吉田社長、「日本から優れたタブレットデバイスが近いうちに登場する」すばらしいメイドインジャパンが一番重要(1/3 ページ)

» 2011年01月18日 19時25分 公開
[長浜和也,ITmedia]

インテルは、リアルとデジタルを超える新たなユーザー体験を実現を目指す

インテル代表取締役社長の吉田和正氏

 インテルは、1月18日に最新の“Sandy Bridge”こと第2世代Coreマイクロプロセッサーを紹介する「Intel Forum 2011」を行った。同社代表取締役社長の吉田和正氏が登場した講演では、「五感で得られる情報の83%は視覚から得られる」とコミュニケーションにおけるビジュアル情報の重要性を示すとともに、現代の情報発信では、それぞれの体験を共有するために、多くのユーザーが静止画や動画を編集し、それがコミュニケーションの中心になってきたと述べた。

 このビジュアル体験は、全世界で20億人利用するインターネット上で共有されているとした上で、吉田氏は、受け手側のデバイス、または、共有するビジュアル情報の編集に使われる主なデバイスとして、PCが利用されていると主張する。さらに、コンテンツの表現力を豊かにするために、ユーザーは高画質(High Difinision)に対応したPCを求めているとした。

五感で得られる情報の83%を占める視覚がこれからのコミュニケーションで重要になる(写真=左)。豊かなビジュアル体験を提供し、これからも進化しているのはPCだ、と吉田氏は主張する(写真=右)

 このような流れにおいて、インテルの技術 を搭載したPCの役割りはますます大きくなり、ビジュアル体験はPCを主な手段としてますます進化していくと語る吉田氏は、新しい技術の登場で、ビジュアル体験はより臨場感を増し、さらに、その臨場感のあるビジュアルを利用するマンマシンインタフェースによって、より使いやすくPCは進化するだろうとした。そして、その第一歩としてインテルが提供する(Sandy Bridgeといわれた)第2世代のCore プロセッサー・ファミリーを紹介し、「(インテルの)新たな革新の始まりです」という言葉とともに、ウェハとCPUを示した。

ビジュアルコンピューティングの進化の第一歩としてインテルが投入するのが“Sandy Bridge”こと第2世代Coreプロセッサー・ファミリーだ(写真=左)。その、Sandy Bridge世代のウェハを掲げる吉田氏(写真=右)

キーワードは「スマート・パフォーマンス」「ビルトイン・ビジュアル」

 新しいマイクロアーキテクチャを採用したSandy Bridge世代CPUの特徴として、吉田氏は、「スマート・パフォーマンス」と「ビルトイン・ビジュアル」のキーワードを挙げた。スマート・パフォーマンスを特徴付ける機能として紹介されたのは、第2世代に進化したTurbo Boost Technologyで、その機能と挙動の詳細は説明されなかったものの(この詳細については、こちらこちらを参照のこと)、3年前のCore 2 Duo T7250搭載PCと比べて3.6倍、1年前のCore i7-840QM搭載PCと比べて1.6倍のパフォーマンスを発揮することがグラフとともに示された。

 ビルドイン・ビジュアルでは、オンラインゲーム「モンスターハンター 3rd」のベンチマークテストがスムーズに描画されることや、フルHD動画を30秒程度の長さに切り出し、再エンコード処理を行ったうえで動画共有サイトにアップロードする処理を取り上げ、エンコード処理で「Intel Quick Sync Video」を有効にすると、CPUでソフトウェア的に行っていたのと比べて2〜5倍も高速に行えることをデモで紹介した。

 さらに、Sandy Bridgeから第2世代に進化した「インテル ワイヤレス ディスイプレイ」も紹介され、ノートPCから無線LANで接続した大画面液晶テレビに、フルHDコンテンツを表示するデモが行われた。

吉田氏は、Sandy Bridge世代の特徴として「スマート・パフォーマンス」と「ビルドイン・ビジュアル」を挙げる(写真=左)。Sandy Bridge世代のパフォーマンスは1年前のモデルに比べて1.6倍に相当する(写真=中央)。動画編集のデモではIntel Quick Sync Videoに対応した「Super LoiloScope 2」でエンコード処理がこれまでの2〜5倍に向上したことが紹介された(写真=右)

日本のメーカーから1年以内にすばらしい小型デバイスが登場する

 吉田氏の講演は、Sandy Bridge世代のプラットフォームの機能と性能をアピールする内容に終始したが、2011 CESでは、特にタブレットデバイスにおいてARMの採用が目立ち、逆にインテルが小型デバイスでの普及を目指しているAtom、特に最新のOak Trail世代を採用した製品はごくわずかだった。

 この、小型デバイスにおけるARMの隆盛とAtomの劣勢について、吉田氏は「インテルが小型デバイスに取り組み始めたのは(ARMに比べて)遅い。勝負は始まったばかりでこれからだ。半導体の微細化技術などをそこ(Atomシリーズ)に集中してやるので、この2〜3年は大変に面白くなるだろう」と述べるとともに、「日本は協調の文化なので、インテルとARMという小さな領域ではなく、メーカーやキャリア、ソフトウェア、インフラといった広い業界が一緒に効率よく革新を進めて、“メイド イン ジャパン”のすばらしい製品を提供していくことが一番重要。この1年のうちに、日本のメーカーから優れたタブレットデバイスが必ず登場する」という見方を示した。

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