲームタイトルによる測定でもテッセレーションを多用するベンチマークテストで苦戦している。
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