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» 2010年12月31日 17時00分 UPDATE

2010年アキバまとめ(ショップ編):さよならT・ZONE――“電気街アキバ”に希望はあるのか (1/4)

老舗PCパーツショップ、T・ZONE.PC DIY SHOPの閉店は、GUNDAM Cafeやアトレ秋葉原1の開店などの明るい話題で盛り上がった電気街に、暗い影を落とした。ただし、街が固定化しないのはアキバ最大の特徴でもある。

[古田雄介,ITmedia]

「色々要因はあるでしょうけど、響きますね」――T・ZONE閉店の衝撃

 第1回に続き、アキバにあるPCパーツ系ショップの動きをみていこう。

og_akiba_2_001.jpg 11月30日昼過ぎのT・ZONE.PC DIY SHOP前

 Windows 7特需が冷めやらないうちに2010年がスタートし、前半期は多くのショップは前年同月比ベースでまずまずの成績を上げたという。6月ごろ、あるショップのスタッフのもらした「Windows Vistaの評判があまりに悪すぎたんですよ。正直、SP1やSP2を適用すればそこそこ使える環境になるんですが、イメージを覆すには遅すぎました。完全に冬の時代でしたが、Windows 7が出たことでギリギリ助かったというお店も少なくないんじゃないですか」という感想が象徴的だ。好景気とはいえないまでも、最悪の状況は脱したという安堵感が自作PC市場を包んでいた。

 しかし11月30日、11周年キャンペーンを終えた老舗の「T・ZONE.PC DIY SHOP」が突然閉店した。親会社の事業戦略から、運営会社のT・ZONEストラテジィの全事業を廃止をすると発表。オンラインショップの営業も終了し、シャッターが下りたままの店前には商品を積み込むトラックが横づけされた。同店のPC事業に関する資産はドスパラを運営するサードウェーブに譲渡されることが決定しており、年内に条件の細部を確定する予定という。2011年以降、時期は未定ながら「ドスパラ PCパーツ館(仮称)」として生まれ変わる計画だ。

 周辺ショップの間では、「親会社に6億円近い追徴課税が発生し、資金繰りが悪化したらしい」(ある店員)といったウワサが流れており、実際同店で価格調査をしていた別のショップは、2カ月くらい前から急に店内のスペースがスカスカになりだし「1つ箱を取ったら在庫なしという異常事態でした」と証言している。10月ごろには黄信号が灯っていたというわけだ。

 しかし、いざ廃業となると「自作PCを盛り上げた中心的なショップの1つだったので、やはりショックですね。街全体にも私自身にも響いています」(ツートップ秋葉原本店)などと惜しむ声が多く聞かれた。

 廃業の理由は方々で語られていたが、少なくとも親会社の正式発表では「現在の自作PC市場の状況で一店舗経営するのが困難になった」ことが要因とされている。1店舗経営ではパーツを置く店内スペースが限られるため、品ぞろえで他店と差別化するのは難しい。また、大量入荷による仕入れ値の割引が期待しにくい側面もある。スケールメリットが得られないこともあり、T・ZONE.P DIY SHOPはBTOマシンも展開していなかった。

 その状況の厳しさを、ユニットコムの小川正敬氏はこう語る。「パーツだけ売っていると価格競争になったときに利益を確保しづらいんですよ。巨大家電量販店の系列店が増えたこともあり、最近はCPUやHDD、メモリなどの価格がどんどん下がっています。圧倒的なスケールメリットを持つグループに、1店舗経営のショップが太刀打ちするには利益をさらに下げないといけません。さらに為替相場の調整も、少ない利益内で対応する必要があると。それでも生き残るには、別の収益の道筋が欠かせないんです。その1つに、ショップのスキルやサポートなどの付加価値を加えたBTOマシンという選択肢があるんです」。

og_akiba_2_002.jpgog_akiba_2_003.jpgog_akiba_2_004.jpg 2010年10月、11周年記念キャンペーンで盛り上がるT・ZONE.PC DIY SHOP(写真=左)。その2カ月後には、跡地利用を待ちながらシャッターを下ろして沈黙するビルが残った(写真=中央)。ユニットコム PCショップ統括部 秋葉原地区統括マネージャー 小川正敬氏(写真=右)

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